「なんてこったい」
凪誠士郎は狼狽えた。
あの氷遊び事件以来、
『#潔世一はみんなのオモチャです』
と幾ら付けてツイートしても、当選しない。
潔世一に直接問いただしてみるも、
「先約があるから」
と、素っ気なくあしらわれる。
そりゃあ、潔と寝たい輩はわんさかといるだろう。一度ヤったら、ハマるのも頷ける。
でも、だからって避けられるのは納得いかない。
自分だって、定期的に潔を抱きたい。
凪は、潔成分不足で、ムラムラしていた。
昨夜も、潔の痴態や喘ぎ声を思い起こして、自分でシコッただけでは飽き足らず、当てつけで御影玲王を代用品にして犯したくらいだ。
玲王を抱くのは最後の手段だ。あまり使いたくはない手だ。つけ上がらせてしまうから。
冒頭に巻き戻って。
凪が狼狽えたのは、その日、練習時間になっても、潔がグラウンドに姿を見せなかったからだ。
腹を下して、何度もトイレに駆け込まざるを得なかった、あの氷事件のときさえ練習には参加していた真面目な潔が、練習に来ないとは。
由々しき事態だ。
何かあったに違いない。
「絵心サン。潔世一が練習に来てない、デス」
指導者である絵心甚八に訴えかける。
「ああん?」
凪は、絵心が好きでは無かった。はっきり言って、苦手で嫌いだった。
高圧的で、思いやりがないし、候補生を『才能の原石ども』と括って、人として見ていない節がある。
「ヤツなら、男とヤリ過ぎて、腰でもいわしたんだろう」
「来ないのは、おかしーです」
「放っておけ。やる気の無い奴は、篩から落とすだけだ」
絵心は眼鏡をクイッと持ち上げて、吐き捨てるのみだった。
結局、潔は午前中の練習に参加しなかった。
昼休み。
凪は潔の部屋を訪ねた。
コン、コンとノックをするが、返事は返ってこない。
だが、鍵は掛かっていないようだったので、
「潔、入るよー」
と、ドアを勝手に開けて押し入った。
中は真っ暗。
凪はまず、明かりを点けた。
すると、浮かびあがる潔の姿。
潔はベッドの上に、布団を頭から被って座り込んでいた。
「潔?」
「……凪?」
「うん。練習に来ないから、心配で様子見に来た」
「……」
ぽふっ。
潔は顔だけ布団から出した。まるで甲羅を背負った亀みたいだった。
その表情は冴えない。
「もしかして、まだ下痢治ってなかった?」
もしや悪化したのではないか、という可能性を、凪は考えた。
「下痢は、あの日のうちに治った」
「オレのこと、怒ってる?」
「怒ってる」
「どうやったら、許してくれる?」
「これ、治してくれたら、許す」
パサッ。
潔は布団を脱ぎ捨てて、脱皮した。
彼は着衣を身に着けておらず、全裸だった。
「……どこが、お悪いんで?」
一見して、潔の身体のどこが問題を抱えているのか、凪にはサッパリだった。
「よく見ろ。チンポの先!」
「んむむ」
凪は潔の股間に顔を近付けた。
アップになった潔のペニスを真顔で観察する。
その先端からは、涙が零れていて、糸を引いている。
「先走りが、先走りが、止まらない!」
潔が悲痛な声を上げた。
確かに、シーツの上には、先走りが作ったであろう水たまりが出来ている。
「え。本当に?」
「本当だ。だから、外にも出られなかった!」
「いつから?」
「昨日の夜から」
「昨日は誰とヤッたの?」
「凜と」
あんにゃろう。
変態帝王め、どんなアブノーマルセックスを潔に強いたんだ。
「凜と、どんなエッチしたの?」
凪は平静を装って、尋ねた。
「凜は……細い棒状の淫具を使って、尿道を抉るのが好きだから……」
潔の恥じらった細い声。
「そんな、プレイしてんの?」
尿道攻めとは、また、無茶なことをする。ていうか、羨ましい。
「ウン」
「そんじゃあ、ほぼ完璧に、悪いの凜じゃん」
「たぶん」
