テラーノベル
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────22:32
レギネは煙草をくわえ、ゆっくり火を点けた。赤い火種が闇に浮かび、吐き出した煙が夜風に溶けていく。
「──レギネ様!エムリットのテレパシー反応がありました!!」
部下の声が背後から響く。
レギネは煙を吐きながら、ゆっくり振り返った。
「へぇ、久しぶりじゃねぇか。場所は?」
「ミアレシティ、ブルー通り4番地のサビ組事務所内です」
「……サビ組?そらぁ……厄介な話だねぇ〜」
レギネの唇が、皮肉げに歪む。
サビ組──ミアレの闇を牛耳る巨大な組織と聞く
街の表通りでは誰もが恐れられるが、中には憧れる者もいるのだとか。
だが、レギネにとってそれはただの「面倒な連中」だ。
エムリットがそこにいるということは、また人間たちの勝手な都合で利用されているに違いない。
レギネの胸に苛立ちがじわりと広がる。
「そうなる前に保護したかったが……仕方がねぇな」
「レギネ様、サビ組の事務所の外見を見た感じだと、中への侵入は不可。真正面の入り口から入るしかないようで」
「……そうかい。あっち側も『こんばんは』って入れてくれるとこじゃねぇだろうしな」
レギネは煙草を指で弾き、灰を落とす。瞳が細くなる。
何か弱点があればいいが……ないなら、最悪正面突破でも構わない。ああいう組織の処理は慣れている。
だが、下手に騒ぎを起こして全面抗争になればこちらも面倒だ。出来ればそれは避けたい
「(……最悪、サビ組の組員の1人くらい拉致るか)」
そんなことを考えながら、レギネは煙を深く吸い込んだ。
「とりあえず、そのサビ組について調べるとするかね」
「かしこまりました。
数名、サビ組近くに待機させておきます」
「あー、あとサビ組関係者でピンクの瞳をした人間が居れば、必ず報告するようにな〜」
「かしこまりました」
部下の女が、他の組員へ指示を飛ばす。
レギネはもう一度煙草をくわえ、天井を見上げた その時、扉が開きミアレガレットを大量に抱えたアンヴィが現れる
「なんかバタバタしてるけど、どうしたのー?」
「相変わらず能天気なやつだな……エムリットのテレパシー反応があったんだよ」
「へぇ〜、どこどこ〜」
ミアレガレットを頰張りながら聞いてくるアンヴィに、レギネは少し呆れつつ、サビ組事務所で反応があったことを話した。
「見た感じ事務所には正面からしか無理そうだしで、とりあえず下調べしてるとこだよ」
「ふーん……サビ組……ん、サビ組……?」
アンヴィが何かを思い出したように、目を見開く。
〖その子、オレの女でな。しんどい言いよったから迎えに来たんやけど、迎え場所に居らんで心配やったんや〗
〖カラスバ言います。よろしゅう〗
シオンちゃんの彼氏だとか言ってた男。
黒の特徴的なスーツに、少しキツく見える丸メガネ。
背は低かったけど、雰囲気からしてこちら側の人間っぽかった。
それに極めつけはあのピンバッジ……
「ねぇレギネ、サビ組にカラスバって男いるとか分かる?」
「カラスバ?お前ソイツは、サビ組の頭や」
「頭!?…頭だったんだ…へぇー…って事は…」
「んだよ、ニヤニヤして気持ち悪ぃ」
シオンちゃんに会えて、エムリットのことなんかすっぽ抜かしてたけど、あの人の子供であるシオンちゃんとエムリットが出逢えば、確実にエムリットはシオンちゃんのそばに居るはず。
それに極めつけはサビ組事務所からのテレパシー反応。
サビ組ボスの女なら、サビ組に居ることは安易に想像できる。
「オレ、分かっちゃったかも〜」
「あ?」
「エムリットの居場所というか、今のエムリットの飼い主〜」
「はぁ?そんな都合のいいやついねぇだろ」
「いるんだってー!」
でも普通に奪うのはリスクが高いかもしれない。
相手はここ数年であそこまで上り詰めた組織なら尚更……どこかあそこにつけ入れそうな隙でも……
って、あるじゃん。あの2人を簡単に引き離せる方法が。
「ねぇねぇレギネ、エムリット捕まえるの俺に任せてくんない?」
「はぁ?詳しい詳細も聞いてねぇのに任せられるかよ」
「教えるから!!でも、その代わりレギネ達にはやって欲しいことがあるんだ〜」
そう言って、不敵に微笑み、レギネへ内容を話すアンヴィ。
しかしアンヴィの話を聞いて戸惑ったように冷や汗をながし、アンヴィを見つめるレギネ
「は……お前マジでそれやれって……」
「約束、覚えてるよね?エムリットの情報教える代わり、オレの探し物が見つかった時協力するって。何あれ嘘?」
「───お前の得意分野だろ?人を攫うのは」
戸惑うレギネの瞳を、真っ黒な瞳が覗き込む。その瞳にどこかゾッと底知れない恐怖を覚えたあと、レギネは舌打ちをし、「……わーったよ」 と、どこかまだ迷ったように瞳を揺らしながら渋々承諾すると、 アンヴィはコロッと気前のいい笑みを浮かべる
「ま!シオンちゃんが下手な事しなかったら、無理矢理どうこうしようとは思ってないからさ。
でも抵抗したら〜…その時はよろしくね?」
小さく笑ったあと、ミアレガレットを片手に部屋を去った。
「レギネ様、アンヴィ様から言われた内容は…?」
「まぁ、俺らがよくやりよった手口をやれって話だよ」
その言葉に目を見開く部下の女性
「はー……けど相手がなァ、ちょっと良心が痛むって話だよ。まぁ、色々やっといて何言ってんだって話だけどよ」
今まで対応してきたのはすべて悪側の人間、しかし今回は善良な人間を狙う
それに自分とも知り合いの人間を……
正直やりたかないが、約束は約束や
「……できるだけ、大人しくついてきてくれたらいいんだかな…」
コメント
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レギネは保護だからいい人なのか?アンヴィお前クソ野郎だった案外……