コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
翌朝、目覚めると僕は和真の悲痛な叫び声で目が覚めました。
「痛い、痛い、ごめんなさい、言う事聞きます、ごめんなさい」
急いで僕が自室から出ると、そこには鼻から血を垂らし頬を腫らした和真が頭を擦りつけるようにして母に謝罪をする姿でした。母は息を切らし、狂ったように言葉を吐いています。僕には聞こえません。でも、また、いつもの通りなんかのスイッチが入って豹変してしまったのでしょう。僕は宥めるように間に入りました。
「お母さんも、和真も落ち着いて。今朝だよ、近所迷惑になっちゃう」
「うるさい真優は引っ込んでな!ただでさえ学費高いのに、お前の勝手な私情で休むとか言ってるんじゃないよバカガキが!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
和真の呼吸は、酸素を求めて必死に息を吸う人の様に一定のリズムではなく酷く荒いものでした。彼の震えは止まることなく、
小刻みに震えて時折びくびくと跳ねそこから垂れた血が地面に沁み込んでいきます。
「お゛ぇっ」
嗚咽ゆえに、和真は胃液を吐き戻しました。それに対して、更に火に油を注いだのか母親はヒートアップしていきます。
僕はそんな母を後ろから羽交い絞めにしますが、力が足りません。
「やめて!」
「うるさい離せ!」
「和真は悪くないんだ。僕が、僕が悪かったんだから!だからやめてお母さん」
母が暴れるのをやめた瞬間、僕は腕を放してしまいました。
和真はう゛っとえづきます。胃液の中に血が混じっているのが見えました。
多分、さっき吐いた時に頬の内側を噛んでしまったんでしょう。
「和真は僕の弟なんだ。だから、悪いのは全部僕だ。だからもうやめてよ」
もうこれ以上、母に和真を傷つけて欲しくなくて僕は泣くことしか出来ませんでした。
______________________
それから、僕と母は和真を部屋に戻しました。
そして僕は学校へ、母は仕事へ向かいます。最悪な一日だ。
鬱蒼とした足取りで僕は、歩いていくのでした。