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※※※血、グロというより暴力あり。苦手な方はUターン推奨







面識はないはないし興味もなかったけど、ツレに協力しろと言われてとある男を痛ぶった。

途中から目的は変わり、随分と愉しませてもらったけど。


そいつにご執心なツレは発情期の犬のように襲いかかっていたのを見て、ネタにしてやろうとこっそり動画を撮っていた。


珍しい緑の瞳と黒髪のその男は嫌だやめろとと叫んでいた。

それを屈しさせたかったが、そいつは最後までオレらに堕ちることはなかった。


色気とは違って人を惹く何かが奴にはあったようで、昨日撮った動画もツレでなくその男を切り抜いていた。


「これでゆすれば、また…」


「へぇ?きみ、そんなもの撮ってたんだ」


焦って振り向くと薄い髪色に猫のようなフードを被った背の高い男が立っていた。


「?、あ。あんた写真の…」


ツレに見せられた写真にいた男だ。


「…このトラゾーとかいう奴の仕返し?」


「答える義理はない」


「動画消しにきた?それともオレを殺しにきた?」


細められる翡翠からは隠しきれない殺気が滲んでいた。

これは逃げた方がよさそうだと思った時には首元に衝撃が加えられ、意識が暗転していた。



目が覚めたはずなのに視界は暗いままで、目隠しをされていると気付いた。

しかも両手両足も縛られているようで、自分がどんな格好をしてるのかが分からない。


「…起きてるだろ」


微かな動きを見られていたのか声をかけられる。

どこから声をかけているかは見えないせいで分からなかった。


「随分、悪趣味なことしてるんだね」


オレの端末の中身を見たのだろう。


「お前には関係ないだろ」


「そうだね。きみの趣味なんて俺には全く1ミリも関係ないし、興味もないよ」


傍で何が落とされた。

その次にダンッとそれを踏みつける音が響いた。


「けど、彼にこんなことしてるの知っちゃったら許せるわけないよね」


「あいつ、何されたかお前らに言ってないの?へぇ?最後の方は悦んでたってのに」


「…悦んでいた?どこをどう見てそう思えんの?お前の頭に詰まってんの何?」


低い声に物怖じしそうになるのを堪えて言い返す。


「動画見ただろ?嫌だやめろって言いながらも喘いでたあいつ、トラゾーく…ぁ゛がっ⁈」


言い切る前に腹を思いっきり蹴られた。


「お前がその名前を呼ぶな」


目隠しを外されて、一瞬視界が眩む。

ゆっくり目を開けると、目の前にさっきの男が貼り付けた笑顔で立っていた。


「ねぇ、腕も足も縛られる気持ち教えてくれない」


床に転がされていたオレの蹴った腹をもう一度蹴り飛ばしてきた。

その衝撃で肋が折れたかもしれない。


「ぎゃっ」


蹴られたせいで胃液を吐く。

それに噎せて咳き込んだ。


「吐くなよ、汚ねぇな」


見た目に反して荒れた口調。


「ほら、身動きとれないで一方的な暴力受ける気持ち、教えろよ」


恐怖で口を開いた瞬間顎下を蹴られ、自身で舌を噛み切った。


「─────────!!?」


「あ舌無くなっちゃったね。これじゃ喋れねーか」


汚いものを見るようにして顔を顰めるそいつはオレを仰向けにして体を固定した。


口の中に鉄の味が広がる。

吐き出そうとしたらそいつはオレの顔も固定した。


「舌がないと気道塞げないから苦しいだろ」


ごぼごぼと噎せて、自分の顔に血が飛び散る。


「ぁ゛、ゔ、っぐ、ぇ」


「きみの口から何も聞きたくない。聞く必要もないけど」


謝罪なんてしたところで怒りがおさまるわけがない。

死にたくないのに、オレの死はもう確定してるようなものだった。


「俺らの大切な人を傷付けたんだ。許されるわけないよな?ずっとずっと大切にしてきたんだよ。愛してる人を傷付けられて怒らないわけないよね」


そいつは笑顔でオレの口に何かを取り付けた。

漏斗のようなもの。


「ところで喉が渇いてない?渇いてるよね。そんなきみに水をあげるよ」


手頃なサイズの水の入ったペットボトルを見せられる。


「ほら」


漏斗を伝って水が流れ込んでくる。

勿論、気道にも入り込むせいで激しく噎せる。


「がっ、!」


「え?もう1本?欲張りだなぁ。全く溢すからだよ」


次の1本を開けたそいつは容赦なく流し込んできた。


「んー…面倒だな」


2本蓋を開け同時に流し込まれる。

飲み込めず噎せて、床を濡らしていく。


「そういえば、きみ水中毒って知ってる?」


ころころと話を変えて、こっちのことはお構いなしだ。

質問には目だけで知らないと訴える。


「血中に流れるナトリウムが薄まると人って最悪昏睡に陥るらしいね」


