テラーノベル
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私は一人では浮けない。
だから誰かに引っ張ってもらって初めて浮ける。
逆に引っ張ってもらっていないと、支えがないと。
だんだん溺れて呼吸ができなくなり、声すらも失って、助けを求めることもできないまま深い深い海の底へと落ちていく。
そうしていくと、だんだん浮いていくことすらも憂鬱になってくる。
なぜ浮く必要性があるのか、どうして深海にいてはダメなのか。
どうして自分はこうなのか。
上の光はあんなにも眩しいけど、深海にしかいれない私はどうすればいいのか、どうすればあの光に行けるのか。
そんなことをばかり悩んでしまう。
やがて上の光も雲に隠れて見えなくなって、私はついにその道筋すらも失ってしまうのではないかと。
そんな不安に時々駆られる。
そうなると深海が私の当たり前になる。
深海はそこまで暗くはない。
ただたまに上から眩しい光が入ってきて。
あぁ、光ってあんなに眩しいんだな。
あんな風に光を一身に受けてみたいな。
あんなところに行けたらな。
なんて考えてしまう。
その度に自分が今いる深海の暗さやゴミの多さに気がついてしまうから。
でも私は泳げない、ただ深いところで歩きさまようことしかできない。
上に行こうにも地面に長い鎖で繋がれて、それに引っ張られてしまうから。
その鎖がなんなのかどう外すのかも知らないから。
誰かが引っ張ってくれないと、私は海面に浮上することすらできない。
一人で泳げるようになりたい。
それが私の願いだ。
コメント
1件
うわー、めっちゃ刺さった……。深海と鎖の比喩がずしんと来た。「一人では浮けない」って自己認識を持ちながら、それでも「一人で泳げるようになりたい」って願うのが切なすぎる。誰かに引っ張ってもらわないと浮かべないもどかしさ、でもその依存から抜け出したい葛藤、すごくリアルだった。まだ1話だけど、この主人公がどう変わっていくのか気になる。深海の描写が詩的で、読んでて自分の内側を見られてる気分になったわ。
753(nagomi)
くるみ
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