テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ダフネは花かごを胸に抱えたまま、一歩だけ前に出た。
リリアンナの視線がこちらに向く、その瞬間を逃さない。
そして――。
「ごきげんよう、お義姉さま」
柔らかく、澄んだ声。
誰が聞いても、非の打ちどころのない挨拶に聞こえているはずだ。
ダフネに気づいたリリアンナが、息を詰めたようにこちらを見つめたまま言葉を失くして立ち尽くす。
「……え?」
一拍置いてのつぶやき。
それだけで十分だと、ダフネは思う。
戸惑い。
困惑。
それから、すぐに浮かぶ〝礼儀としての微笑〟。
――ほら。
やっぱり、効いている。
「突然ごめんなさい。でも、どうしても今日のうちに、ご挨拶をしておきたくて」
ダフネは、少しだけ申し訳なさそうに視線を伏せる。
完璧に計算された角度だ。
「ほら、今日はリリアンナお義姉さまの社交界デビューの日でしょう? 私はもうずいぶん前に初潮が来てしまっていて泣く泣く参加は諦めたのだけれど……リリアンナお義姉さまの晴れの姿をどうしても見たかったの」
そこで少し眉根を寄せて、「私も……お義姉さまみたいに成熟が遅かったらお義父さまにどんなふうに着飾らせてもらえたのかな?って興味もあったから」と重ねる。
リリアンナは、ダフネの言葉の真意を図りかねて言葉をつむげないでいるみたいだ。
(ふふっ。いい反応ね)
ダフネはリリアンナの様子を見極めながら、どう話すのが一番効果的に彼女を苦しめられるか模索する。
「あ、あの……ダフネ。私……」
意味は分からないまでも、このままここにいてはいけないと本能が訴えてくるのだろう。リリアンナがダフネの前から姿を消そうとする。
ダフネは、それを阻止するように手にしていた花かごを、リリアンナの退路を塞ぐように差し出した。
「言い遅れたわ。私、ダフネ・エレノア・ライオールになりましたの。ランディリックお義父さまからお聞きになってもうご存じかもしれませんけれど……つい先日、正式にライオール侯爵家の養女となりましたの」
その言葉を、ゆっくりと、丁寧に落とす。
リリアンナの瞳が、わずかに揺れた。
――今の一言が、どれだけの意味を含んでいるか、理解できただろうか?
「ですから……」
ダフネは顔を上げ、にこりと微笑んだ。
「これからは、正式に家族、ですね。――リリアンナお義姉さま❤︎」
実際にはランディリックの養女である自分と、後見人として彼に見守られているだけのリリアンナとは真の家族ではない。だが、同じ男を後ろ盾に持つ者同士、便宜上そう称したところでさしたる支障はあるまい。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
↓リリアンナ、愛馬ライオネルとともに❤︎
※更新、お休みをいただいてすみませんでした。
再開します٩(ˊᗜˋ*)و
温かいコメントも有難うございました!
嬉しかったです!
鷹槻れん
コメント
1件
うわー、ダフネ最悪😩