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コメント
4件
そうなんです! そうなんですよねー! はい!楽しみにしててくださーい! わ!ありがとうございます!
うわー、今回のエピソードめっちゃ沁みた…。同じ場所でも季節が違うと全然違う景色になるっていうの、湊の「今なら大丈夫」って言葉にグッときたわ。一年前の勇気が出せなかった自分と、今の自分、ちゃんと成長してるのが伝わってくる。最後の転んだ女の子を助ける紬を撮る湊、優しさが写ってる写真っていうのがもう…。この話、まだ続くのかな?次も楽しみにしてる!📸
第三十四話 もう一度、あの場所へ
「同じ場所でも、同じ景色は二度とない。」
翌朝。
夏の青空がどこまでも広がっていた。
待ち合わせ場所には、湊が一番に着いていた。
首から下げたカメラを
何度も触りながら、時計を見る。
「待った?」
振り返ると、紬が立っていた。
白いワンピースに、麦わら帽子。
風に揺れる髪を耳にかけながら、小さく笑う。
「今来たところ。」
そんな定番のやり取りに、二人とも少し照れた。
そこへ蓮と美桜もやってくる。
「今日はどこ行くんだ?」
蓮が聞くと、湊は静かに答えた。
「あの場所。」
その一言だけで、三人はすぐに分かった。
*
一年前。
初めて紬の写真を撮った桜並木。
今は桜の花はなく、
鮮やかな緑のトンネルになっていた。
木漏れ日が揺れ、蝉の声が響く。
「全然違う景色。」
紬が空を見上げる。
「でも、不思議。」
「ここって分かる。」
湊も頷いた。
季節は変わっても、思い出はちゃんと残っていた。
*
四人はゆっくり歩く。
「あのときさ。」
美桜が笑う。
「神崎が紬のこと、めっちゃ遠くから撮ってたよね。」
「え?」
紬が驚いて湊を見る。
蓮が吹き出した。
「近づく勇気なかったんだよ。」
「ちょ、違っ……。」
顔を赤くする湊に、三人は大笑いした。
「今なら?」
紬が少し意地悪そうに聞く。
湊は少しだけ考えてから、
「……今なら大丈夫。」
そう答えた。
紬は照れたように笑った。
*
木漏れ日の中で、湊はカメラを構える。
ファインダー越しに見えたのは、
去年より少し大人になった紬。
それでも笑顔は変わらない。
カシャッ。
写真を確認すると、
自然な笑顔がそこにあった。
「見せて。」
紬が隣に来る。
肩が少し触れそうな距離。
「……いい写真。」
その一言だけで、湊は十分だった。
*
帰ろうとしたその時だった。
小さな女の子が転んで泣いていた。
紬はすぐに駆け寄る。
「大丈夫?」
優しく砂を払ってあげる。
少し遅れて母親が駆けつけた。
「ありがとうございます。」
何度も頭を下げる母親。
紬は笑って首を振る。
「よかったね。」
女の子も涙を拭いて笑った。
その光景を見ていた湊は、
そっとカメラを構える。
カシャッ。
誰にも気づかれないように。
その一枚には、
誰かを思いやる優しさが写っていた。
*
夕方。
四人はベンチで
ジュースを飲みながら空を見上げる。
「また来られてよかった。」
紬がぽつりと言う。
「うん。」
湊は静かに答えた。
同じ場所。
違う季節。
違う自分たち。
でも。
ここから始まった物語は、今も続いている。
📷 Photo.034『始まりの場所』
撮影日:7月25日
思い出は、
場所に残るんじゃない。
あの日、一緒に笑った人の中に、
ずっと生き続けている。