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< 含まれる要素 >
・配信
( ※ 腐要素はございません )
耳慣れた、配信向けの声がヘッドフォンを伝わって耳に届く。⋯⋯とは言っても、コラボ相手であるらっだぁさんはオフでも声色とかほぼ変わんないんだけどさ。
⋯⋯声に集中してないで、手に集中しないと。マウスを動かせば、 マイクラ内のアバターが操作に連動して動く。次の足場に飛び乗ろう。そう思い、マウスを動かそうとすると、同じ場所にいたらっだぁが、奇しくも同タイミングで同じ足場に飛び乗ろうとしてしまい、押しあって2人とも落下してしまった。
「 おいぺいんと〜〜〜〜???? 」
「 いやマジで今のは俺悪くないから。どう考えてもらっだぁのせいだろ! 」
「 いーや、ぺいんとのせいだね 」
ぐだぐだと、殴り合いも含めたいつもの会話が続く。長時間配信だと言うのに、最初から今までずっとノリを保てているのは相手が十年以上の付き合いをしているらっだぁさんだからだろう。マイクラでのコラボだけでなく、他ゲー⋯大型だとstgrのような、たくさんの人と絡む機会がある場所ですら、彼と会話せず終わることは殆どないと言ってもいい。⋯⋯多分ね?
あ、因みに今やってんのはマイクラの謎解き配布マップ。別にスプラトゥーンとかでも良かったんだけど、折角のサシコラボだし、マイクラやるかってことでこのMODチョイスしたんだよね。我ながらいいチョイスじゃない?
と、鼻高々に自慢気な顔を作っている間にも、再開していたゲームは着々と進行していて、つい操作が遅れ気味になったのと、元々アスレが苦手なのも相まって、我に返ったその時、画面に映し出されていたのはこの2時間で何回見たか覚えてないゲームオーバーの画面だった。
「 ⋯マジでごめん⋯⋯これは百俺のせいだわ⋯ 」
「 萎えすぎね?wwどうせあと1回くらいミスんだろうなーとか思ってたから気にすんなって 」
「 は???それ心外なんですけど!!!?? 」
「 声デカすぎだろ!ほら、もっかいやるぞー 」
再び始まったゲーム画面から少しだけ目を逸らし、映しておいたコメントを見る。らっだぁが笑いを交えながらフォローをしてくれたおかげか、荒れることもなく、応援の言葉が溢れている。まあぺいんとだからしょうがないよね。みたいなコメントした奴見えてるからね???俺許さないけど???
そんなことは置いといて。いい加減ゲームに集中することにする。これ以上配信を長引かせると、流石に体力とか色々キツい。
実況を見に来た皆には申し訳ないけど、ここは無言プレイをかますことにする。喋りに集中していたせいで詰まっていたポイントも、黙ることで、口元だけでなく、手元に集中を割くことができ、余裕で突破。やっぱりポテンシャルは高いんだよ、俺。喋っちゃうからダメなだけで。⋯⋯実況向いてなくね?
