【僕たちの最善案】(前編)
絶望からの始まり
スマブラ、借金、医者
(整地、金ブロ、喧嘩 要素有)
(長いので時間がある時にお読みください)
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kr視点
最初っから分かっていた。分かりきっていたんだ。けれど、諦められなかった 。君が好きだったから。大好きだったから。
手に届く距離に君はいるくせにさ、俺の手は届かないんだ。
なぁ、スマイル。
愛してたよ。
君は、俺のことを微塵も好きじゃなかったみたいだけど。
…俺は、君の優しさに甘え過ぎたみたいだ。
君は優しいから、いつも人に頼まれたことだけは絶対にやり遂げていたし、
優しいから、自分の気持ちも人の為に変えようとするんだ。
…優しいから、好きでもない奴の告白を受け入れて…
君は、ずうっと疲れている顔をしていて。
だけど、あいつの前でだけは楽しそうに…嬉しそうにしてたよな。
……羨ましいよ。Broooock。
嗚呼、俺はなんて最低な奴なんだろう。
君があいつの事を好きだっていう事を知りながら、俺は君に告白をした。
君のその優しさを利用して。
あいつも、君のことが好きだったから…君らが相思相愛なのも知ってたけれども、
自分の気持ちを最優先に考えて、愛しい君の幸せを考えなかった。
君があいつの事を気にしている時は、俺の勝手な“そう、思い込みたい事”を押し付けて…
………無意識のうちにも君を縛ってしまっていた。
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sm視点
……何故、あいつの告白を受け入れてしまったのか。何度もそう思った。
でも、これで良かったんだって…何度も自分にそう、言い聞かせた。
あいつに、傷ついて欲しくなかったから。
…そう、善意のつもりだったんだよ。
俺の、勝手な善意と自己満足。人に必要とされているという事を実感したかった、たったそれだけの俺の勝手な意思。
自分の気持ちに嘘をつくのは得意だと思っていたから、やり過ごせる…そう思っていた。
でもさ、気持ちが大き過ぎたんだよ…。
あいつと付き合う事で得られた満足感は、共に俺に喪失感を与えた。
人と付き合ってしまったことでの失恋による喪失感。
何にもしていないのに、叶わなくなってしまったんだもんなぁ…。
なんて可哀想なんだろう。俺の恋心は。
勝手に諦めさせられて。
勝手に終わらさせられて。
勝手に否定されて。
でもさぁ…無理だったんだよ。
可哀想な恋心は、君を見るたびに、俺の中でぶり返される。
好き、好き、好き、好き、好き、好き………
大好きだよ。Broooock。
ごめんね。きりやん。
おまえの好きなこの俺は、“恋”を軽く見ているような、最低野郎だったんだよ。
尽くしてあげられなくて、ごめん………。
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kn視点
要するに、傷の舐め合い。
俺とコイツの間には、お互いの傷を抉るという目的しか無かった。
2人とも好きな人がいて、その恋が叶わないって分かってて。
そんな中で2人、付き合って。
終わらせられない、諦められない恋を引きずりながら、忘れられない恋を忘れようとした。
…そう、叶わないって……勝手に決めつけていたんだ。
シャークんの気持ちを、聞きもせずに決めつけて。
……Broooockもまた、同様に。勝手に決めつけてた。
まあ、コイツに関しては、どっちもどっち感あったけど……
好きの気持ちが簡単に忘れられるなんて、そんなはずは無いのにさ。忘れようとしてたんだ。
見た目だけの恋人。中身は空っぽ。
馬鹿だなぁ。俺たちは。………なんて…何度も2人、言い合ったよね。
ずっと、お互いの気持ちはすれ違ってすらいなかった。
全く逆の方向に一直線だったから。
俺は君に、コイツはあいつに。
気持ちが交わることなんて、可能性すら…これっぽっちもなかった。
嗚呼、なんて馬鹿なのだろう。
せめて…nakamuとでも付き合ってやれば良かった。
彼は、俺のことが好きだったから…。
でも…一番の被害者は、君だよね…。俺の妄想、勘違い。
そのせいで、この恋は遠回りをしてしまったんだ。
何度、君に辛い思いをさせてしまったのか。…何度、君を泣かせたのか。
君の事をもっとちゃんと理解しておけば良かった。
………なんて、今更言っても変わらないか…………。
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sh視点
