ギシッ‥。
ベッドの軋む音と腰を打ち付ける音が合わさり、室内に響き渡る‥。
そして‥2人の吐息‥
足をさらに開き、結合部分を凝視する‥。ローションが泡立ち、俺自身をすっぽりと受け入れている様は‥とても淫らで卑猥だった。
「すげ‥全部入ってる‥わかる?藍?」
繋がれた嬉しさもあり、得意気に伝えると‥
「やっ///いわ‥んといて‥」
俺の視線から逃れるように‥顔を背けながら‥そう呟く。
せっかくの可愛い顔が‥見えない‥。
「藍‥こっち見て」
「やっ///」
「ふーん、あっ、そう‥それなら‥」
なかなか顔を見せてくれない藍に‥ふと意地悪をしたくなってきた‥
挿入していたモノを、ギリギリまで引き抜き‥一気に奥へと打ち付ける。
「んんっ、あっ、」
藍の身体が跳ねるようにビクンとなる。
「やっ、激し‥ムリ‥」
「ムリじゃないだろ?しっかり感じてるじゃん」
そう言いながら、藍の中心部分に触れると‥しっかりと屹立していてしごくと‥たまらないとばかりに腰が動いている‥自ら‥。
そして‥俺の動きに合わせ、藍の身体も‥揺れる‥
恥ずかしそうに隠していた顔も‥いつの間にか晒してくれて‥
快感にまどろむ顔は‥妖艶でトロンとした虚ろな表情を見せる。薄く開いた唇からは切なげな声が絶えず漏れ‥
無意識なのだろうか‥もっと欲しいと言わんばかりに、俺の背中に腕をまわし、甘える様は‥庇護欲を掻き立てられた‥。
「藍‥気持ちいい?」
「‥ん、もっと‥」
「チュッ‥可愛い藍‥俺にもっとしがみついて‥気持ちよくしてやる」
素直な言葉を口にする藍にそう告げ‥舌を絡ませながらキスを送る。
何度も‥
何度も‥。
挿入している欲望も‥藍の弱い部分を責めるように突き上げる。
熱い粘膜に包まれ、内側がうねるたびに‥腰の動きが早くなる‥止まらない。
腕の中に抱きしめていた藍の口から悲鳴にも似た声が漏れる。
「や‥だめ‥まっ‥て‥」
身体が震えている‥足が‥ガクガクとなるのが伝わり‥限界が近いのだろう。
「藍‥もっと欲しがって‥」
もう泣き声のような声に変化した藍の耳元で囁き、耳に舌を這わせる。
腰をさらに動かすと‥激しかったのか藍の両手が俺の動きを止めようと伸びてくる‥が、その手を掴み指を絡ませ封じ込める‥
「む‥り、これ‥以上は‥んんっ」
強い刺激に藍の瞳から涙が‥零れる。
それでも、求めるこの気持ちは抑えきれなかった。
身体に刻みたかったのだろうか‥
愛した証を‥。
藍が決して忘れないようにと‥
これ以上ないぐらいに深く内部を突き上げると‥抱えていた両足が小刻みに震え‥
「やっ、も‥いく‥ああっ‥」
藍の熱が腹部に放たれる。
そして‥
放ったばかりでぐったりとしている藍の内部に、俺の熱を放出する‥
‥ああ、終わってしまった‥
ゆっくりと自身を引き抜き藍を見つめる‥。
まだ少し放心状態の表情は、どこか遠くを見つめているような気がした‥。
「藍‥俺を‥愛してはくれないの?」
思わず出た言葉‥
見つめる瞳が揺れる‥。
「藍‥もう祐希さんは諦めろよ‥」
俺がいるだろ‥。そう呟く‥。
「‥‥うん‥‥ほんまやね‥‥」
俺の言葉に薄く笑う藍‥
最後にギュッと藍を抱きしめた。愛しくて愛しくて‥たまらない。
頰を擦り寄せると‥藍はふっと笑う‥
案外、甘えん坊なんやねと‥。
「お前がいねえと寂しくて俺、死ぬかも‥」
「くすっ、それなら一緒におらんとね‥」