「 待て待て待てぺいんとーー??? 」
しかし、その数秒後にはらっだぁからのお声がかかり、手元を止めることになった。待て、と言われれば、大人しく止まり、視界を180°傾け、少し後ろの方で待機していたらしいらっだぁを視界に入れる。
「 え、何? 」
「 そこのギミック、2人じゃないと突破できないとこじゃね? 」
「 ⋯⋯マジじゃん忘れてたわ。 」
「 おじいちゃんしっかりして? 」
「 誰がクソジジイだって!? 」
「 いやそこまで言ってねぇよ! 」
テンポの良い言い合いを混ぜ合わせつつ、着実に謎を解いていく。謎解きに関しては、らっだぁが結構やり慣れてるってのもあって、あまり行き詰まることなく進んでいた。まあ、途中で何回かミスって死んだし、撮れ高もちょうどいいでしょ。
これ以上ミスはしまい。そう息巻き、ラストのアスレチックに挑む。ここが難くってさあ、このマップ最大の難点だと思う。マジで誇張抜きで。そんな苦戦する俺をよそに、らっだぁは手慣れた手つきでぐんぐん前に進んで行く。焦燥を感じ、追いつかないと!と、慌ててマウスを強く掴む。
さて、一歩前に進むぞ!そう心積もりをしては、改めて着地地点を確認するために、スニーク状態で周りを確認する。その瞬間、視界の端に青色の何かが落下していくのを捉えた。真っ青の何か、それはどこからどう見てもらっだぁのスキンだった。
「 は?待ってらっだぁ!?何してんの!? 」
動揺が強く、大きな声が出てしまう。それに比例するように、らっだぁは悲鳴と笑いが入り交じったような声を上げた。幸いなことに、他の足部に着地することに成功したようで、ゲームオーバーにはならなかったため、続行することができた。
「 お前さあ⋯⋯!もう撮れ高つくんなくていいって!狙いすぎね?今のは 」
「 いやマジで違う!今のはマジで、普通にミスった 」
「 普通ミスる!?今のタイミングで!? 」
コメントも大盛り上がりで、猿も木から落ちるとはこの事か⋯⋯ と、らっだぁに対する驚きや呆れ、笑いを伝える旨のコメントが次々流れていく。らっだぁはそのうちの何個かを拾いつつ、また元の位置に戻ろうと軽々とアスレをこなしている。
その様子に無駄に加わっていた力が抜け、ミスってもまあいけるか!と、そんな気持ちを取り戻すことができた。⋯⋯もしかしてわざとミスった?アイツ。いや、らっだぁに限ってそんな事しないか。ふと頭に浮かんだ疑念を掻き消すように、アバターを動かす。さっきから一度も成功しなかった場所。そこを、俺は ――
「 ⋯⋯ っよぉし!!来たあああ!! 」
なんと、突破することができた。ここまでこればゴールまでは真っすぐ進むだけ。思わず緩々と口角が上がり、自然と声も大きくなる。
「 ええ!?待って、ヤバ!俺が落ちたあとに覚醒すんのヤメテーー?? 」
「 ww いやあ、まさかあのらっだぁさんより先にね!ゴールできちゃうなんて ⋯⋯ 」
「 オーーイ、ぺんちゃん忘れてない??2人で同時にボタン押したらゴールだかんね?だから1人だけゴールしてたってムダ 」
「 現実突きつけんなよ!人が折角余韻に浸ってたって言うのにさあ? 」
ギャーギャーと言い合いをしているうちに、俺が詰まっていた難所を余裕でクリアしたようで、いつの間にか、昔から一切変わらぬ青色のスキンが真隣に立っていた。
「 よし、じゃあ、ゴールしちゃいますかあ? 」
「 ゴールしちゃいますかあ⋯⋯!! 」
せーの!と息を合わせてボタンを押せば、仰々しい効果音と、画面いっぱいにクリアの文字が浮かぶ。その画面を見た瞬間、力が抜け、配信中なのも忘れ、机にへたり込んでしまった。
その間、らっだぁは配信を締めるためトークを続けてくれていて、そういう所に先輩らしさとやらをひしひしと感じさせられる。
「 ⋯と、言うことで、今日はここまでで。長時間お疲れしたーー 」
「 あーい、お疲れ様でした ⋯⋯ 」
「 ww 元気無っ! 」
ポチ、と配信終了のボタンを押し、ふう、と軽く息を吐く。いつも通りお疲れ様、と言ったつもりが、疲れが前面に出ていたようで、同じく配信を切り終えたらっだぁに笑われてしまった。
ウザいとは思いつつ、それに応える気力もなく、そうかよ、と淡白な返事しかできない。そんな俺の様子で、疲れを察してくれたのか、配信で出すよりも少し優しい声色で慰めてくれた。⋯⋯ちょっと煽りも入ってた気するけど。
そのまま少し ― 1時間くらいくだらない話を続けて、互いにお疲れ様、とVCを切った。
何も音がしなくなったヘッドフォンを外し、ゲーミングチェアに深く腰掛ける。
楽しかったな。疲れたけど。やっぱりらっだぁとやると安定感半端じゃないわ。流石5人目の日常組。今度いつ誘おっかな?いや、次は他の人も誘って別ゲーでもしよう。
そんな、いろいろな予定に思いを馳せつつ、疲れをそのままに、眠りについた。
〆
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