ごめんね。ごめん。俺なんかのせいで、こんな事になっちゃった。
俺が、自分の気持ちに気づかずにおまえの告白を受け入れたから…。
…nakamuが君の事を好きなのは知っていた。そんな中、俺に告ってきた時は…とても、驚いた。
なんで?どうして?好きじゃなかったの?…いっぱい質問したよ…………。
でも、おまえが悲しそうだったから………。俺が、応えてあげなければ。そう、思ったんだ。
そう思っているうちに、君もアイツと付き合い始めたんだよなぁ。
その時初めて、俺は自分の行動に後悔をした。
でも、後悔した理由が分からなくて。なのに、涙は止まる事を知らなかった。
おまえはその時、心底嫌そうな顔をしてたよな。苦しんでいるような、嘲笑っているかのような…悲しそうな、嬉しそうな。…複雑だけど、とりあいず嫌そうな顔。
やっぱりおまえはきんときの事が好きなんだよ。だから…俺なんかで埋めようとしないでくれよ。
俺は、君みたいに優しく無いし、かっこよく無いし、運動神経もよく無いし…
俺は、君に比べたら、劣ってしかいないんだ。
でも、別れようなんておまえに言えなかった。
切り出すことすら、できなかった。
おまえの恋を応援することも、…許されなかった。
だって…おまえの好きな人が、俺の
大好きな人だったから………。
嗚呼…何故俺は君を好きになってしまったのだろうか。
何故俺は、これ程までに馬鹿なのか。
…なんて、俺は………こんなにも醜いのだろうか。
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br視点
ずっと、僕の恋は一人の対象者に向けてだけだった。
けれど、僕の恋は叶うことのない恋だった。
君が、アイツと付き合い始めたんその日その時、僕の恋は砕け散ったんだ。
鋼のように強かった僕の想いは、硝子のように、いとも容易く砕け散った。
だから…君への気持ちを忘れたくて、この痛みを忘れたくなくて、
…きんときと付き合う事にしたんだ。
傷の舐め合い。さぞかし痛いのだろうなぁ。…そう思いながら付き合った。
でもね、舐め合いって…思ってた以上に痛かったんだよ。
好きを諦められない。忘れられない。痛みを忘れたい。…忘れたくない。
好きにならなければならない。好きになりたくない。
ずっと、ずうっと、感情が訳わかんなくてさ。
苦しくて、辛くて、痛くて、悲しくて……。
………スマイルってさ、魅惑的だよね。
忘れたいのに、忘れたくなくさせて………
アイツと付き合ってるくせに、僕に最上級の笑顔をくれるんだもん。
君が僕に笑いかけてくれるたびに、僕の、君への愛が増幅していく。
奪いたくて奪いたくて………堪らなくさせるんだ。
ほんとに、ほんとに、魅惑的。
甘い毒を、僕に…これでもかと与えてきて。
僕の恋が、叶うはずが無いのにさ。
………なんでこんなに愚かなんだろう。
でも、仕方ないよね。
僕は君に、ずうっと前から惚れきっていたのだから。
………忘れるなんて、できやしないよ。
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na視点
辛かった。好きな人を見ているのが。凄く、凄く辛かった。
1番仲が良いのは俺のはずなのに。
君は、ずぅ〜っと、彼のことしか考えてなかったよね。知ってるよ。俺。
ずっと好きだったから。ずっと、見てたから。
俺が、君の1番になりたかった。なのにさ、君は彼に一目惚れ。
なんで?俺ってそんなに魅力ない?俺じゃダメなの?ねえ………、なんでッ………。
…いっぱい考えたよ。
君は、俺の気持ちに気づいていたから、俺に何度も気を遣っていて。
俺も君に、気を遣っていたかった。
君の恋を、応援したかった。
でも、でもさ。違うんだ。彼が…君の気持ちに気づいてなかったんだよ。
…初めてシャークんに腹が立った。
羨ましくて、羨ましくて、堪らなかった。
君にこれ程愛されているのに、彼は自分の気持ちに何にも気づいてなくてさ…。
俺、腹が立ったんだよ。………“戒めかよ”って…………。
だから告白した。………それで、付き合った。
きんとき…?…これは君への報復さ。そして、彼への憎悪の現れ。
…付き合ったって、何も変わらないのに。
君は、俺たちが付き合った後、彼奴と付き合ったよな。…羨ましい。
なんで俺じゃねぇんだよ。
なんで俺じゃダメなんだよ。
ねぇ………ッ。なんで………………。
あ
嗚呼、あ………
もう良いや。…もう、もう、良いよ。
君の恋を、実らせてあげる。
だから、だからさ、ねぇ。
俺に、君を埋めるような…そんな、素敵な存在を頂戴………………?
