※BL要素があります
誤字脱字がある恐れがありますので見つけ次第コメントしていただけると助かります
本人様及び本編のストーリーにはなんの関係もございません
微妙にグロ要素もあります
ご注意ください
ばにレダです
レダーさんと話したい
レダーさんに触れたい
レダーさんに褒めて欲しい
俺の事だけ見ていて欲しい
レダーさんを他の人に見せたくない
レダーさんを奪われたくない
そう思ってしまい一瞬で思考を停止する
最近ずっとそうだ
この街に来てレダーさんとちゃんと話して行動して、そして気づいたら彼がいないと寂しくなってしまった
最近はずっと寝ているから余計彼に会いたくなってしまう
好きなんだろうな
仲間以外信じないと言って俺を信じてくれたあの人が
普段自分のテリトリーに人を入れないあの人が
多動だけど頼りになって俺を支えてくれるあの人が
いつも俺を褒めて心配してくれるあの人が
「あぁ〜!!」
思い出すだけで嬉しくて焦れったくて足をバタバタさせながら雄叫びに似た声を上げてしまう
恋する乙女ってこんな感じなのか
俺は乙女じゃないけど
次はいつ会えるかな
「楽しみだなぁ…」
「ケインくんをね、改造しようと思うんだよね」
久しぶりに会って最初に発した言葉がそれだった
「な」
なんで?
咄嗟にその言葉が出そうになって喉の奥に押し込む
「おーいいやん」
近くにいた音鳴がそう答え牢王もそれに乗っかるように答えた
そんな中俺にはなんとも言えない感情が蠢く
いつもの感情とは違う感情
俺じゃダメなの?
ケイン以上に撃ち合いもチェイスも上手いのに
俺じゃダメ?
ファームは出来ないけどあのロボット以上にあなたを支えられるよ
「刄弐はどう思う?」
「俺は…」
音鳴と牢王の目線がこっちにむく
嫌だ
「いいと思う」
当然嫌なんて言えるわけなくてその場に乗っかるようにそう答えてしまった
「ありがとね」
みんなが賛同してくれたことが嬉しいのか彼は微笑む
その笑顔は俺にだけ向けてくれる物じゃなかったのか
いつもならそれも嬉しいはずなのに
どうしても胸が苦しくて
俺が大切にしているもの全部彼に、ケインに奪われたような気がした
なんで、そんな酷いことができるんだ
なんで、レダーさんはあんなやつを気に入ったんだ
なんでなんでなんで
そんな言葉がずっと渦巻いている
「嫌だなぁ…」
ぼそっと呟いたその言葉
いつもの彼なら聞こえているだろうけど俺の声はたまに聞こえなくなるらしい
彼が振り返ることは無かった
その場にいる全員が俺を見ることがなくてよかった
こんな、嫉妬で狂った姿をレダーさんにバレなくてよかった
「嫌だなぁ…」
微かに聞こたその言葉に思わず震えてしまった
前にいるレダーと音鳴は聞こえてないようで呑気にケイン改造計画を企ててる
後ろからは振り返ることを許さないような圧
そしてそれを発しているのは昔ながらの同僚の刄弐
それだけで俺を震わせるのには充分だった
きっと、今振り返ったら俺は頭を撃たれてダウンするだろう
そう謎の自信が込み上げてくる
何が嫌なんだ?
何がダメだった?
何が刄弐の癪に触った?
いまさっきの会話を思い返してみても全く心当たりがない
探ってみるか?
レダーや夕コさんに相談してみるか?
けどもしそれで2人が巻き込まれたら?
それこそ大変なことになる
なら、俺一人で探るしかない?
何を?どうやって?
あ〜!!もうわかんね
頭がパンクしてしまった俺は1番安直で1番危険な方法を思いついた
もういっそ聞けばいいじゃん
残念ながら俺は音鳴と同じで計画などを立てる頭がないらしい
「刄弐ちょっと外でタバコ吸わね?」
「え、別にストレス溜まってないしここ禁煙じゃないから」
「まぁまぁいいじゃねーか!行こう!」
そう言って彼の手を引っ張って外に出る
そして率直に彼に聞いた
「何が嫌だったんだ?」
そう聞いた瞬間下を向いていた彼は顔を上げた
その顔に思わず鳥肌が立ってしまった
あまりにその顔が殺気を帯びていたから、そして
あまりに恋をしていたから
「ば、ばに…?」
「牢王ってたまに勘がいいよね」
不味いな
俺ここで殺されるのか?
