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逃げたり、やらかしたり

15 - 第15話 だから!ふざけんなって!!

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2025年07月15日

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──翌朝。

レイは玄関先でネグに苦笑しながら言った。


「……程々にな? 本当に。」


その声にネグは、静かに「うん……わかってる」と頷き、再び謝りに家へ向かった。


リビングへ戻ると、だぁはいつもの優しい顔で迎えたものの、事情を聞くと口元を押さえながら肩を震わせ、ついには吹き出すように笑った。


「ぷっ……ふふっ、いや、もう……さすがに……っ」


夢魔は腕を組んだまま、険しい表情を崩さず睨んでいた。


すかーに至っては完全にガチギレ状態。

顔を真っ赤にし、眉間に深い皺を刻んだまま拳を震わせている。


マモンも声は出さないものの、肩を震わせ必死に笑いを堪えていた。


ネグはそんな中、申し訳なさそうに小さな声で呟く。


「……いや、ほんとに……うん……ごめん。」


だがその言葉に、すかーは静かに、そして確実に怒りを込めた目で睨んだ。


「……今さら、何回目だと思ってんだよ……」


夢魔も低い声で続ける。


「……許すわけないだろ。」


重たい沈黙が流れる。

リビングの空気はひたすらに重く、ピリついていた。


その時。


「ピンポーン」


インターホンが鳴った。


「……宅急便か。」


すかーが立ち上がり、ネグもついて行く。


玄関前――


配達員が荷物を持って待っていた。


だが。


「わっ!」


ネグの小さな悲鳴。


ツルツルと滑る床――

わざとじゃない。本当にツルツルすぎる。


「おい、マジで……!」


すかーが振り返った時にはもう遅かった。


ズルッ――


またもやネグの手が、すかーのズボンを掴んでしまい、そのまま下着ごとズボンをズルッと下へ。


「う……っ……あッ……!!」


目の前には配達員。


「……あ、じゃあ……ありがとうございました……」


配達員は目線を逸らしながら、静かに逃げるように玄関から去って行った。


だがすかーの顔は真っ赤どころじゃない。


「……ッッ……なぁ……マジで……!!」


拳が震え、怒りと恥ずかしさとで呼吸すら荒くなる。


その状態のまま、ネグがまたもや手を伸ばしてしまい――


(え、また……?)


ネグの指先が、何も考えずすかーの下半身を掴んでいた。


「……ッッ……あッ……あああああああッッ!!」


すかーは膝をつき、地面を叩きつける勢いで手をつきながら悶えた。


顔は歪み、目元には涙が滲み、唇を噛みしめて。


「だから……マジで……なん、でだよ……!」


苦しそうにかすれた声を上げる。


ネグは目線を逸らそうとしつつも、口からつい漏れてしまった。


「……ださ……笑」


その一言で、すかーの怒りは完全に限界を超えた。


「お前ぇ……ふざけんなぁ!!」


全力で怒鳴りつけたいのに、声が裏返るほど痛くて悶えている。

そのままネグは上着をサッとかけて、隠すようにして立ち去った。


──リビングへ戻ったネグは、夢魔の存在に気づかず――


「わっ……!」


またぶつかり、そのまま夢魔のズボンに手が伸びた。


ズルッ――


「……ッ……やめっ……!!」


夢魔の顔が真っ赤になり、喉を詰まらせたような苦しそうな声。


「……ッ、ッ……!!」


ネグの手は、完全に無意識だった。

またもや下半身をギュッと掴んでしまっていた。


夢魔はうめきながら、眉をひそめ、苦しそうに身体をくの字に折り曲げる。


マモンとだぁはすぐ横にいて、目を見開いたまま、完全に呆れていた。


ネグは「……ほんと、悪気は無い……」と声を震わせたが――


夢魔は振り絞るように声を上げた。


「……離せっ!!」


ネグはハッとして手を離し、すぐにその場を離れようと玄関へ。


だが――


すかーのことをすっかり忘れていて、玄関先ですかーの下半身へ――


「ぐああああああああああああッッ!!」


すかーは完全に床に倒れ込む勢いで悶えた。


その顔は涙まで滲み、苦痛で声にならない呻き。


「っ……なん、で……俺ばっか……」


──外。


ネグは再びレイの家へ逃げ込み、全てを話した。


レイはもう完全に腹を抱えて笑っていた。


「いや、マジで……! なんでそこまで!? もう漫画超えてんぞそれ……!」


ネグはうつむいたまま、小さく呟いた。


「……ほんとに……悪気はないんだけど……」


レイは涙まで浮かべて笑いながら、肩をすくめた。


「ほんまにさ……あいつら、よく耐えてんな……」


──すかー・夢魔視点、その後。


ソファに倒れ込んだすかーは、ズボンを必死に直しながら唇を噛み締めていた。


「マジで……マジで許さねぇ……」


夢魔もズボンを直しながら、ため息を吐きつつ、苦笑すら浮かべていた。


「……あいつ、次やったら……ほんと、怒鳴るどころじゃ済まさねぇぞ……」


だぁとマモンはその様子を見守りながら、微妙な顔で静かに見守っていた。


リビングの空気は、またもや重く沈み込んでいた。


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