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「俺、スマイルと付き合う事になった」
…きりやんがそう言ったとき、Broooockは心底驚いたような顔をして、それから凄く悲しそうな顔をした。それから、スマイルをチラリと見て、
「ホントなの?」
そう、聞いた。
スマイルは、Broooockとは一切目を合わせず、小さく「おう」と応えた。
お葬式のような静けさに、皆、顔を曇らせた。
「…っいや…!お前らもっと祝えよな!付き合ったんだぞ?親友が‼︎」
きりやんが声を上げる。
「おめでとう」
nakamu、Broooock、シャークん、きんときが順にそう言って。
きりやんとスマイルは
「有難う」
と言った。
…何故、幸福であるはずのこの時、この瞬間に
これほどまでの静けさを生み出せたのか。
………答えは皆、分かりきっていた。
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na視点
きりやんとスマイルが付き合った。まず最初に、俺の頭には「なんで?」の一言が浮かび上がってきた。
スマイルは、Broooockが好きだったんじゃなかったっけ…
「ホントなの?」
Broooockが、スマイルにそう問いた。
Broooockも、スマイルが好きだったはず………
なのに、なんで?
「………ぉぅ」
………あ、これ、スマイルの善意で成り立ってるやつだ。
「…っいや…!お前らもっと祝えよな!付き合ったんだぞ?親友が‼︎」
きりやんがそう喚く。嗚呼、そうか。…おまえ、分かってやりやがったんだな?
「………おめでとう」
俺は、祝う気なんてこれっぽっちもないよ。でも、祝ってあげる。
………戒めとして。
「…有難う」
あーあ。なんだよこれ。
初々しいラブラブカップルの演技でもしとけよ。
こんなお通夜みたいな雰囲気…お前らも望んでないだろ?
………お互い、気づけよ。
…その恋は、間違ってるんだって。
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na > 俺、シャケと付き合う事にした。
6人のグループラインにふと現れた、nakamuの一言。
既読の文字は1分以内には5と現れていた。
sh > お前、今言うのかよ!
3分ほど経ってから、シャークんがそう言った。
kn > nakamu、それ本気?
きんときからのその言葉の意味は、皆、分かるようで分かっていなかった。
nakamuがきんときのことを好きなのは周知の事実。
なのに、そのnakamuがシャークんと付き合った。
na > 本気だよ
短く送られた、その一言は、どんな意思が込められているのか。
誰も、何も分からなかった。
kn > そっか。おめでとう
文字だけでは、顔までは分からない。
文字だけでは、本心なのかも分からない。
文字だけでは、感情までもは分からない。
続いて送られたスマイル、きりやん、Broooockの「おめでとう」は、分からないのに、どこか…
静かな雰囲気を纏っていた。
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br視点
na > 俺、シャケと付き合う事にした。
「………は?」
え、何それ。どうゆうこと?nakamu、きんときのこと好きだったんじゃ………。
「……なにこれ」
どうゆう状況なの?これ。誰か説明プリーズ?
「…えっと?nakamuがシャークんと付き合ったって事は…?」
sh > お前、今言うのかよ!
うわ、マジか。…え、これ結構最悪じゃない?この状況、割とマジで最悪だよね?
kn > nakamu、それ本気?
あ〜…きんさん事実確認しちゃってるじゃん。
まあ、そうだよね。信じられないよね。
今まで自分のこと好きだった人があっさり自分のこと諦めて別の人に言い寄ってるんだもん。
「…nakamuの恋心って、そんなもんだったのかなぁ………」
na > 本気だよ
kn > そっか。おめでとう。
あ、僕も…おめでとうって言わなきゃな………。
祝いの言葉って、義務感から贈るのってなんか違うよなぁ………と思いながら、
『おめでとう』
僕は、2人にその言葉を送った。
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「最近、Broooockときんときよく一緒にいるよな」
ふと、きりやんがそう言った。
Broooockが「あぁ」と言って、
「そういや僕ら、付き合い始めたんだよねぇ〜wね、きんさん」
「いや〜、そうなんすよ〜…実はw」
2人してそうちょけてそう言った。
「「「「………は?」」」」
4人の声が、ピッタリと揃って。その声は、
疑惑、絶望…そんな雰囲気を纏っていた。
nakamuとシャークんが付き合って1週間後の出来事だった。
「おまっ…それ、マジで言ってんの⁈」
「なんで、お前らが…………?」
「お前ら全然そんな雰囲気無かったじゃねぇかよ!」
「………ほんとなのか…?」
4人とも、理解ができない、そう喚いた。
「haha…なんか意気投合したんだよねぇ〜w」
「そ。急にね。そっから“付き合ってみるか〜w”つって〜w」
笑い合う2人と暗い表情を浮かべ4人。
ある意味………
絶望的状況だった………。
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kn視点
nakamuから、シャークんと付き合ったという報告を受けた1時間後くらいかな。…急に…思いだしたんだよね。
Broooockは、スマイルに失恋しるんだっけ。…って。
じゃあ、Broooockはスマイルに、俺はシャークんに失恋してるって事になるな…
………ちょうど良い
俺は、Broooockとのライン画面を開き、文字を打ち込んだ。
『Broooock』
『傷の舐め合い、しない?』
返事は、YES。そりゃそうだよな。Broooockも、スマイルに失恋したんだもんな。
br > でも、なんで舐め合いなの?
br > きんさん失恋してなくない?
