マスクの下の秘密
E p i s o d e 0 「約束」
??視点
「もう…行っちゃうの?」
「…うん」
小さい頃からの幼馴染
悲しそうな顔をしながらこっちを見てくる
「ねぇ…これだけで良いからさ…質問…答えてくれる?」
そう彼が問う
「うん。いいよ」
俺が同意すると彼は口を動かし質問をする
「ねぇ、なんで────はいつも…」
母「───〜?そろそろ時間よ〜」
「あっ…」
タイミングが悪かった
彼の質問を遮るかのように母が声をかける
「タイミング悪…」
そう彼が呟く
彼の質問に答えるか、もう母の所へ行ってしまうか悩んでいると
「いいんやで。行ってらっしゃい、」
彼が物足りなそうな、悲しげな表情をしながら送ってくれる
「ごめんね。いつか、絶対戻ってくるから、その時にね」
「…うん」
そうして約束をしたままだった
俺はまだあそこに帰っていない
帰れていない
でも今…帰るつもりだ
…といっても、彼の顔も名前も覚えてないんだよな…
唯一覚えてるのは声とあの独特な語尾だけ
「覚えてくれてるかな…」
忘れた奴の言葉じゃないけど彼には覚えていて欲しい
そして…思い出させて欲しいな