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深夜。人気のないビルの屋上。
少し風は冷たくて、街の喧騒もここには届かず空は酷く静かだった。
なるせを探しに来たらっだぁは、
手すりにもたれて空を見る、なるせを見つけた。
「…なるせ?…どうした?」
その声に、なるせはピクリと 肩をわずかに震わした。
「……なんで…そんな普通でいられるけ…」
「え…?」
「俺、こんな……お前のこと好きで、
ずっとずっと、そればっかで、
……どうしようもなくて………苦しくて……」
声が震えて、喉の奥がつまる。
「……でも、お前はいつも通りでさ……普通な顔してッから……
……おればっか、おかしくなッてて…
…なんなんこれ……」
らっだぁがそっとなるせの背中に手を置く。
なるせは顔を伏せたまま、拳で目をこすっている。
涙が止まらないのを、隠すように。
「……ばか……ほんま、ばか……
お前が、ばかすぎて……ずるい……好きすぎておれ、どうしようもない……」
らっだぁは、一瞬だけ黙って、
そして──ふっと笑った。
「そっか。……お前は泣くときも、俺のことばっかなんだね笑」
その声が優しすぎて、なるせは涙を止められなかった。
そんななるせの肩を、らっだぁはそっと自分の方へ抱き寄せた。
「──お前が泣くほど好きって、
俺にとっては、めちゃくちゃ嬉しいよ」
なるせが何かを言おうとした瞬間、
らっだぁがゆっくりと顔を近づけた。
泣き顔のなるせに、
そのまま、そっとキスを落とす。
長くも短くもない、ただ”好き”が伝わる様に。
「なるせ、だ〜いすきだよ」
なるせは、目を伏せて、 ほんの少しだけ笑った。
「……やっぱ、ばかだよ、お前……」
「うん。俺はバカでいいよ」