第九話:新しい一歩、そして兄妹の絆
四か国からの支援を受けて、ソルグとルーナの国は目覚ましい発展を遂げていった。
中国の技術によって最新鋭の海軍艦隊が整備され、ルーナは指揮官としてその才能を存分に発揮した。ロシアの軍事支援でソルグの陸軍・空軍は強化され、国境の警備は鉄壁になった。アメリカの経済投資によって街は活気を取り戻し、多くの人々が笑顔で暮らすようになった。そして日本は、文化交流を通じて、ルーナの心に安らぎを与え続けていた。
ルーナは、もう以前のようにソルグの背中に隠れることはなくなった。
人見知りが完全に治ったわけではない。大勢の人の前に出ると、まだ少し緊張するし、声も小さくなってしまう。しかし、彼女の瞳には、確固たる自信と希望が宿っていた。
ある日、ルーナは日本に、一人で会いたいと申し出た。
🌙「…日本さん…お話したいことが…あります…」
ルーナからの申し出に、日本は心から喜んだ。
🇯🇵「はい、喜んで。ルーナさん、どうぞ」
二人は静かな公園のベンチに座った。ルーナは深呼吸をして、ゆっくりと話し始めた。
🌙「…私…日本さんに、どうしてもお礼が言いたかったんです…」
ルーナは、震える声で話し始めた。
🌙「…日本さんが、初めて私に優しくしてくれた時…私の凍りついた心が、少しだけ溶けたんです…折り鶴をくれた時も、日本に招待してくれた時も…いつも、私のことを気にかけてくれて…」
ルーナの目には、涙がにじんでいた。
🌙「…日本さんのおかげで…私は、少しだけですが、自分に自信を持てるようになりました。本当に…ありがとうございます…」
ルーナは、深々と頭を下げた。日本は、そんなルーナを優しく見つめ、彼女の頭をそっと撫でた。
🇯🇵「ルーナさん…私は、何もしていませんよ。あなたが、ご自身の力で一歩を踏み出したのです。そして、あなたのそばには、いつもソルグさんがいてくれた。それが、一番大きな力になったのでしょう」
日本の言葉に、ルーナは涙を拭い、微笑んだ。
その日の夜、ルーナはソルグの部屋を訪れた。ソルグは、ルーナの成長を喜び、部屋で一人、感傷に浸っているところだった。
🌙「…ソルグ…」
☀「ルーナ…どうしたんだ?」
ルーナはソルグの隣に座り、彼の手を握った。
🌙「…私…今日、日本さんに、お礼を言ったよ…一人で、ちゃんと話せたんだ…」
ソルグは、ルーナの言葉に驚き、そして心から喜んだ。
☀「…そうか…!ルーナ…すごいな…!よく頑張ったな…!」
ソルグはルーナを強く抱きしめた。
🌙「…ありがとう…ソルグ…」
☀「どうして、お礼を言うんだ?お前が頑張ったんだろう?」
🌙「…違うよ…ソルグが、ずっと私を守ってくれたから…私を信じてくれたから…だから、私は頑張れたんだよ…」
ルーナは、ソルグの胸に顔をうずめた。
🌙「…もし、ソルグがいなかったら…私は、今でも、あの暗闇の中にいたと思う…ソルグが、私の光だったんだよ…」
ルーナの言葉に、ソルグの目にも涙があふれた。8年間、ルーナを一人にしてしまった後悔と、それでも彼女が自分を信じていてくれたことへの感謝。様々な感情が、ソルグの胸に押し寄せた。
☀「…ありがとう…ルーナ…俺のそばにいてくれて…」
ソルグは、ルーナを抱きしめながら、彼女の頭を優しく撫でた。
二人の絆は、もう何があっても切れることはないだろう。過去の悲しみも、未来への希望も、全てを二人で分かち合い、支え合っていく。
ソルグとルーナの国は、兄妹の固い絆によって、力強く、そして穏やかに発展していくのだった。
(続く)