S岡さんは謎が多い。
先日の件でなんだか興味を持って少しS岡さんのことを知りたくなって今度のバイトの時にでももっと話をしてみようと思っていたらサークルで使っている部室にS岡さんがいたりした。
「…なんでここに」
「俺幽霊だから知らなくても無理ないね」
S岡さんはそう言って横になった。
なんだか居心地悪い思いだが次の講義まで時間があるので仕方なくS岡さんの向かいに腰掛けてタブレットを取り出す。
S岡さんは誰が買ってきたのかわからないがずっと置いてあったコンビニでよく置いてる分厚い静かなるドンを読んでいる。
「そういえばA男、えーとこの間の学食でなんで賽銭とったってわかったんですか?もしかしてほんとに何か憑いて…」
「何?本当にあいつ賽銭ドロしてたの?」
漫画から顔をこちらの向けてニヤリと笑う。
この男、カマかけたのか。
「…当てずっぽうってわけでもないよ」
A男が肝試しに行ったという神社は割と有名なところらしくS岡さんも行ったことがあるらしく先日また訪れた時に窃盗や悪戯が頻発していると注意書きの看板が出ていたのだとか。
幽霊の正体見たり、ってやつさ。と言ってS岡さんはまた漫画に顔を戻した。
「…でも有名なところならA男たちかどうかもわからないんじゃ」
「それも簡単。画像を取った日付が俺が行った日の前日だったし俺が行った日は参道にも入れないようにしてあった。有刺鉄線でね」
そういうとS岡さんは漫画を置いて寝る、と僕に背を向けた。
聞いてみたらあっけない。そんなもんかと拍子抜けしてタブレットに顔を戻した。
「…まあ、あそこ賽銭箱なんてないけどね」
ポツリとS岡さんが呟く。
え?なんて?僕が何もいわずにいるとS岡さんは続けた。
「狐にばかされたのかもね」
指で狐を作ってコンッと一声鳴くとおやすみと言われた。
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