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「颯ちゃん…髪くしゃくしゃ…直して」

「はーい」

「颯ちゃんの半分くらい、ご飯入れて」

「はいはーい」

「ルーはたっぷり…あっマッシュルーム入ってる。マッシュルームをいっぱい入れて」

「はいはーい」


歌うような返事をご機嫌に繰り返す颯ちゃんに


「私のことが心配なのと…結婚って、イコールじゃないよね?」


ケーキの箱を抱えたまま問いかけてみる。


「ケーキ温めんなよ」


彼は、私の腕からそっと箱を抜き取り冷蔵庫を開けながら言った。


「イコールじゃないな、別物」


颯ちゃんは私を子どものように抱っこしてテーブルまで行くと、静かに椅子へ座らせ頭にキスを落としてキッチンへ戻りながら続けた。


「ずっとリョウの心配をしてたのは本当だと思う。でも、電話のたびにリョウが元気で頑張っていることがわかると何も問題ないように思うのかもな」


彼の手からハヤシライスを受け取りながら頷く。


「その上、こうして俺と一緒に暮らしているなら、結婚した方が幸せとか安泰って思ったんじゃないか?こんな言い方どうかと思うけど…偏見かもしれないけど…おばちゃん、ずっと専業主婦で結婚イコール女の幸せって考えていそうだから」

「颯ちゃんの言う通りだよ…お母さんの思考回路を読み解いてすっきり。いただきます」

「そりゃ良かった。いただきます。うまいかなぁ…」

「……んん……!美味しい。颯ちゃん、もしかして高いお肉買ったの?」

「わからない…そんなことないと思うけど…うまいな、うん…上出来」

「マッシュルームごろごろが嬉しい」

「もうひとつサービスしてやる」


颯ちゃんはすでにマッシュルーム多めの私の皿へ、スプーンでもうひとつ入れてくれた。


「週1の出社って、それはそれで忙しいだろ?」

「そうだね。事務所でやろうと思っていることをためてるからね…でも週に4日は通勤時間なしで楽させてもらってるから大丈夫」

「おばちゃんが来たのが今日で良かった。もしかしたら、インターホン鳴らして応答がなかったから下で待ってたんじゃないか?」

「そうか…」

「在宅と知ったら…今のおばちゃんなら……仕事中とか関係なく突撃してくるかもしれないから、それは黙っていような」

「うん、そうする…こんなにペースの違う人だったかなぁ…」


確かにチャキチャキしたお母さんではある。

私の就職が決まると、お父さんのところへ行くことを一人で決めてしまったので、お父さんも相談がなかったことに少々戸惑っていた。

でも、お父さんも家事をやってもらえるんだからお母さんが来てくれた方がいいと、断る理由はなかったんだけれどね。


「リョウが東京へ来てからの時間の流れが…スピードが違うのかもな」

「どういうことかな?」


真っ赤なトマトを頬張る颯ちゃんに聞いてみると、彼はどう説明するか少し言葉を探しているようだった。


「……リョウは苦しみながらも…吐いたりとか体調が悪いとか、いろいろ考えて頭と心がパンパンでも、仕事を一生懸命してただろ?今も仕事頑張ってる」

「うん」

「でも、おばちゃんはリョウのことを考えるだけの時間を過ごしていたのかもしれない。初めは純粋にリョウの無事を祈って…その後はだんだんと周りのことも気になって…例えば、クソ以下の家のこととかな。おばちゃんは、忠志くんの結婚のこともよく口にするけど、子どものことしか考えることがないのかもしれない。だからすごく長い間待たされている気持ちになっている。でもリョウも忠志くんも、そしてチカさんも、仕事をして自分たちの社会生活があっての結婚とか日常生活だからな…何だかんだ苦しいときも忙しくて‘あっもう1週間終わった’ってことがあると思うんだ。でも、おばちゃんにはそれがない」


そうかもしれない……

良い子の良子さん

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