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登場人物・春 (中1・男):親の再婚で新しい家に引っ越してきた
・陽翔(はると):双子の弟。明るくて人懐っこく、すぐ距離を詰めてくる
・奏(かなた):双子の兄。静かで無口。けれど、たまに見せる優しさが妙にドキッとする
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引っ越しのトラックが去ったあと、新しい家の玄関先には見知らぬ家族が並んでいた。
正確に言えば、母の再婚相手と、その双子の息子たち――俺にとっての“義理の兄”。
「おー、はじめまして!俺、陽翔!君と同い年!双子の弟の方!」
「……奏。兄の方。よろしく」
双子だという2人は、確かに顔が似ていたけれど、雰囲気はまるで違っていた。
陽翔は笑顔で手を差し出してくるし、奏は視線を合わせず短く挨拶するだけ。
「君の部屋、俺たちと一緒ね!3人部屋、初めてだよ〜!楽しそう!」
「……狭いけど、文句は言わないでくれ」
荷物を運び入れたあとは、なぜか3人で並んでお菓子を食べることになった。
陽翔はずっと喋っていて、奏はほとんど口を開かない。
だけど、お菓子の袋が開けられなくて困っていたら、無言で奏が代わりに開けてくれた。
「……ありがとう」
「気にすんな」
その一言が、なぜかやけに心に残った