ああ、俺誰にも言ったこと無かったっけ…。
『俺実はシャケの事好きだったんだよね。まあ、今も好きだけどw』
既読はすぐについた。なんて返ってくるかな、なんて考えれば、着信音が部屋に響いた。
「もしもし?Broooock?どうした?」
「ッきんさんそれマジなのッッ⁈⁈」
「えぇ…wマジに決まってんじゃんwなんでこのタイミングで嘘つくんだよw」
「………マジで……?」
「うん」
「傷の舐め合い…楽しもうね。Broooock」
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6人が2人と2人と2人に分かれて数ヶ月が経った。
奇跡的にも、絶望的な嘘偽りの幸せは…ルームシェアを始めた今もまだ、続いていた。
だけど、嘘偽りの幸せ。
これには、終わりというものが必須だった。
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sh視点
「シャケ、俺と別れてきんときと付き合いなよ」
ふと、nakamuにそう言われた。
「………は」
なんで?告ってきたのお前からだろうが。なんで急に…それに、きんとき…Broooockと付き合ってるし…。
「ッなんで………」
「俺もそろそろ諦めたいからさ」
どうやらnakamuは、まだずっときんときのことが好きだったらしい。
だから、きんときに幸せになって欲しいから…
俺に、きんときと付き合ってほしいと言った…、………らしい。
「………………は?」
なんで
俺が、きんときと付き合えると思ってるんだ?
なんで
俺がお前の恋を終わらせなければならないんだ?
なんで
お前はお前の幸せを尊重しないんだ?
「ねぇシャケ。おねg 「ふざけんなッッッッッ‼︎‼︎‼︎‼︎」
俺は久しぶりに、怒りからの大声を放った。
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br視点
「ふざけんなッッッッッ‼︎‼︎‼︎‼︎」
シャークんの、そんな怒号が家に響いた。
なんだろ、と思って部屋から出れば、きんときときりやん、そしてスマイルも部屋から出てきた。
「…何があったんだろうね」
「とりあいず下行ってみるか?」
「そうだな…」
「………」
たんたんたん…と階段を降りていけば、シャークんの怒号が段々と、さらに明確に聞こえてきた。
「今更別れろ?何言ってんだよ!お前が言い寄ってきたんだろうが‼︎」
「言い寄ってきた…?んだよそれ。自意識過剰すぎじゃね?w俺はただ、戒めとして言っただけだよ?……付き合って………って」
「はあ⁉︎俺はッ…ただ…ッ、……お前が、辛そうだったからッ………‼︎…戒めって…何だよッ‼︎」
「そのまんまだよ。きんときへの戒めとお前への憎悪の現れ。ただそれだけ」
「ッ、そんなん知らねぇよ‼︎」
「そうだね。言ってないもん」
「ッ…、なんで、憎悪の現れから別れ話になるんだよ‼︎」
「…お前のせいだろうが」
「は………?」
「だから‼︎お前のせいだって言ってんだよ‼︎ 」
「シャークんとnakamu別れんの…?」
吃驚した。
今まで1ミリたりとも話題に出なかった別れ話。
それがまさか、このタイミングで出るなんて。…もうちょっとで付き合って半年だったのに。
「全部、…俺のせいだけど…なんでお前はッ、俺の告白にOKしたんだよ‼︎いい加減自分の気持ちッ…気づけよ‼︎‼︎‼︎‼︎」
「はぁ?…気持ちって…なに…ッ」
「…きんときのこと恋愛感情で好きなんだろ?」
衝撃発表。え、マジで?リアルマジのやつ?僕ちょっとついていけてないんだけど…?
とゆうか…きんさんってシャークんの事好きだったよね?
