🖤💚　初夜　その後

🖤「この後岩本くんと会うの？」

🩷「いーや？照おじいちゃんみたいな生活してっから。もうそろそろ寝るんじゃね？」

お休みコールだけするわ〜っと言いながらスマホを片手に佐久間くんは帰っていった。

何となくそう思ってたけど、認めたくなかった気持ちもある。

阿部ちゃんが心配！だからこれ以上はダメ！って言って、できなかった事の責任は知らずと阿部ちゃんが負ってたのかも知れない。

そりゃ距離置かれるよな…。

お風呂に入って、心を決めて阿部ちゃんに連絡した。

1週間ぶりに阿部ちゃんが家にやって来た。

ちょっと不安そうにしている。

佐久間くんの話を聞いて現状を整理できた今、阿部ちゃんの見え方が全然違う。

この表情も、前なら『今日もできるか不安なんだろうな』と思って『できなくても大丈夫だから』とか優しさのつもりで声をかけていただろう。

今までがいかに的外れだったかがわかる。こんな顔させてるのは俺だったのに。

緊張した面持ちで阿部ちゃんがベッドにやってきた。

雰囲気出るかなと思って、とバスローブを買ってきたらしい。健気だ。

隣に座った阿部ちゃんにキスしてバスローブの紐を解く。

唇を離して、一度抱きしめる。

🖤「阿部ちゃんに謝りたくて」

💚「どうしたの？」

🖤「俺ずっと、自分が不安なのを阿部ちゃんに無理させたくないって理由にすり替えてた」

💚「……」

🖤「今日は阿部ちゃんがやめてって言うまで、やめないから」

💚「うん」

後から聞いたら、この時の俺は獣みたいな目をしてギラギラだったらしい。

そしてその後のキスも齧りつくような激しいやつだったから、阿部ちゃんは今日これ最後までするなと思ったと笑っていた。

俺は全くの無自覚だったから、聞いた時恥ずかしかった。