テラーノベル
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ここに来て、何度目かの夜。
やっとベッドで、一人で寝れるようになった。でもまだ、落ち着かなくて、モゾモゾと動いて、きっとうるさいなって思われてるんだろうな。
「俺、兄ちゃんになるの?!」
「おーい元貴、聞こえるか?俺が兄ちゃんだぞ!」
「ひ……と、元貴には優しくするのよ」
「俺兄ちゃんだからできるし!」
なんだろう……これは、夢?
誰かの声がする。なにも見えない、真っ暗だけど、聞いたことあるような声がする。誰……?
「うわ!これが元貴?ちっちぇー!」
「ひ……とも、ちっちゃかったんだぞ~」
「俺、元貴のことぜってぇ守る!」
僕のことを守るの?そんな人いなかったよ?
ひ……とって、誰?どこかで聞いたことがあるような……。
「君は、もときって名前なんだよ。元気の元に貴族の貴」
「もとき……?」
「そう、元貴くん。良い名前だね」
あ、この人は、分かる。僕に名前を教えてくれた人。頭を撫でてくれた人。でも、すぐにいなくなっちゃったんだ。
「……さん、どこいったの?」
「……さん?あぁ、クビになったよあの人なら」
「可愛そうに、あんたは」
そうだった、僕は可愛そうな子なんだった。
でもじゃあなんで、なんで僕は、凄い人たちのところにいるの?なんで僕を大切にしてくれるの?
「……き、…とき!元貴!」
っは、え、なんで、滉斗さんがいるの?なんで焦ってるの?僕は大丈夫だよ?
「なんで泣いてんだ、怖い夢でもみたか?」
泣いてるの?僕が?……あ、本当だ。
夢は見てたけど、怖くはなかったのに。僕が、可愛そうな子だってことを忘れてたから、夢の中で思い出させてくれたよ。
「っ……ごめん、ごめんな」
滉斗さんが、なにかに謝りながら僕に抱きついてきた。なんで?滉斗さんは、なにも悪いことしてないよ?なんで、なんで、滉斗さんは、泣いてるの?
「……わりぃ。忘れてくれ」
起こしてごめんな。そう言って、涙をぬぐいながら、滉斗さんは部屋を出ていった。ベッドには、まだ滉斗さんの温もりと、二人分の涙の跡が残ってる。
起こしてごめんな、のごめんと、泣きながら言ってたごめんは、きっと違うことを謝ってる。
やっぱり変だよ、滉斗さん。涼架さんも変な人だけど、滉斗さんの変は、本当に変。涼架さんは、不思議って感じ。
「今度こそ、守るからな。元貴」
扉の向こうからそんな声がしたことに、僕は気付いてなかった。
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コメント
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あくまでも考察なのですが、若井さんと藤澤さんは義理の兄弟であり、大森さんと若井さんが血の繋がっている兄弟なのでは… 若井さん側からすると5話のシーンはかなり辛いですよね…? 続き楽しみにしてます!