ーそれから一ヶ月後。
無事に任務を終えたカルドが、オーターの執務室を訪れた。
「オーター。」
「カルド。」
仕事の手を止めてオーターが席を立ち、カルドの元へと歩み寄る。
カルドがオーターの腕を引き、彼を腕の中へと閉じこめギュッと抱きしめた。
オーターもカルドの腕の中でもぞもぞと動きながら、彼の背中に腕を回し抱きしめ返した。
そして、お互いに再会の挨拶を交わす。
「ただいま。」
「お帰りなさい。」
挨拶を交わした後、そっと体を離す。
「怪我はしていないようですね。」
「うん。苦戦しているって聞いていたから、正直きついかなと思っていたけどそうでもなかったよ。」
「・・・貴方ならそうでしょうね。」
「ふふ。それで君の方は?何もなかったかい?」
「はい。特に大きな問題はありませんでした。」
「そう、それは良かった。」
「はい。」
お互いに離れていた間の事を報告しあっていると、ふとカルドがある事を思い出しオーターに聞いた。
「そうだ、僕が置いていったリボンは?」
「リボンならここにあります。」
「え。」
オーターが左腕の袖をまくると、手首の辺りにカルドが置いていった赤いリボンが結んであった。
「驚いたな。まさか身に着けてくれていたなんて。」
カルドが呟きながら、オーターのリボンが結ばれた手首に触れる。
最初は嬉しそうに微笑んでいたカルドだったが、複雑そうな表情に変わっていった。
「カルド、どうしました?」
「いや、君が寂しくないようにとこのリボンを置いていったけれど、ずっとこのリボンが君を独り占めしていたのかと思うと、狡いなと思ってね。」
どうやらカルドは、自身のリボンに嫉妬しているらしかった。
オーターは一瞬目を見開いた後、ふっと口元に笑みを浮かべながら、カルドの肩口に額を押し付けた。
「オーター?」
「ご自分のリボンに嫉妬されたのですか?」
「そう・・・なるかな。」
「馬鹿ですね、貴方は。」
「酷いなぁ。」
「だってそうでしょう?・・・・・本物の貴方に敵うわけがないというのに。」
「オーター!」
素直なオーターの言葉にたまらなくなったカルドが、先程よりも強い力でギュウウとオーターを抱きしめた。
「ちょっ、カルド。痛いです。力緩めて下さい。」
「無理。君が可愛すぎるのが悪い。」
「私のせいにしないで下さい。それと私は可愛くないです。」
(いーや君は可愛いよ。)
心の中で呟きながら、オーターの言葉に構わずカルドがそのままギュウウと抱きしめ、オーターは諦めて好きなようにさせた。
するとオーターを抱きしめたままの状態で、カルドが低い声で呟く。
「参ったな。君の顔を見るだけのつもりだったのに。君の事、欲しくなったじゃないか。」
「!?」
ゾクッ。
その声の低さに一瞬オーターは震えたが、振りほどこうとはせず、のろのろと背中に腕を回しそしてこう返した。
「・・・・・良いですよ。」
「本当にいいの?もう止まれないよ。」
再確認するカルドにオーターはただ頷き、耳元で一言囁いた。
「抱いて、下さい。」
オーターのその言葉が引き金となり、カルドは彼の唇を荒々しく塞ぎ、何度も角度を変え口付けながら、そのままもつれるように二人はソファへと沈んだ。
ーその後は離れていた時間を埋めるかのように、お互いを求め合うのだった。
コメント
6件
続きを楽しみに待っていました! 抱きしめ合っているオーターとカルドがとても可愛いです! やっぱりカルオタはいいですね、金の風さんのを読んで改めて思いました(^^)自分のリボンに嫉妬するなんて、それほどカルドはオーターが好きなんですね、癒されます!
続き作ってくれてありがとうございます!!簡潔に言うとてぇてぇ、、、神すぎる!
初コメ?です!カルオタ大好きなんでめっちゃ癒されます!💕 ( ´ཫ` )♡