テラーノベル
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「………」
一人、ベンチに座っている。
空がだんだんと暗くなり、きれいなグラデーションが出来上がってきていた。
何かを考えているのか、考えていないのか、自分でもよく分からない。
『お前がそうやって、止めてくれたんやで?』
「俺が…止めた………」
ずっと頭の中で響いてやまない彼が発したその言葉。
俺はそんなことしていない。していないはずなのに、何かがずっと引っかかったような感じがし、気持ち悪い。
思い出せそうで思い出せない。
誰もいない公園で、静寂の中一人座っている。
普段ならありがたいこの静寂が、今は逆にうっとおしく感じてしまう。
「明日、訊いてみるか…」
明日の学校で詳細を訊いてみよう、そう思いながらベンチから立ち上がる。
そのまま公園を出て、家へと帰る。
いつもと違い、複雑に悩みが入り混じっている自分の脳内とは裏腹に、いつもと変わらない道を歩く。
さっきまでグラデーションがかかっていた空も、すっかり夜の闇へとのまれていた。
夜ご飯や、宿題、お風呂などあらかた済ませ、あとは寝るだけ。
そうはいったものの、寝るのはそう簡単ではなかった。
今日一日は濃厚すぎた。
放課後の彼のあの言葉、自分の思っている以上の深い意味があるのではないか、そう考えると眠れそうにない。
「いいかげん、寝たいんやけどなぁ……」
一旦眠って頭を整理したい。
布団にくるまって、ぐるぐると頭を回転させる。
そうしてるうちに、段々と意識が遠のいていった。
『なぁなぁ?見ててや!』
『おらっ!!』
金属がこすれ合うような高い音が響くと同時に、勢いよく水しぶきが上がる。
『おまっ、何してんねん!止めろや!』
『ふはははっっ!!これ一回やってみたかってん!』
『笑ってんちゃうぞ!あ〜もうほら…水かかってもうたやんけ…』
『うわ〜ビッショビショやなぁw』
めの前で無邪気に笑っている少年。
当本人も、雨が降ったあとのように濡れている。
『あ〜おもしろかった!!』
『ぜんぜん。』
『も〜怒んなや!おれだってぬれとんねん、おたがいさまやろ!』
『みちずれにしやがって…』
濡れた服をしぼりながら言葉をかわす。
発する言葉には怒気をすこし含んでいるが、こころなしかとても楽しそうに見える。
『またやりたいな〜』
『…こんどは離れとくわ』
『え〜えんりょせんでえんに』
『またぬれるなんてごめんやわ』
『も〜■■■ったら、かたいこといわんでや』
『いや、■■■■■があ■なこと■るから』
『■ー■■■■■■■■■■い■■■!!』
『■■■■■■』
段々と言葉が聞き取れなくなっていく。
まるで何もなかったかのように。
「あれ…」
目が覚めると、もう朝になっていた。
どうやらあの状況でも眠れたようだ。
相当疲れていたのかなど思いつつ、学校の支度をする。
コメント
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うわ■の言葉が推測出来たり出来なかったり… 続き楽しみ〜✨️