「責任を取らせよう」
「え。どうやって?」
「とりま、呼び出す。のは、ひとまず置いといて」
凪が言葉を句切ると、
「?」
潔が疑問符を浮かべた。
「腹ごしらえしとこっか。朝からなんも食べてないんでしょ?」
朝食時も食堂に姿を見せなかったので。
すると、タイムリーに、ぐぎゅううう、と潔の腹の虫が鳴いた。
「腹、減ってるんだった……」
「潔のニブチン。ちょっと待ってて。食堂行って、なんか調達してくるから」
「う、うん」
いちおう、病人(仮)の潔を置いて、凪は部屋を後にした。
食堂で、潔の朝食兼昼食を見繕う。
メインとサラダとビタミンたっぷりのオレンジジュースをテイクアウトして、部屋に舞い戻る。
「凪、おかえり!」
潔が待ちかねたように、ベッドの上で跳ねた。
「じゃーん。ポルチーニ茸のチーズリゾット!」
凪は潔の眼前に、容器を置いた。
「朝ご飯食べてないから、いきなり重いもの食ったら、胃がびっくりすると思って、リゾットにした」
「ありがと」
ベッドの上で全裸のままがっつく潔を、椅子に座った凪は微笑ましく見ていた。その間も、潔の筒先からは、ダラダラと先走りが垂れっ放しだった。こりゃ、重症だ。
「ふいー、食った、食った」
潔は腹をさすって、最後にオレンジジュースのパックを吸った。オレンジは今年、世界中で不作らしいので、超貴重だ。
しばらくインターバルを置いてから、
「じゃあ、本題といきますか。凜を呼び出すよ」
凪はスマホを取り出すと、糸師凜に電話をかけて、部屋に呼び出した。
しばらくして、凪が呼びつけた凜が、潔の部屋を訪れた。
「俺を呼び出すとは、どういう要件だ」
凜の機嫌はすこぶる悪かった。
「あんたが、大人の玩具で潔を嬲るから、潔のカラダが壊れた」
凪が責めた。
「ちゃんと、イかせてあげた?」
「俺が気持ち良くなれれば、それでいい」
「それが悪いんじゃん」
かくかくしかじかで、と凪が凜に、潔の状態を説明した。
それを、潔は黙って聞いていた。
「それが、俺のせいだって言いたいのか」
凜は不服そうだった。
「だから、潔のカラダがまだイけてないって勘違いしてるんだ」
多分、と凪は分析した。
「責任、とれ」
「どうしろって言うんだ。俺は医者じゃない」
凜の言うことは尤もだったが、既に凪の答えは出ていた。
「潔のカラダに、快楽を与えて、オーバーヒートさせる。そしたらきっとびっくりして、先走りも止まる。だから、これから、3Pをする!」
「は、はあ?!」
素っ頓狂な声を上げたのは潔だった。
「まぁ、そういうことならやぶさかでは、ない」
凜もやる気だ。
「潔は凜にどんな不満がある?」
凪は潔の意見を求めた。
「……キスしてくれないことと、フェラしてくれないこと」
ボソッと潔が告白した。
「凜、聞いた?」
「ああ。特別に、頼みを聞いてやる」
凜もいちおう、責任を感じているようで、素直だった。
「そんな訳で、じゃあ、始めようか」
凪が音頭を取ると、凜も着衣を脱ぎ始めた。
誰も彼もがサッカーで鍛えられた、立派な肉体を持っている。
全裸の男子高校生が三人。見る人が見たら、パラダイスみたいな光景だった。
まず、手始めに、潔ご希望のくちづけを、凜が与えた。
「ん、んむ……」
絡み合いは激しく、チュパチュパと音が鳴る程だった。自分はあくまで補助、と言い聞かせて、凪は背後に回り、潔のうなじや背中を唇で吸い、首筋や肩や胸などを、両手でまんべんなく愛撫した。
「ンア」
くちづけの合間を縫って、凜は潔のペニスを握り込んで、扱き、育て始めていた。
「ン、ンン、ン、くあ」
潔の肩が小刻みに揺れる。
「本当に先走りが止まらねぇんだな。もう、手がぐちょぐちょだ」
凜がペニスを握っていた右手を挙げた。