「ずっと一緒にいてくれる?」
「‥‥うん、おるよ‥」
藍はそう言いながら‥頰を擦り寄せていた俺の頭を‥撫でる‥優しく‥
俺はチラリと藍の表情を見て‥目を閉じる。
ああ‥
お前は本当に‥
嘘が下手だよな‥‥。
そう思ったが‥言うまい。
もう少しだけ‥
このままで‥‥‥‥。
夜明け前‥ふと目が覚め携帯を見ると、起きるには早い時間だった‥
隣りでスヤスヤと眠る藍を起こさないようにベッドを抜け出す。
‥すっかり目が覚めてしまった‥。
起きた時の藍の為に、コーヒーでも買ってこようかと思いつき、可愛い寝顔を見つめ‥部屋を出た‥。
‥自販機で缶コーヒーを買おうとロビーに降りる。
しかし‥‥
自販機の前で‥見覚えのある背中が目に入った‥。
こんな早朝だというのに‥
1人
祐希さんがいた‥。
「何やってるんですか?こんな朝早く‥」
「えっ?あっ‥ああ‥もう起きてるの?早いな‥」
まさか人に会うと思っていなかったのか‥声をかけてきた俺を見て、予想以上に驚いた表情をしている。
「コーヒー‥買いに来たんで‥」
ピッと自販機のボタンを押す。
「‥藍に?」
コーヒーが出てくるのと同時だった。取り出し口からコーヒーを取り出し、祐希さんを見つめる‥
「‥そうだと言ったら、なんかあるんすか?」
「‥‥‥‥」
「祐希さん‥俺に聞いたよね?藍が好きなのかって‥」
「‥‥‥‥」
「‥好きだよ‥だから、もう二度と藍に近づかないでください‥あんたがいると藍は泣いてばかりだ!」
思わず語尾が強くなってしまう‥
そんな俺を祐希さんはじっと見つめる。
何も発しない‥。
時間だけが過ぎていく‥だから‥手の中にあるコーヒーに視線を落とし‥
「祐希さん‥俺‥」
「‥‥‥‥‥」
「俺、藍と寝たから‥」
「‥‥‥‥‥」
躊躇いながらも‥そう伝える‥
祐希さんと藍は別れているんだ‥文句を言われるはずがないと思いながら‥しかし、
意を決して伝えた言葉にも返事が返ってこない‥
ふと視線を向けると‥
初めてみるかもしれない‥
下を向き‥唇を強く噛み締め‥
耐えているような祐希さんの表情を‥。
こんなにも傷付くとは‥
「‥そか‥」
聞き逃してしまいそうな程‥小さな声で‥まるで独り言のように呟くと、急に立ち上がり‥そのままエレベーターの方へと向かう。
その背中は‥俺から見ても寂し気だった。
‥もうこのままでいいじゃん‥
何も言わず、このまま‥
でも‥何故か言わずにはいられなかった‥。
去っていく祐希さんの背中に向かい‥
「祐希さん‥あんたさ‥」
「藍の事‥好きなんでしょ?結婚してからもずっと‥」
‥思っていた事を口にする‥
「いや‥祐希さんはずっと藍しか見てない‥昔も今も‥それなのに結婚した‥違う?」
俺の確信を持った言葉に‥
祐希さんは立ち止まり振り返ると‥
コクンと頷いた‥。
「小川の言う通りだよ‥」
そして‥
「藍を‥よろしく‥‥」
‥‥最後に静かにそう言うと去って行ってしまった‥。
なんだよ‥。
ゴトッ。
手の中のコーヒーが落ちても‥気にもならなかった‥。
それよりも‥‥
泣きそうな顔をして笑った祐希さんが‥
頭から離れなかった‥。
あんな顔をするなんて‥‥
暫くはそこから動くことも出来ず‥ただ時間だけが過ぎていった‥。
‥‥‥‥‥。
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