テラーノベル
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時は西暦2300年。人類はロボット兵との世界的な戦争『大破壊』により大多数が死滅した。
残された人類も、戦火により荒れ果てた荒野に身を寄せ合って細々と、しかし逞しく暮らしている。
文明は滅んだ。しかし、人々は確かに生き抜いていた。 モンスターや悪党が蔓延る、決して優しくはないこの世界で。
レオン「お会計、3500円になります。」
レオン。赤紫色の髪を持つ彼は、ごく普通のピザ配達員だ。 年齢は22歳。
ここ・コルツの街にあるピザ屋で働いている。
真面目。丁寧。しかし怒りの沸点が掴みづらいという、少し変わった性格の男。
こんな荒れて廃れた世界でも、ピザの配達を頼む客は一定数いるのだ。文明が滅んでいたとしても、食と人は切り離せない関係である。
レオン「ふう。ひと休み。暑いな…」
原付バイクから降りて、椅子にちょうど良いサイズの赤い岩に腰掛ける。風が心地いい温度だ。
空は青い。しかし大地は錆のような赤茶色。
これだけ世界が荒れていても、空の色は変わらない。 空気は澄んでいた。
人口が減り、工業生産力が下がった。その影響で地球全体の気温も若干低下している。
岩の上で静かに目を細める。
少し昼寝してしまいそうなほど天気が良い。
陽に当てられ、少し暖かくなった岩の温度が心地よい。
30分くらいのんびり座っていただろうか。
レオンは休憩を終えて、腰掛け代わりにしていた赤茶色の岩から立ち上がる。土埃を自身の革ジャンからそっとはたき落とし、それから原付にまたがる。
レオン「そろそろ帰らないと。日が暮れたら、またモンスターが増えてくるし…。」
原付バイクのエンジンをかけ、ハンドルを握り込む。ゆっくりとバイクが前へと進み始める。
レオンはこの荒れ果てた赤茶色の大地を少し気に入っていた。
物心ついた頃から変わらない風景だからだった。空は青く澄み渡っている。飲めないほど汚染された川でも、結局人は水の近くに集まる。
人々この世界でもたくさんの工夫を凝らして生きていた。
汚染された水を濾過し、飲めるようにする。
海水内の重金属を吸着して安全な塩を作る。
手工業で日常生活に足りないものを補う。
気温は20℃前後。春先の優しい風が、レオンの猫っ毛な髪を靡かせていた。
だが、そんな穏やかな時間もそう長く続かない。この世界は荒れ果てている。当然治安も悪い。
チンピラA「よお兄ちゃん。今日は天気がいいなぁ、ええ?」
チンピラB「オラっ、金目のもん置いてけや。何ならそのちゃっちぃバイク、鉄屑にしてやってもいいんだぜぇ?」
夕陽を浴びるような時間帯。
チンピラ2人に囲まれた。自宅まではもうすぐなのに。こういう人たちはしつこくて、結構面倒だ。
レオン「はぁ。俺、お金ないですよ。全部生活費に回さないといけないくらいなんです。」
チンピラA「生活費あるって時点で、渡せるだけの金は持ってんだろーが!」
レオン「だから、無いんですって。出せるお金。」
170センチほどしか無いレオンより、一回り大きいチンピラたち。モヒカンヘアーのドギツい男が2人だ。
チンピラB「出せるか出せねぇかは、俺らが決めんだよ!」
チンピラA「ええから出さんかい!このクソガキが!」
レオン「困ったな…そろそろ日が暮れちゃいますよ。」
その時だ。
レオンが一呼吸置いた。
瞳が急に鋭くなる。空気が少しだけピリつく。
レオン「いい加減うるさい。轢くぞ、その汚ねぇ革靴ごとな。」
突然火がついたように口調が荒くなる。表情は冷静そのものなのに。先ほどの穏やかな青年とは全く異なる、別人のような威圧感だ。とても背丈の低い華奢な男から感じられるレベルのものではない。
チンピラA「うおっ、コイツ…やる気かぁ!?」
チンピラB「なっ、なんか熱いぞ?」
チンピラA「ま、待て。落ち着け。」
夕陽が眩しい。橙色から徐々に深紅へと変わる頃だ。
すっかり夕暮れになってしまった。
真紅に変わった西陽がわずかに差し込む。
それがレオンの色白な肌を茜色に染めていた。
まるで燃え盛る炎のようにも見えた。
チンピラ2人は黒焦げだ。わずか数秒のうちに加熱され、その僅かな時間のうちに炭化したのだろう。しかし 炎はほんの一瞬で消えた。
何か燃料があった訳でもない。
レオン「…いけない。もう夕暮れだ。早く帰らないと…」
一瞬のうちに、自分以外の全てが燃えていたようだ。 この現象の概要すら、黒焦げのチンピラどもを見ているだけでは分からない。どういう原理なのか、どういうトリガーから発生するものなのか。
レオンの記憶の中では、12歳の頃からこんな現象がしばしばあったという。そして、物心が付いたという歳も丁度その頃だった。
時折発生する炎と何の関係があるのか。それすらもわからないままだった。
彼自身は自分の能力に気づいていない。なぜなら能力を持っている自覚がないからだ。
もうじき日が沈む。その前に家に帰り着かなければ。
コメント
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うわっ、魚住さんの新作読んできたよ〜!!📖✨ ポストアポカリプス×ピザ配達員って組み合わせがもうエモすぎるんだけど!?!?しかもレオンくん、見た目は普通の青年なのに突然沸点超えたときのギャップがやばい……「轢くぞ」って冷静に脅す感じ、めっちゃ推せる😭💕 んで最後の一瞬でチンピラ炭化させちゃう能力、本人に自覚ないってミステリー要素も気になりすぎる!続き早く読みたいよ〜!!📚🔥