[ 逃 げ る 。 ] ◀ 決定
⚠︎ 長尾 傷付きます。 ⚠︎
「わかっ…たよ、絶対無事で居てね?!」
…駄目だ、今の僕じゃ足でまといになるだけな気がする。自分の無力さからぐっと拳を握り締めながら、彼の逃げろという言葉通りに出口へと向かう。大丈夫、景くんならきっと祓ってくれる、持ち堪えてくれる。そう信じて、自分に言い聞かせて。
ー 長尾視点 ー
「おう!勿論だ!!」
無傷で…というのは無理そうだが、確実に生きて帰るつもりだ。弦月が素直に…いや、納得はしていなさそうだが、逃げてくれたのは嬉しかった。彼奴意外と精神面弱かったりするし。
「かかって来いよ神様〜、」
割と晴は体力が少ない。それに多分徹夜してるから体重いだろうな。いや最悪のコンディションで草。そう内心で笑いながら晴へそう告げる。すると若干キレ気味で黒っぽい刀を出し、此方へ攻撃を仕掛けて来た。へぇ、武器のコピーとかなのかな。にしても煽り耐性もないなぁw
ガキン と刀で受け止めて振り払う、刀の技術量ならきっと俺の方が上だ。場数が違う。少し口角を上げながら、その後も刀の打ち合いが続く。
そして最終的に…その神は、晴から出て実態と化していた。
数分前
晴の体力が流石に減ってきたのか、其奴は大分息切れが生じていた。俺はあんましてないけど。んでまぁチャンスかなと刀を飛ばそうとした時に、晴から黒い霧が漏れていた。
「…ん?」
思わず疑問の声を零すが、手元は止まらず刀を振っていた時だった。ズル、と黒い霧が一気に、分離するように出てきた。うわ気持ち悪、なんて思っていると、晴はその場に崩れるように足元をフラつかせたもんで、咄嗟に頭を打たないように支えた。思わず息を確認する、大丈夫、晴は気を失っているだけだった。安堵するように息を吐いたその時、左から声が聞こえた。
パッと視線を其方へ向けると、少し驚くような表情を浮かべる。その魔が、人間体で、いやでも狐っぽい耳と尻尾が生えてる…?なんか既視感も有るんだが。
「こっちの方が楽だったかもしれんな。…まぁ良い、これで本気を出せる。」
本気を出せる、だって?いやまぁ別に良いけど…こっちも同じだし。実体が晴じゃなくなったんだから、遠慮なく切れるっつう事だ。そう考えたは良いものの、晴をどうしよう。うーん?と首を傾げて考えると、取り敢えず彼を部屋の隅へと押して移動させる。…此奴守りながら戦わないと駄目じゃんこれ、遅く気付いたその事実にげぇと嫌そうな顔を浮かべると、背後から気配を感じてガバッと晴を守るようにしながら姿勢を落とす。
そして顔を上げると、目の前の壁に少し切れ目が付いていた。割とギリギリのラインに。わぉ、なんて若干驚きながら、体を後ろへ向けるとなんか凄い殺気放った神がこっち見てた、普通に怖いんだが。
そう考えていると不意に刀を振り下ろされ、膝立ちのような状態で俺は刀を横にして受け止める。大丈夫、この程度なら___
その時、横腹に痛みが走った。それは傷口がとかじゃなくて、単に殴られたみたいな痛み。んーまぁ蹴られたな。普通に痛てぇ。声を出すのを堪えて、弱みを見せないように、刀を振り払って立ち上がる。
あー痛い痛い。片手で横腹を1度抑え、骨が折れていない事を確認すると、直ぐにまた刀の打ち合いが始まる。第2ラウンドが有るとか聞いてないんだが、なんて小さく息を切れさせながらも攻撃を続けていた。
その時に相手の顔をよく見るけど、其奴すげぇつまんなそうにしてんだよなぁ、神の余裕って奴?こうやって刀を交えていると、俺も多少切り傷が付いたりしてんだけどもそんな痛み感じないんよな、浅いから。あのー紙で指切った時みたいな感覚。
そん時、晴の方向からちょっと音がしたから振り返った。すると晴の周りに黒い霧が舞っていた。…なんだあれ。咄嗟に刀の打ち合いから抜けて晴の方へ走った。晴を膝の上に乗せて、体制を整えてから横抱きをする。ホントに世話の焼ける仲間だなぁ。相手の攻撃を避けながら、少し遠くへと晴を運んで小さく術式を唱え、彼の服へ1枚 御札を貼る。これで霧は近づけない筈。
流石に人を抱えながら攻撃を避けるのは俺でも疲れる。はぁと溜息を吐いている間も、相手は容赦なく攻撃を仕掛けてくるもんだ、あーヤダヤダ。
「…仲間が関わると隙が生まれるんだな。」
ふと聞こえたその声と同時に、後ろ首へ衝撃が走る。すると自然と体の力が抜けて、その場へ崩れ落ちた。
…は、?力の入らない体に困惑しながら、相手へ視線を送ると其奴は気味悪く笑っていた。それでちょっとだけ、微量だけど危機感を感じた。その危機感が当たりだと示すかのように、其奴は俺の腹部に蹴りを入れた。
「ゔ 、辞め … ッい”っ、た、!」
いや、一方的な暴力じゃん普通に。弱いものいじめみたいだな、いや俺弱くないんだけど。なんでこんな力入んない訳?あー神の力?馬鹿馬鹿しいな。そんな事を考えていても現状は変わらず、ただ身体的な痛みを与えられるだけ。晴が目ェさましてくれればなぁ。
痛みがこんだけ与えられるとやっぱ気を失っても可笑しくない。意識が薄れて行く中でも痛みは増加するのみ。あーあ、大丈夫かしらこれぇ。きっと痣できんぞ?痣ができた時の弦月ってくっそ怖いんだからな。あ”ー…もう無理かな。どうしよ、
?
[ 耐 え る 。 ] ◀
[ 意 識 を 手 放 す 。 ] ◀
[ 無 理 矢 理 反 撃 す る 。 ] ◀
[ 叫 ぶ 、 声 を 出 す 。 ] ◀
コメント
1件
続きありがとうございます!⸜(*ˊᵕˋ*)⸝ 長尾さんどうなっちゃうのでしょうか… 今回も面白かったです!!!!!!