それとこれとがなんの関係があるというのか。


「低ナトリウム血症っていって一度に大量の水を飲むと起こるらしいよ。俺も齧った程度だから曖昧だけどね」


次の2本。

腹がグルグルと音を立てている。


「水中毒ってのは腎臓が処理できないくらいの水を短時間で多飲して起こるんだって。……さて、きみは今どのくらい水飲んだのかな?」


「!!!!?」


「つっても、溢してるからそんな量じゃないか。水中毒になる前に溺死しそうだね」


呼吸が苦しい。


「陸でも人は溺れるんだよ。こうやって肺に水が入り込んで息ができなきゃ。それに肋が折れて肺に刺さってるかもだから大変だね」


自分の血と水で窒息しそうになって、もがこうにも固定された体は動かない。


「やめてほしい?死にたくない?」


固定された顔を縦に動かそうと必死になるが、それも動かず。


「やめるわけねーじゃん。きみが死ぬことは、もう決まってるんだよ」


と、水で膨れる腹に小さな痛みがはしる。


「あと、これも知ってる?ノーシーボ効果って」


オレの腹に傷をつけたナイフを見せる。


「人ってどのくらいの血液を失ったら死ぬと思う?」


オレの血がついたナイフ。


「大体30%以上失うと死ぬんだって」


そこでまた目隠しをされる。


「あ、結構血が出てきたね。きみの体の中の血、どんどん薄まっちゃうね」


水が流れ込み、腹を伝う血にパニックに陥る。


「うわ、まだそんな暴れられたんか。…ま、外れるわけねぇけど。あぁほら動くから傷大きく開いて血が流れてる」


腹の辺の服がどんどん濡れていく。


「まだまだ水はあるからいっぱい飲もうね」


どうしてこんなことに。

あの男で愉しんだことが間違いだったのか。

そもそも、関わろうとした時点でオレは終わったことが決まっていたのかもしれない。


「そういえば水中毒の症状の中に錯乱ってあったな」


そう言われても、意味を理解することはできず。

既にひどくパニックに陥った頭の隅で体内から失われていく血と、水で満たされていく体内に死を感じつつオレは打ち上げられた魚のように小刻みに跳ねることしかできなかった。








─────────────────








「あ、終わったよ」


『お疲れ様です。クロノアさん』


『クロノアさんにしては時間かけましたね』


「あぁ…俺の消した奴、動画残してたから」


『『は…?』』


「ちゃんと両方とも消したよ」


『人間の方はなんも……端末に残してやがったのか』


『だから、いつもより時間をかけてたんですか』


「そうだね。一瞬で殺ってもよかったけど、トラゾーを苦しめたのに割が合わないからね。できる限り苦しませたから大丈夫だよ」


『そこら辺もなんの心配もしてないですよ。クロノアさんだから』


『そうだ。トラゾーさん、クロノアさんが来ないから心配してますよ。何かあったんじゃないかって』


『ともさんの美味い飯食わせてもらって一眠りしてちょっと元気になったみたいですよ。俺らとかがいたから悪い夢見なくて済んだって』


「そっか。よかった」


『落ち着いたら早く来てあげて下さい』


『僕たちも待ってますから』


「うん、なるべく急ぐよ」


『最後の奴の居所はしにがみが見つけたんで、明日にでも』


『トラゾーさんにももう1日だけどお願いしてます。拗ねてましたよ、可愛い顔で』


「えー、見たかったな…」


『直接クロノアさんが言ったらもっと拗ねるんじゃないすか?ほっぺ膨らませて』


「それは絶対可愛い」


『『間違いない』』


「ははっ、なる早で向かうよ」


『『はい、待ってます』』

大切で大好きなあの子が傷付けられました

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コメント

6

ユーザー

やはりkrさんがいっっっちばん長くかけるんですね(仕留めるのに) …いや?これ限定か? krさん、ただでさえドSなのに…サイコパスになってる…笑:(´◦ω◦`): ノージーボ効果…でしたっけ? 確か思い込みの力で元気になったり、タヒんじゃうやつじゃなかったでしたっけ?🤔💭 これって確かポン酢さんの最初の作品にもありましたよね!(なかったら勘違いです)

ユーザー

1人目から3人目まで見たけどしにがみさんの可愛い見た目からは想像出来ない事をしてるのも凄い刺さるし、ぺいんとさんは一心不乱にやってるっていうか…トラゾーさんへの愛が溢れてて凄い好きです !✨でもやっぱりクロノアさんが一番好きです... 相手に語り掛ける感じすっごい良い...🔥

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