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第4話 監視対象
模擬戦の翌日。
魔法学園《アストラ・アルカナ》の空気は、どこか重かった。
レオンは廊下を歩きながら、はっきりと感じていた。
(……視線が増えた)
すれ違う上級生、遠巻きに様子を見る教官。
偶然にしては多すぎる。
「やっぱり、目をつけられたか」
独りごちた瞬間。
「レオン・クロウ」
背後から、凛とした声。
振り返ると、そこにはセラフィーナ・ルミナスが立っていた。
「話があるの。少し、いい?」
断る理由はない。
断れる状況でもない。
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中庭。
魔力遮断の結界が、さりげなく張られている。
(本気だな)
「昨日の模擬戦」
セラフィーナは単刀直入だった。
「あなた、私の魔法を無効化した。
防御でも相殺でもない。……“消した”」
レオンは沈黙する。
「どうして隠すの?」
問いは真っ直ぐだった。
「その力があれば、首席どころか――」
「目立ちたくない」
レオンは遮った。
「それだけです」
一瞬、セラフィーナが言葉に詰まる。
「……嘘じゃない。でも、全部でもない」
彼女はそう言った。
その時。
空気が、歪んだ。
「やはりここか」
低い声。
現れたのは、教官グラハムだった。
「学園長命令だ。
レオン・クロウ、お前は――」
彼は一瞬、言葉を選ぶ。
「監視対象となる」
セラフィーナが息を呑む。
「理由は?」
「昨日の“揺れ”だ。
結界が、悲鳴を上げた」
グラハムの視線は鋭い。
「この学園は、
“世界を壊しかねない存在”を
見逃さない」
レオンの脳裏に、
過去の光景がよぎる。
崩れる街。
泣き叫ぶ声。
自分の手。
(……だから、隠してる)
「抵抗は?」
「しません」
彼は静かに答えた。
「条件があります」
グラハムが眉を上げる。
「これ以上、
無理に引き出さないでください」
沈黙。
やがて教官は、ふっと笑った。
「――できるだけ、な」
去っていく背中。
残された二人。
セラフィーナは、そっと言った。
「逃げられないね」
「……慣れてます」
レオンは空を見上げる。
平穏な学園生活は、
もう望めない。
それでも――
彼はまだ、
本当の力を見せる気はなかった。
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