膜

大きな違いなんて無かった。

違うものより、同じものの方が多かった。生き方は違えど皆同じものを経験し、体験する。喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、痛み、不安、恐怖、憎悪、嫉妬、傲り、怠け、苦しみ、飢え、死…

これだけでは全てじゃ無いだろうね。

人はどうして夢を見る？

答えは知れているでしょう。

「自分が好きな物、やっていて楽しい事。それぜーんぶ意味が無いから辞めて、生きる上で必要な事だけしていなさい。ただ起きて食事をして、運動をして、寝て、起きてを繰り返していればいいでしょう？」なんて言われてその通りにしたら、それはもう人間では無くなってしまうのではないか？

何故夢を見てくだらない事で笑い合うのか、そうしなかったら感情の無いただの獣になってしまうからじゃないですかね？夢が無い人生は淡白なものでしょう、きっと鮮やかな色の無いモノクロなものでしょう。そんな人生歩んでいたら機械の様になってしまいそうだよ。実際、人間が夢を見なくなってしまったらどうなるのだろう。自分達が楽しいと思ってやっていた事、努力してきた事、やりたいと思っていた事、それら全てが馬鹿馬鹿しい…無駄な事だと思ってしまったら、一体何を目的として何のために生きて行くのだろうか。

人間は愚かである。

そう口にする人は非常に多い。

どちらかと言えば、愚かというよりも未熟という言葉の方が合っている気がする。

未発達、不完全、中途半端、成長途中、幼稚、無知、なんでもいい。

とにかく未熟なんだろう。

それ故の愚かさだ。

何もおかしくは無い、珍しくも無い、不思議でもない。

当たり前と言ってしまえばそうなのだろう。

この世に完全な生物など居ない。

居たとしてもそれは人間では無い。

誰もが一度は憧れる力。

誰もが一度は欲する物。

誰もが一度は体験する事。

誰もが一度は絶望する世。

考える事を放棄すればそれは獣と変わりない。

クズだろうが善人だろうが関係は無い。知恵を使う事を許された生物なのだから、賢く生きなければ駄目だろう。