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俺たちはドレスローザの町に入り、思わず驚いてしまう。おもちゃが歩いているのだ。普通の人間のように。誰かがそれを疑問に思うことなんかなく、自然に。
だけどここで驚いてばっかりじゃいられない。俺たちはグリーンビットの情報を集めるためにカフェに立ち寄った。
店主にグリーンビットについて尋ねると、店主は肩を竦めてあまり勧められねえ、とこぼした。
「研究員か探検家かい? あんたたち」
「まあ、そんなとこだ」
「命懸けていくほどの様がねえんならやめたほうがいい」
「あの橋は随分頑丈そうだけど?」
「ああ、確かに鉄橋だよ。だがほら、今じゃ入り口は見たとおり誰も使ってねえ。グリーンビットの周りにゃあ闘魚の群れが住み着いててねえ。そいつらが現れるまでは人の往来もあったようだが、200年も昔の話らしい」
「闘魚?」
「角がある凶暴な魚だ。船なんかで近づいたら、まあまず転覆だな」
船じゃ不可能って言ったのは闘魚がいるからだったのか。俺は店主の話を聞きながら考え込む。
その闘魚の対策に橋も鉄に強化されたが、どうも無駄だったらしい。鉄でも無駄ってすごいな……。
「おい、トラ男、今すぐ引き渡し場所を変えろ」
「そうだぞ、引き渡される身にもなれ、バカめ!」
「変えねえ」
「なっ…」
「だろうなあ。ここまで来て文句は言えないわな」
「そんなことよりおれが心配してんのはこの国の状況だ。王が突然やめたのに何だ、この平穏な町は。早くも完全に想定外だ」
「大丈夫かよ!」
「……っ」
「ロビンさん?」
「シーッ」
ロビンが帽子を深くかぶり、俯いたまま黙り込んだ。ロビンの視線の先を俺たちが辿ると、そこには真っ白な衣服に身を包んだ人物らがいた。あ、あれって……CP-0…?
「CP-0」
「へっ、シーピー?」
「世界最強の諜報機関CP-AIGIS 0」
「も…もしかして、CP-9とかんけいが?」
「その最上級の機関よ」
「ゲッ…CP-9だって相当やべえ連中だったのに、それよりやべえってことか…!?」
「彼らが動くときに、良いことなんて起こらない」
「……確かに」
原作のドレスローザを見ていない俺には、この先何が起こるかわからない。だから俺は、今まで以上に慎重に動かなくてはならない。
「色々面倒なことが起こりそうだが……シーザーの受け渡しまでもう1時間もない。あの橋を渡るしかないだろう」
俺はそう言って立ち上がり、橋の方へ向かう。立て看板には〝KEEP OUT〟の文字。俺たちはそれを乗り越えて橋を渡っていく。大きくて頑丈な鉄橋。
「すげえ頑丈そうな橋だな…」
「シュロロロ…これなら闘魚とやらが来ても大丈夫なんじゃないか?」
「…だといいんだけど」
シーザーの言葉にウソップが不安そうに呟く。その時、最後尾で、俺の隣を歩いていたローの歩みが少しゆっくりになり、口を開く。
「来たな」
「来たって?」
「おいおい、それってまさか……」
「ろ、ロー……」
水の音が聞こえてきた。川の流れとは違う音。俺たちが音のする方を見ると、大きな水飛沫を上げて現れたのは、巨大な魚のような生き物。
「闘魚って、てっきり魚かと…」
「魚じゃねえか」
「いやぁ、あれを魚としてカウントするのはちょっと俺どうかと思うぜ……」
「魚じゃねえよあれは!!! 海獣と変わらねえ! 獣だ!」
「また来たぞ」
「1匹だけじゃないわ」
「「ええっ!?」」
ロビンの言う通り、次々と現れてくる闘魚たち。闘魚のせいでこの橋は鉄で強化されたという話だが……この高い鉄の端をあいつらは軽々と飛び越したし、あんまりここでチンタラしてると……
闘魚が俺たちに突っ込み、鉄の話が大きくひん曲がった。
「鉄橋頼りねー!!」
闘魚が唸り声をあげて海に沈む。恐らくすぐにまた俺たちに突っ込んでくるだろう。
「本当に、このままグリーンビットまで行けるの?」
「大丈夫だ。こいつらがなんとかする」
「お、おう、ローの期待に応えられるよう、が、頑張るぜ!」
「お前がやれよ七武海!」
「いや、今おれは戦えねえ」
「はあ!?」
「来たぞ」
ウソップが武器を構えたが、俺たちの背後からも新たな闘魚が現れる。
「これ、1体1体倒そうとするのは無謀じゃねえか? キリがねえぞ!」
俺の言葉に、全員が何を言うわけでもなく走り出す。応戦はするが、基本俺は近接戦闘だしな嵐脚にも限界がある。……こういうのはウソップに任せるしかねえか……。
「鼻屋! シーザーの錠を解け! こいつにも戦わせる!」
「なにを!? そしたらコイツ、飛んで逃げるぞ!」
「逃げたいなら逃げろよ。心臓を俺たちに預けたままでいいって言うんならな」
俺はここに来る前にローに渡されていたシーザーの心臓を、シーザー本人に見せる。
「うっ、まさかそれ…ギャーッ! 俺の心臓!」
走りながらウソップがシーザーの海楼石の錠を解く。
「てめえら、ろくな死に方しねえぞ!」
「うるせえバーカ! てめえが俺たちの死に方に何か言える立場かよ!」
シーザーの戦闘力は正直申し分ない。やっぱロギア系は強いな。俺たちはそのまま橋を駆け抜ける。
「トラ男! なんでおめえは戦わねえんだ?」
「そうだ! おれにばっかりやらせんな!」
「おれの能力は使うほどに体力を消耗する。帰り道にこそ本領を出さなきゃならねえ。分かるか! 少しでも力を温存しておくんだ。相手はドフラミンゴだぞ!」
その言葉に全員が息を飲んだ。