僕は静かに外へ出た。
だって…断言できた。
あの声は確かに僕宛で。
あの人たちは誰か宛で。
信用できた。
多分この世界では僕宛のものはないから。
僕は裸足のまま、服はパジャマのようなもののまま。
走り出した。
街並みはよく出るファンタジーのようで。
電灯もなかったから真っ暗の中にお月様だけが光ってて。
走って曲がってたまに路地裏ですら通って、どこまでも行ける気がした。
気づいたら畑が広がってて、収穫前の稲穂はきらきらして、やがて森に入った。
ぺ「はぁ…はぁ」
そして、森の中でぽっかり空いた小さい原っぱで力尽きた。
お月様が綺麗だった。
雲がかかって、取ってあげたくて、近づいた。
ぺ「うぇあ」
情けない声と共に躓いて転んだ。
?「子供?こんなとこで?」
聞いたことのある声が頭の上で聞こえた。
ぺ「クロ…ノ ア…さん…?」
クロノア…?「クロノア?誰のことを言ってる?」
(確かにクロノアさんだった。)
黒い服で見えなかったのだ、だから寝っ転がっていたクロノアさんに躓いて転んでいた。
声は少し知ってる声より冷たかったけど、顔から優しさはあまり、なかったけど。
ぺ「…くろのあ”さん”」
それからいっぱい泣いてクロノアさんは少し戸惑った声で「大丈夫…?」それに僕は心から感謝した。
初めて俺を俺として慰めてくれた。
あの声にも感謝した。
(俺の知ってるクロノアさんじゃないけど、僕を僕として扱ってくれる人と合わせてくれた。
とても、嬉しかった。)
いつの間にか夜は明けて、薄く暖かい日が僕らを温めて、キラキラして。
クロノア…?「ちょっ…大丈夫…?」
ぺ「うん…」
クロノア…?「どっから来たのかはわかる?」
ぺ「ぁ… 」
もういろんなとこを曲がって入りすぎてここら辺を全く知らない俺にはあそこが何処か、どんな場所なのかすらわからない。
クロノア…?「はぁ〜、迷子か、」
ぺ「すいません…」
バツが悪そうににへらと笑った僕に彼はまたため息をついた。
クロノア…?「町の名前は?」
ぺ「えっと…ほんとにわからないです」
クロノア…?「マジ?はぁ、まぁ 近くの街に行って探すか〜?」
クロノアさんはチラリとこちらを向いた。
そして僕は言った
ぺ「家、帰りたくないんです…」
(帰りたくない。
当たり前だけど、僕じゃない人として僕を見られるのは本当に嫌だった。)
クロノア…?「そうか、でも、」
ぺ「お願いします…」
クロノア…?「だけどね、」
ぺ「お願いします……本当に…」
クロノア…?「…何かあった?」
ぺ「……。」
クロノア…?「はぁ…」
ぺ「!お願いします、お願いします…!」
クロノア…?「はぁ。ま、俺としてはいいよ。でもな、俺のところは君みたいな子には苦しい場所だぞ。」
ぺ「でも、僕としては見てくれる。」
間髪入れずに言う。
クロノア…?「…わかった、おいで。 」
そう言って、僕を撫でた。
クロノア…?「初めまして、君は俺を知ってるみたいだけど、クロノアじゃあなくてレス・ニード、レスでいい。」
ぺ「!はい、レスさん!」