「………は」
きんさんが僕の隣で吃驚してる。 …ちょっと面白い。
「………」
「認めろよ。シャケ。…お前は、きんときのことが好きなんだよ」
「…気持ちって…それかよ。………とっくに気づいてるよ。…気づいたのはお前と付き合った後だけど。ずっと、俺は俺の気持ち、ちゃんと分かってたよ」
「はぁ………?」
「なら…ならなんでッ‼︎‼︎俺と別れなかったんだよ‼︎お前…きんときが誰のこと好きなのか分かってんのか⁈お前だよ‼︎きんときが、なんで辛そうな顔してたのか考えたことあるか⁈お前のせいなんだよ‼︎‼︎全部‼︎‼︎」
「はッ…んだよ。それ。知らねぇよ」
「ッ…」
「俺は、自分の気持ちを知ってて、nakamuの気持ちも知ってた。でも、きんときの気持ちは知らなかった。好きだったから、知るのが怖かったから、知りたいと思えなかった。きんときが辛そうな顔してんのは気づいてた。でも、なんでかは分からなかった。俺はお前みたく鋭くねぇんだよ」
「でも、今知っただろ」
「…本人の口からは聞いてない」
横に居るきんときがグッと何かを堪えるみたいに拳を握りしめ、少し下を向いた。
(きんさん…どうするんだろ)
ぴたりと止んだ口論は、まるで…きんときの返事を待っているようだった。
だけど、そんな静けさもnakamuによって変えられた。
「…一目惚れしたんだよ。きんときは。シャケに」
「…………」
「俺は、きんときが好きだ。だからこそ、きんときの幸せを願いたい。なぁ、シャケ。お願いだから、俺と別れてくれないか?それで…きんときと付き合ってくれ。頼む」
「…」
シャークんは、だんまりだった。
「俺は、きんときの幸せを願っているだけであって、お前の幸せを願ってるわけじゃない。だから、俺のことなんかは気にせずに…きんときを幸せにしてくれないか?」
「…」
「お前にとっても悪い話ってわけじゃねぇだろ?」
「……お前にとっては?」
「…は?」
「お前にとってはどうなんだよ。お前は、きんときのこと…俺以上に大好きだろうが!お前が前きんときの話してくれたときさ、俺…何も分かんなかったんだよ。嘘つく時の仕草とか…楽しい時の笑い方とか…全部…全部‼︎俺には分かんなかった…っ‼︎」
「いや…それは俺が鋭いだけじゃんか……。自画自賛だけど。…気にすんなって………」
「ッお前の幸せを犠牲にして、俺に幸せになれっていうのかよ!」
「ちがっ…」
「違う?じゃあ何だよ‼︎お前は自分の好きな人と自分の元恋人が付き合って…幸せそうにしてる所を見たいっていうのか?自分の幸せを犠牲にしてまで⁈」
「………ッうるせえな…………」
nakamuはそう言って、シャークんをきんときの方へ向かって押した。トン、ときんときの腕の中に収まったシャークんは、みるみるうちに顔を赤くして…それをみたきんときは、信じられないとでもいうかのような顔をして、それから、大事なものを包み込むようにシャークんを抱きしめ、薄ら、頰を赤らめた。
(あ、終わったな)
nakamuとシャークんの関係と一緒に僕ときんさんの関係も今、終わった。
嗚呼、どうしようか。
嘘の幸せが終わりを告げた。
nakamuはきんときの幸せそうな顔を嬉しそうに見て、僕らの横を通り過ぎ家の外へ出て行った。
「Broooock、頑張ってね」
nakamuは僕の横を通るとき、小さくそう言っていった………。
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nakamuが家から出ていって数分経った頃、ふときりやんが口を開いた。
「スマイル、俺らも別れよう」
「………ぁえ、 ぃッ…今?」
「今。」
「スマイルお前どうせ俺のこと好きじゃねぇだろ?」
「…!」
「…そんでもって、Broooockのこと好きだろ?」
「……ぇ」
Broooockが小さく声をあげた。
スマイルは驚いた顔をし、きりやんを見つめる。
きりやんは、小さく「気付いてなかったのかよ」と言い、笑った。
「はは…」
乾いた笑いをこぼしたきりやんはくるりと後ろを向き、肩を震わせた。
そして一言「…お幸せに」そう言って、家の外へと出ていった。
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na視点
きんときにシャークんは渡したから…俺とシャケは別れたことになってるはずで、
きんときは絶対にシャケを愛すからBroooockときんときも今頃には別れてるはず。
で、きりやんも自分のやってる…好きな人の幸せを壊す行為に気付いた…はずだから、
多分きりやんとスマイルもそろそろ…別れてるかな。
あ〜あ
終わっちゃったな
俺の初恋。
どうしようかな…
俺がきんとき以上に好きになれる人って…居るのかな
いや、違う。
…きんときみたいに、俺の全てを認めてくれそうな人って…
居るのかな………………。
………居たらいいな…
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まって下さい…素敵すぎます