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第四話
”皆でお泊まり会!”
「♪〜♪〜どーこかなー」
今自分の耳に入ってくる音は自分の足音のみ
「…あ!」
みーつっけた!
遡ること数分前。
「んー…あ、じゃあさ…俺とかくれんぼでもしようか」
この言葉が始まりだった。
「…かくれんぼぉ?」
「俺らの歳でか?」
「いやいやいや、かくれんぼを舐めてもらっちゃ困るよ。かくれんぼは老若男女問わずで楽しめるんだよ?いけるって」
「ちなみに鬼は誰だ?」
「ん?俺だけ」
「え?監督生だけか?」
「そしたらフェアじゃなくねぇか?」
「いや君らタルトの最後の1切れを食べるために争うんだよね?なら君らだけでやってもらわないと」
「いやでも監督生だけって…大丈夫か?」
「大丈夫だよ。基本的に移動はグリムに任せるし。さ!皆隠れて!外でも寮の中でもどこでも逃げ隠れるといいよ!」
「すっげぇ余裕のある敵側のセリフだな」
「まぁね、あ、でも条件を一つだけ。隠れたら絶ッ対その場から動いちゃダメだよ。音を聞いても匂いが近くに来ても動いたらダメだから。動いちゃったら失格ね」
「分かった」
「それじゃあ3分あげる。10分経ったら動くからね。 」
「りょーかいっ」
「じゃあ始めっ!」
◇◆◇◆
「そろそろかな?グリムお願いね」
「任せろなんだゾ!」
「よいしょ」とふわふわの毛の上に馬乗りになる。
「グリムはっしーん!!」
「ふなっ!?急に耳を強く押すんじゃねぇゾ!」
「わはは!ごめんって〜」
「ん〜、ねぇグリム〜皆がどこにいるか分かる?」
「分からねーんだゾ」
「そっかー」
スタートしてからカレコレ2分ほど。ユウはグリムに乗ってちらほらと歩いていた。
「まぁ寮の中は隠れれる場所がほぼ無いからね…」
「隠れてたとしてもホコリとかで長く持たねーんだゾ」
「そうだね。じゃあグリム外に向かってくれないかな?」
「分かったんだゾ」
グリムが駆け出すとリズムよく後ろの尻尾がゆらゆらと揺れる。可愛い。
「外は隠れるところが沢山あるからなー…ツノ太郎呼んだら来てくれるかな…いや、いいや」
スペシャルゲストとして協力してもらおうと一瞬考えたがやめた。ユウは自力で頑張りたい派なのだ。
「よし、ここら辺でいいかな。グリムストップ」
「ふな”ッ”!だから耳を急に引っ張るんじゃねーんだゾ!!」
「ごめんねグリム」
「ふんっ!子分だから許すんだゾ、エース達だったら今頃俺様の炎で丸焦げにしてるんだゾ!」
「ははっ、ありがとう。でもエース達がやったとしても丸焦げはやめたげな?」
「子分が言うなら…髪の毛を燃やすだけにしてやるんだゾ!」
「うーん…ジャックは耳があるからダメだけどぉ…エーデュースなら…うん…いいよ!」
「「いやよくねぇだろっ!!」」とキレのいいツッコミ2人分が空に響いた。
「お、いいツッコミが聞こえたぞ!!」
「にゃっはっはっ!!俺様の炎に怯えて声を出すなんて!マヌケな奴らなんだゾ!!」
「いいぞー!もっと言ってやれー!!」
そう、これはユウの1種の作戦だ。ユウの声は普通のNRC生には聞き取りずらい声量なのだが、グリム含め1年マブ5人組はユウとは固い絆で結ばれているため、普通の人間と会話しているように聞こえるのだ。今回はそれを生かし、グリムを仲間に加えた後、隠れている3名のうちの誰かになにかアクションを起こさせることによって、鬼を有利にするという作戦なのだ!
そして、 マブ5人組とは エーデュース、ジャックに加え、セベクとエペルを入れた男達の事だ!
「さぁーてと、グリム。声がした場所は分かっているかい? 」
「ふふん、あったりまえなんだゾ! 」
この会話をしたことによりこちらに聞こえるほどの声の大きさで「「ハッ!」」と自分の過ちに気づいたような声がした。バカなヤツらだよ全く。
「じゃ!レツゴー!!」
そんなこんなで今に至る。
「ふっふーん、見つかっちゃったねぇデュースゥ?」
「くっ、み、見つかっちまった〜!!」
「にゃっはぁっ!!俺様と子分にかかれば楽勝なんだゾ〜!!」
「そうだなぁ〜」
ぴょんぴょん跳ねるグリムが可愛い…さすが我が相棒(片割れ)だ。
「さてと、もう1人の声はエース君かな?」
「エースもエースでマヌケなんだゾッ!」
「そうだね〜」
姿は見えないがエースがギクリと体を強ばらせた姿が容易に想像できた。いや実際しただろう。
「ささっと捕まえるぞー」
「俺様もう腹が減ったんだゾ〜…」
「早くないか?」
親分の腹の減りの早さに苦笑しながら再度馬乗りになる。
「じゃ、頼むよ親分」
「任せるんだゾ!!」