コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
あれから、ヒルコこと綾野俊はタルタロスへ収監。クローン技術で2人を造り出した綾野夫妻は理研のトップを退いた。そして綾野さんは、退院してからもヒーローを続けている。でも以前と違うのは、個性を使っていること。
「飛ぶ鳥を落とす勢いだね、アテナ!!」
「うん。個性使うのが恐くてデクの後ろばっかり走ってたけど、もう大丈夫!!」
ヴィランを警察官に引渡し、市民の声援に手を振る姿は堂々としていて。
「(まさしくアテナの名にふさわしい。)」
巡回中の凛とした姿にこちらの士気も高まる。
「今日もお疲れさま。」
退勤時、ちょうど彼女に会った。
「良かった。連絡しようと思ってたんだ。」
「どうしたの??」
「かっちゃんから再戦の連絡が。」
「いいよ!!次の休みに決行しよ。」
「分かった。調整は任せて!!」
と言うことで翌週。
「あれ以来、個性使うのが板に付いたじゃねぇか。」
「そう言ってもらえて嬉しい。もう個性に呑まれたりしないから存分にかかってきなよ。」
「早速ぶっ飛ばしがいがあるな。」
「ほんと、爆豪君ってヒーローよりヴィランの方が板に付いてるわ。」
10分間の戦闘開始。
「(いやぁ2人とも楽しそうだな。)」
メモを取りながら2人を眺める。
戦闘訓練を終えたあとはアフターケア。そしてもう少し施設に残るかっちゃんと別れ、自分たちは先にお暇させてもらった。
「緑谷君、折り入って話が…。」
と言われて駅前の喫茶店に入る。
「兄さんのアジトが見つかったの。」
「どこにあったの??」
「長野県の田舎だって。電子機器は押収されたけど、それ以外の物は残ってて。ずっとそのままにしておくわけにはいかないから、片付けをするの手伝って欲しいの。お願いしていいかな…。」
「構わないけど、僕で良いの??」
「うん。1人だと永遠に片付きそうにないし。両親とはイマイチ距離感が分かんなくて…。」
「そっか。」
「緑谷君のお休みに合わせて有休取るね。交通費諸々、私が用意するから。」
「そこまでしなくても大丈夫だよ。」
「させてほしいの。緑谷君には仕事面だけじゃなくて精神的な支えにもなってて、て言うか自分が勝手にそう思ってるだけなんだけど…!!」
色々巻き込んでごめんと謝る綾野さん。
「謝らないでいいよ。隣で仕事してきて思うんだ。個性を使わずにヒーローをしてきたこと、活動限界を超えた体でヒルコを止めたこと。過去と向き合いながらこうやって悩みを話してくれる綾野さんは、No.1になるために背中を押しをしてくれる大切な存在なんだって。」
「大切な存在…。」
驚く彼女を見て、自分も思わず動揺してコーヒーをイッキ飲みしてしまう。
「そう言ってくれたの緑谷君が初めてだから、なんか照れるな。」
微笑む彼女を見る僕の顔はとんでもなく真っ赤だろう。
「長話に付き合ってくれてありがとう。」
「とんでもない。」
「そろそろ出ようか??」
「そうだね。あ、ここは僕が!!」
自分が払うとなんとか押し通して喫茶店を後にした。
帰り道は降りる駅が違う以外は同じなので、それまでは一緒に帰る。
「(綾野さんといると懐かしい気持ちになるんだよな。ずっと前から一緒にいるような、初めて会う気がしない。)」
先に綾野さんを見送ってから、家に帰るまでそんなことばかり考えてしまうのであった。