彼は今銃なんて持ってない
持っていないはずなのに何故か殺される確証ができてしまうほど俺の心は恐怖で埋め尽くされていく
「聞かれちゃったならしょうがないよね…」
「落ち着けよ刄弐!!」
思わず彼の肩を掴んで説得をする
何に対しての説得かは分からないけど
「何が嫌なのか聞きたかっただけだ!刄弐が嫌なことや触れたくないとこなら俺は引くよ!誰にだって触れられたくない所はあるだろうし!」
「いや、いいよ。俺ももう抑えられる気がしないんだ…」
「もう無理なんだ」
「ありがとう。牢王蓮」
「刄弐…?」
「またね」
彼はそう柔らかく微笑んだ
けどいつもの彼の笑い方じゃなくて誰かの真似をしたような笑い方だった
呆気に取られていると彼はどんどん遠くに行く
追いかけなければ大変なことになる
そう分かっているけど俺の足は動こうとしないし頭は気が抜けて何も考えようとしない
ごめんな
理解できなくて
そう言葉を零すことすら許されなかった
ごめんね、レダーさん
もう無理なんだ
目の前で椅子に拘束されている大好きな人を見て勝手に優越感にひたってしまう
好きになってしまったから
好きだから
好きな人を取られたくないから
好きな人を自分のものにしたいから
こんなのは私利私欲だと分かっている
だけど、俺の体と頭は止まりたくないらしい
この人をどうしようかずっと考えてしまう
だけど寝ている顔を見ていると思わずにやけがとらまらない
「ばに?」
「おはよう、レダーさん」
ずっと見ていたらレダーさんはゆっくり瞼を開ける
「ここは?」
「俺の家だよ」
「なんで俺捕まってんの?」
「俺が捕まえたかったから」
「え?」
そう言った瞬間彼は大きく目を見開いた
流石のレダーさんもその答えだけは予想してなかったらしく微かに焦っているように見えた
それすらも可愛くて愛おしくてずっと見たくなってしまった
「レダーさんって体で何がいちばん大切?」
「え?なんでそんなこと聞くんだ」
「俺がレダーさんのこと知りたいから」
「いや、」
「レダーさん?」
「体に嫌って名前の場所はないんだよ?」
そう言うと彼は渋々答えてくれた
「目と手」
「そっかぁ…」
ヘリ乗りからしたら目も手も大切だもんね
耳が良くても目がなかったら避けることできないし手がなかったら操作ができない
足も大切なはずなんだけどな
まぁいっか
「俺のものになるか、俺の目と手を貰う好きな方選んでね」
「え」
刄弐からありえない提案をされた
刄弐の物になるか、刄弐の目と手を貰うか
正直後者の方はよく分からない
目と手を貰うってなんだ
彼の目を見るとどうやら本気のようで俺の答えを刻一刻と待っているようだった
何言ってんだ
そんなこと言える雰囲気じゃない
選ばなければならない
そんな圧が押しかかってくる
「わかったよ」
「俺は…」
そう答えを口にすると彼は嬉しそうに微笑んだ
「レダーさんならそうすると思ったよ」
なんて言葉を添えて
「レダーさん」
彼の声が聞こえて思わず肩を震わす
ゆっくり振り返ってみると一見いつもと変わらない彼がそこに立っていた
「今日も起きてくれたんだね」
なんて優しい声で言ってくるから精神を疑ってしまう
「うん、起きろって言われたからね」
苦笑いでそう答える
刄弐にバレてないといいな
刄弐は嬉しそうに俺に近づいて耳元で囁く
「レダーさんの目綺麗だね」
思わず鳥肌が立った
俺の目はあの日刄弐に奪われた
俺の目をえぐり抜いて文字通り節穴となった俺に彼は自分自身の目を埋め込んだ
あの時の痛みを思い出して目の付近を触ってみる
異常はないように見えた
けど違うんだ
目の色が見え方が何もかもが違うんだ
この目は俺の目じゃない
それを証明するように世界の見え方の全てが違うんだ
「刄弐、なんでこんなことしたの?」
「言ったじゃん。好きだから」
「好きだから手も目も交換した。1番大切な物なら俺のと交換しても大切にしてくれるよね」
子供のような理屈を平然と告げる彼が今は本当に恐ろしい
「わかんないよ」
「いつか分かってもらうから大丈夫。ゆっくりでいいよ」
その言葉が優しさなのかどうかの判断すら今の俺にはできない
レダーさんから目を貰った
レダーさんから手を貰った
手を見て上手く機能していることを確認する
この街の医療は本当にすごいなぁ
闇医者に頼んだら案外気軽に了承してくれた
お陰様で俺とレダーさんは一緒になれた
レダーさんは自分の行動が制限されるのを嫌うから絶対俺のものにはならないって分かっていた
わかった上であれを提案したんだ
そしたら、レダーさんがどこにいても俺を感じることが出来る
俺はレダーさんといることが出来る
監禁なんかよりもずっと硬い絆のようなものだよね
いつでもどこでもレダーさんと一緒だ
それに
レダーさんが俺を意識してくれた
俺を見てくれた
俺だけを意識してくれることが増えた
それだけでも嬉しいな
けど、いつか本当にあなたを手に入れるから
あなたの全てを貰いに行くからね
「待っててねレダーさん」
絶対諦めないから!
ずーっと愛してるよ
[END]
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