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「あらっ?どちら様?」
真っ赤な唇を動かしたのは髪をきつくひっつめた女だ。
俺は瞬時に考えた。
――一ノ瀬菊名義の家
――家族はいない、無人のはず
――何もかもを伝えていい相手かどうかは、No
「こちらの一ノ瀬さんとちょっとした知り合いで。近くまで来たので」
「菊の知り合い?菊と連絡取れる?」
不審者を見る目だった二人の雰囲気がガラリと変わり、男がやけに親し気に聞いてきた。
「どういうことでしょうか?あなた方は…?」
ここは慎重に対応すべきところ。
「菊は私の姪で、これは私の息子。菊が消えて連絡が取れなくて困っているの。あなた、連絡取れます?」
――叔母といとこ、ってことか
【親戚って…意味ある?】
という冷たい菊の声が、俺の脳内をクリアにする。
――意味のない親戚と解釈するのが正解か
「消えた?」
「ええ、何も知らずに来たようね。あの子、突然病院から消えたのよ」
「病院?」
「ああ…まあ、支払いなんかも終わっているからいいんだけど。大事な話もしたいのに、スマホは切っているみたいだし、ここへも帰って来ないのよ」
「母さん、この人は知らないで来たんだから詳しく言わなくていい」
息子が車のロックを解除して、運転席へ乗る。
「お二人でこの家の世話に来られていると?」
助手席ドアに手を掛けた叔母に聞くと
「菊が帰っていないか見に来ただけで、世話なんて。出来ればいいんですけどねぇ、鍵もないので。本当にあの子、どこに逃げたのかしら…」
彼女は忌々しいという雰囲気を隠さずに言いながら、コンパクトカーに乗り込んだ。
コメント
3件

世話出来たらいいと言うより家を乗っ取りたいだけでしょう。菊ちゃん一人にするのは危険ですね💦

希輔さん、どうやら菊ちゃんの事がわかり始めたようだね。クソ親戚とかね。 …病気、半年ってのは間違いで、嫌な病気じゃないとイイな。。とオバチャンは思ってる~😅💦
菊ちゃんが帰って来てないか毎日見に来てるんだな。 真っ赤な唇だって、喰われちゃう💦 ほんと忌々しい木野山親子っ!!! 希輔さん、 突然病院から消えた この言葉で菊ちゃんがなぜ急いでいるのかと、結びつけられるかな? そこに気づいて欲しいな。