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次の日の朝。朝特有の気だるさに襲われるも、熱はないし昨日みたいなだるさもない。とりあえず今日は土曜日だし、ゆっくり休むこととしよう。朝ごはんにお粥を食べ、もう一度ゆっくりとベッドに沈む。
月曜日、私にできることはなんだろう。多分否定したところで何も変わらない。というか相手にすらされないだろうし。だとしたら何をしたら…。
う、考えてたら頭痛くなってきた。もうねよ……。
【せと視点】
山野を助ける、この問題を解決する方法は、一つだけ思いついている。
ただこの方法、山野自身にかなり申し訳ない。そしてはてなにめちゃくちゃ怒られそう。
月曜日の朝、山野の登校に教室が少しざわつく。まだ学校に来るのか、もう来ないと思ってた、仮病で休むなんて親が可哀想、まぁ好き勝手言われてんな。当の本人は少し居心地の悪そうな顔をしてはいるもののそれほど重くは受け止めてなさそうだった。
みく「おはよう瀬戸くん」
せと「えっ、お、はよ」
不意打ちやめてくれまじで。今まで一度もそっちから挨拶して来なかったのに……。いやまぁ俺の挨拶が早すぎただけか。
山野は荷物を片付けると席につき、俺の方を向く。は、え、なにこれどういう…?
みく「瀬戸くん、ちょっと」
せと「ッはいなんでしょう」
みく「あのね、私謝らないといけないかなって思って」
せと「謝る、?なにをでしょうか」
もう、動揺しすぎて日本語が。謝るってなんだ?なんかされたっけ。
みく「あの、瀬戸くんに失礼なこと言っちゃったなって」
顔を赤くしながら話す山野に、なんの話をしているのかなんとなく理解した。あの時、俺の好きという気持ちを勘違いかも、と言ったことだろう。
顔に熱が集まる感覚。ここだけ空間が独立して、他の人の声も、教室の空気もなにも感じない。息が詰まりそうになりながら、なんとか言葉を紡ごうと口を開く。それでも声は出てこなくて、無言の時間が流れる。
みく「ぇっと、瀬戸くん、?」
せと「ぁ〜ごめん、えーっと」
なんとか出た声も小さいし、もう山野の顔見れないし、あー、だっさ俺。
静かに深呼吸をして、少し落ち着く。周りの音が耳に入ってくる。
ハチ「完全に二人の世界入ってんな」
らん「早よ付き合え」
そんな声が聞こえた。言うしかない、よな。冷静になって、周りの様子がわかった。
めっちゃくちゃ見られてる……。
せと「っす〜、山野、謝る必要はないから、あのさ、ちょっと聞いてくれる?」
みく「え、うん?」
ここまできたら、全部終わらせるか。
あーーー、やばい、緊張する…。だって公開告白じゃんこれ…。
くっそ、やるしかねぇ。
せと「俺は、山野が…、好き、です。」
ハチ「いや自信な!!!」
らん「だっさいぞー」
好き勝手言いやがってあいつら……。
せと「好きです、付き合ってください」
みく「っ、えっと…。」
なんとか山野の方を向けば、顔を真っ赤にしながら口をぱくぱく動かしている。
可愛い……。
女子1「ちょっと、瀬戸くん?」
せと「なに」
女子1「なんで山野っ」
せと「何でって好きだからだろ」
納得していないような顔。山野の方に向き直って、名前を呼ぶ。
みく「瀬戸くん、あの、私……」
せと「うん?」
みく「私でいいの?ほんとに?」
せと「山野がいいからこう言ってんだけど。」
隣でまだやんややんやと騒ぐ女子を無視して、山野の答えを待つ。ごめん、こんな公開処刑みたいな告白になって。
みく「瀬戸くん、私、瀬戸くんのこと好きなのかはわからない。でも、」
女子1「瀬戸くんは騙されてるんだよ!」
どん、と山野を押し出す。床にこけた山野は、なんで、と言うように見上げる。
騙されてる、だぁ?
せと「仮病だのなんだのの話をすんなら、俺は騙されてないからな?こいつは仮病なんて使ってない。俺は体調不良で苦しんでる山野に同情して面倒を見ているわけじゃなくて、山野美紅という人間そのものが好きだから世話焼いてるし、心配してるし、助けたいと思うんだよ」
女子1「なんで、なんで仮病じゃないって言い切れるの」
はてな「瀬戸さんが気持ち悪いからだろ!」
せと「登場いきなり悪口まじか」
教室にズカズカと入ってきたと思えば、山野を起こしながら悪口を言ってくる。
起こされた山野も、はてなの言葉の意図を理解できてないように見える。まぁ、俺はなんとなくわかったよ、1年の頃からずっと山野を見てきて、だからこそ仮病じゃないってのを知ってるわけだから、気持ち悪いからってのはあながち間違いじゃないし。
はてな「瀬戸さんはな、美紅のことずっと見てたとか気持ち悪いこと言ってんの、見てたらわかるよ、美紅が本当に体調悪いなんてこと。」
みく「はてな……」
はてな「やまみーははてなが守るからね。大丈夫、はてながいるから。」
この場面で俺よりかっこいいことって有り得ていいのかよ。