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――暗い。
音がない世界なんて、慣れていた。
けれど、
この静寂はそれとは違う。
耳ではなく、心まで凍りついたような、
そんな”無”。
……動かない。
……何も感じない。
……私は、まだ……描いてる最中だったのに。
最後のあの青は。
未来を”信じる”一色だったのに。
でも。
その「無」の隙間に、
確かに、何かが触れた。
頬。
まぶた。
――心臓。
バキ、バキバキ……
亀裂が走る音が、骨の奥で鳴った気がした。
聞こえたわけじゃない。
でも、確かに「砕けて」いくのがわかった。
熱い。
手の中に――鉛筆。
ノートが、ある。
ああ、まだ…私は、描いてたんだ。
まぶたの裏が、眩しくなっていく。
どこかで風が吹いた。
……青い空が、私を呼んでる。
光――。
それは、私がずっと夢に描いていた“未来”。
「おはよう。数千年ぶりだな。」
誰かの唇が、そう動いた。
私は、読んだ。
音がなくても、わかった。
……おはよう。
喉は動かない。
でも――ノートに描ける。
この人を、知ってる。
あの日、私が最後に描いた絵の中に、いた。
「これは、あの日見た未来」
だから私は、
ようやく、息を吸った。
新しい未来の、最初のページを――。