コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
俺が勇斗のことが好きだと自覚したのは約3ヶ月前。今まではなんとも思っていなかったメンバーに見せる笑顔もふとした時の仕草も、今ではちょっとしたことにも内心嫉妬しまくり。特に"M!LKの姫"と呼ばれている柔太朗にはいっつもニコニコで、仕舞いには頬にキスもする。流石にこれには嫉妬どころかメンタル崩壊…かといって自分からアプローチすることも出来なくて、男気ない自分の性格にも呆れる日々。
 
 実を言うとみ!るきーずのおかげでインスタライブやYouTubeではちょっかいかけやすい。というのも、みんなが"さのじんだ"とか"夫婦"って言ってくれるから勇斗の許容範囲が広くなって嬉しいしありがたい。
 (ほんとみんなありがとう)
最近、仁人が少し変。急に立ち上がり俺の方に歩いて来たと思ったら、戻ってまた座る。YouTubeとかでも昔に比べて仁人のガードが緩くなった。多少イジっても笑顔だし、なんなら向こうからのボディタッチが増えた。別に嫌じゃないけど。
 
 「勇斗〜」
 
 思ってる側から仁人に呼ばれた。
 
 「ん〜?」
 
 「明日雑誌の撮影あるってよ」
 
 「何時から?」
 
 「10時集合だって」
 
 「おっけー」
 
 こんな感じで、会話する分には至って普通。まぁこの話はここで終わりにして、明日の撮影に向けてメンテナンスするか…
 
 
 今日の撮影はというと、個人撮影と全体撮影になっている。個人撮影は2組に分かれての撮影で、なぜこんなにも俺が焦っているかというと、"俺と勇斗"、"舜太と太智と柔太朗"で分かれているから。仕事である以上恥ずかしいという甘ったれた感情は捨てて、真剣に取り組む。
 
 "山中さんと塩﨑さんもう少しよってくださーい"
 
 「了解です」
 
 3人の撮影を見る限り結構な至近距離。ちょっとやばいかもな…と思いつつも、自分の頬を叩き気合いを入れ直した。
 
 
 "じゃあ、3人の撮影は以上です!次、佐野さんと吉田さんお願いします!"
 
 「あ、はい!お願いします。」
 
 「なに、仁人緊張してんの?笑」
 
 「いや、少しは緊張するだろ」
 
 
 ほんとこいつの余裕そうな顔がムカつく。「俺は撮影に緊張してんじゃなくて、お前に緊張してんの!」って言ってやりたい気分。まぁ、言えないんだけど…
 
 "次、佐野さんは椅子に座って、吉田さんはその前に立つ感じで向き合って下さい!"
 
 (やっぱかっこいいな…俺の方が顔位置高いから上目遣いになってるし…)
 
 「柔〜!俺かっこいい!?イケてる!?」
 
 「大丈夫だよ笑」
 
 「ほんとに?いい感じ?」
 
 「いいから撮影に集中しなよ笑」
 「笑笑笑」
 
 (こいつ微塵も緊張してないのかよ…俺だけなの?緊張してんの。俺が目の前にいるっていうのに、柔太朗に聞くんじゃなくて俺に聞けばいいのに)
 
 その後も勇斗は奥で座っているメンバーと声を張って話していた。
 
 「なぁ」
 
 呼びかけても話すのに夢中で返事なし。流石の俺もここまで来ると(他の奴らじゃなくて俺だけ見てろよ…)という嫉妬でおかしくなりそう。そんな気持ちが表に出たのか、勇斗の視線が俺だけに向くように手で顔を合わさせ言った。
 
 「勇斗、俺に集中して…?」
 
 高鳴る心臓と共にシャッターが切られた音がした。
いきなり顔をグイッと向けられたかと思ったら、俺に集中して…?仁人の暖かい手ともの哀しげな困り眉の表情、一気にくる多数の情報に処理が追いつかない。
 
 "撮影以上です!最後に全体撮影入るので、山中さん、塩﨑さん、曽野さんもお願いします!"
 
 「了解でーす」
 
 まだ俺の頭はこんがらがったまま最後の撮影が始まった。
 
 
 「佐野さん顔赤いけど大丈夫?体調悪い?扇風機持ってこようか?」
 
 「え、ん、あ、、いや大丈夫…」
 
 「そう?無理しないでよ?」
 
 「ん… 」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 (なんだこれ、心臓うるせぇ…)
 
 
 
 end.