テラーノベル
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第83話
突然、爆発音が響いた。
お腹に残っていた食べ物は全部、吐き終わって周りを見渡すと……さっきあった街が消えてた。この異界の森は、三分の一しか残ってない。
出すもの出した後でも、胃液が出たがってる。
抑えようとしたけど、無理。呪いがつよくなるだけ。
取り敢えず、身体に従って胃液も全部吐き出した。
『忌み子はいらないわ』
そんな声が心の中で無駄にこだまする。
くそっ……こんな事で、左右されてるようじゃ、やってらんないのにっ……
「フハハハッ。これが見たかった。絶望する、その顔が……」
なんだよっ……まだ、終わってないだろ。
リナの事を見ると、絶望してた。黒い瞳には光が灯ってない。魔力の動きは……震えている。
恐怖。絶望。やるせなさ……沢山の気持ちが詰まっている。
くそっ……俺だって、動けるっ……
俺は、無理矢理立ち上がった。苦しいし、本当は立てない。けど、諦められないから、諦めたくないから、立ち上がる。皆、そうだ。
俺は、突っ込んだ。魔法を駆使したら、いつもと同じくらいで戦えるはず。
「なんだよ。絶望って。死を間近に、ひよることか? 独り残されて、怖がる事か? やるせなくて、見ていられない事か? 未来を歩むのが辛い事か?」
俺は、言いたい事を言ってやった。
絶対に負けないっ!
「何で、皆そうやって……っ!」
俺は、立つ事が困難になった。否、呪いが倍加された。
倍加というか、ギュッと締められる動きから、腹を蹴られるようになった。
倒れた後は、俺の上で足踏み状態。骨はいくつ折れたか分からない。
「ノアっ!」
リナは咄嗟に上のやつを殴ろうとした。でも、スッとすり抜けてしまう。
実体化では無いのかよっ……
リナっ……
「うっ……うがっ! あっ! ……っ……」
苦しい時の表情筋も、動かなくなってきた。周りの音がノイズだらけ。苦しい。
まだ吐き足りないような錯覚をする身体が邪魔をしてくる。
「私に、何か恨みがあるの? 私は、恨む事ばかりなんだけど」
#魔法
こはる
121
植まどか
136
こはる
1,676
601
「……そんなの関係無い」
冷たく吐き捨てられた。
「じゃあ……一方的じゃないって事で捉えるね」
そう言ってリナは、何でもない何かの気持ちの魔力の動きのまま、突っ込んだ。
怒ってるんじゃない。絶望でもない。殺意でもない……何だろう? あれは……
俺は、ぼんやりとする意識の中、リナの決闘を見届けた。
❂
俺が無限に湧き出てくる魔導師を倒していると、急に暴風が吹いた。僕は抗えずに吹き飛ばされた。
嵐じゃない……誰かの信念魔法だ。
信念魔法――否、思い通りにならなくて、ムキになってとんでもない魔法を暴発させる。
厄介者に目をつけられたな……
そう思った時、首を締められた。誰もいない。
何が起こったんだ?
少し遠くに、ラルフが見えた。でもローベルト様の姿が見えない。
僕は、ラルフの方へ向かおうとした。だけど、身体が思い通りに動かない。
『■■■に背負わせ過ぎるな。■■て、そんな■■■■■……』
ノイズが多くて聞き取れない。
くそっ……死ぬ……
僕は、横になった。もう、指先も動けない。
ぼんやりとして、死ぬ覚悟は出来ている。両親は、子供の頃に、魔獣に食い殺されて、兄は……決別した。もう、悔いは無い。
そんな事をぼんやりと考えていた死ぬ間際に「ライナー!」という、ローベルト様の声か聞こえた。
助けか……間に合わないんじゃ……
ローベルト様が僕の上半身を起こした。
「……呪い」
ローベルト様はボソッと呟いてから、解呪を始めた。
少しすると、息ができた。首絞めの呪いが解呪されて、消えたのだろう。
さっきは、何かを撃たれて、次は首絞めで……これこそ、踏んだり蹴ったりか。
「っはっ……はっ、はぁっ、はぁっ、っはっ……」
「大丈夫か? 肩を貸すから、一緒に戻ろう。これ以上は危ない」
まだ、ラルフがあっちに……
「大丈夫だ。ラルフは自力で戻っている。後は、あの二人だ」
『あの二人の所は危ないから行けない』と言う事だろう。
「リナは、きっと本気だろう。見たこと無いが、きっと負け知らずのまま帰ってくる。その隣でノアが支えている。そう思わないか?」
そうだな。そんな二人だな。
僕は、疲れ切った顔で頷いた。
「じゃあ、急いで帰るぞ。俺も、魔力は限界だ」
『魔力は』ね……
ラルフは、体力化け物だけど、ローベルト様もかなりの体力がある。
僕は、ローベルト様の肩を借りながら、ゆっくり。でも、確実にメルカディアへの道は歩いている。
……何で、死んでもいいって思ったんだろうか? 俺にも、仲間が沢山いるじゃないか……
夕暮れの少しだけ見える太陽が、俺たちの影を濃く長くさせていた。
コメント
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こはるさん、第84話読了しました…!もう、ノアの「諦められないから立ち上がる」って場面、すごく響きました。身体はボロボロなのに、それでも前に進もうとする強さが、ひしひしと伝わってきて。それからリナの「一方的じゃないって事で捉えるね」っていう台詞、なんだか切実で、読んでるこっちも目が離せなくなりました。夕暮れの太陽が影を濃くするラストも、余韻がすごくて…。最後まで諦めない三人の姿に、胸が熱くなりました!