開いて閉じると、先走りが、まるで粘着質な液体に浸したみたいに、糸を引いて、垂れた。
そうして、凜は潔のご希望その2であるフェラチオを始めた。潔のベニスを自らの口腔内に取り込んで、行為をする。
「は、ふ、ふあっ!」
心地良いのだろう。潔の腰が浮いた。
「くあっ、り、りん。歯を、立てない、で」
「むう」
凜が文句を言うなとでも言いたげに、潔を見上げていた。
それを見ていた凪は、自分だけ取り残されたみたいで、悔しくなり、
「潔、オレもいるよ。ちゅーして」
と、ぐるりと潔の頭を後ろに回した。
「う、ウン」
むちゅっ。
久々の潔の唇の感触を楽しむ。
上顎を舐めたり、舌根を吸ったりして、凪は潔を味わった。心なしか、潔の反応がいつもより敏感だ。凜にフェラチオを受けながらだろうか。
「う、う、ううん」
分泌される唾液も大量で、甘い。
凪はそれを喜んで飲み込んだ。
そのとき、潔の舌が硬直した。
涙が流れてくる。
凪が唇を離すと。
「う、くはあ、あああ!」
凜の頭を掻き乱しながら、潔がイッたかららしかった。凜はそのまま、また、潔にくちづけた。多分、潔が出した精液を口に残したままだ。
凪は、潔の背を舐めながら、閉じたままの菊座に、指を二本忍び込ませた。思った通り、昨夜も凜と寝たばかりのそこは、簡単に指を飲み込んだ。
中が温くて、柔らかい。
指を閃かせていると、だんだん襞が濡れてきて、吸い付いてくる。
「ん、んぐ、んん、んう!」
潔が腰をくねらせる。
「ふう……」
すっかりほぐれたから、もういいよね、といきり立った自分のモノに手を添えて、潔の菊座を一突きにする。
「ヒッグぅ!」
ああ、やっぱ潔のナカはあったかくて気持ちいいなぁ。
淫筒が、ペニスに絡みついて、襞で撫でてくれるし、鼓動に合わせて食い締め、奥へ誘ってくれるから。
凪は潔の細い腰を掴み、自らも腰を使って、激しい抽挿を繰り返した。
潔は。
「はあ、はあ、はああうん」
凜と唇を奪い合い、お互いの雄を手で擦り合わせ合い、背後からは両乳首を凪に弄くられ、菊座を貫かれている。
まさに、空いている手がない状態だった。
三人の体重と、律動を受けて、軋みまくるベッドのスプリング。
たおやかにしなる潔の裸体はもう、気持ち良くない場所なんてないだろう。
全身にうっすら汗を敷いて、よがっている。
そうして、三人はそれぞれの欲望に付き従い、導かれるがままに、食らい合って果てたのだった。
「さ、3Pは激しすぎる……」
川の字でベッドに寝っ転がった、真ん中で、潔が疲れ果てて呟いた。
「キモチ良かった?」
「うん、すごく」
潔が顔を両手で覆った。恥ずかしいのだ。潔は照れ屋だから。
「先走り、止まった?」
凪が確認を取ると、
「あ、うん。そういえば……止まってる」
潔が自分のペニスを確かめて、そう答えた。
「やったね。オレの作戦勝ちぃ」
凪は勝ち誇って、潔の肩口にくちづけた。
その頬を、潔をまたいだ向こうから、凜が押さえつける。
「主に、俺がしてやったからだ」
凪はその手をどかして、
「元はと言えば、凜のせいなんだから、当たり前だ!」
と、ドヤった。
「なんだと!」
「こんにゃろう」
「二人とも、けんかはやめて。俺のために争わないで」
真ん中で、小さくなった潔が、竹内まりやの曲に出て来そうなフレーズを口にした。
ともかく、これで万事解決した。
めでたし、めでたしの、筈だった。
しかし、午後の練習をサボった三人は、翌日、絵心にねっとりぐちぐち絞られ、懲罰としてグラウンドを十周させられた。
「潔、オレにも尿道オナニー見せてくんない?」
「ヤだ!」
ここはブルーロック。
飢えたケダモノの吹きだまり。
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