テラーノベル
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その夜。
珍しく、屋敷は静かだった。
勝利はベッドに倒れ込む。
「……疲れた」
頬の傷はまだ少しひりつく。
でも、聡がちゃんと手当てしたからか、少し楽だった。
鏡を見るたび思い出す。
「……怖かったです」
聡の声。
あの人が、そんなこと言うなんて。
意外だった。
というか
(……優しかった)
勝利は顔を枕に押し付ける。
なんか調子が狂う。
最初はただの堅い護衛だと思ってたのに。
最近は少しだけ。
本当に少しだけだけど
安心する。
そんなことを考えているうちに、眠気が来た。
「……寝よ」
電気を消す。
部屋が暗くなる。
静かな夜。
窓の外では風の音だけが揺れていた。
ガタン。
小さな音。
勝利は薄く目を開ける。
(……ん?)
まだ眠い。
気のせい?
そう思った時。
カチ。
微かな金属音。
勝利の眠気が少し飛ぶ。
部屋の外。
誰かいる。
嫌な予感。
その瞬間。
ガチャ。
ドアが開く。
反射的に体が強張る。
でも。
入ってきた人影を見て、勝利は息を吐いた。
「……聡?」
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淡希蘭央⛄💎 現在低浮上
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暗闇の中。
黒いスーツ姿。
相変わらず姿勢が綺麗。
でも。
いつもと少し違う。
空気が張っていた。
「静かに」
低い声。
勝利の眠気が一気に消える。
「どうしたの」
聡は短く言った。
「侵入者です」
空気が凍った。
勝利が固まる。
「……え?」
「屋敷内にいます」
静か。
でも速い。
もう状況を全部把握してる声。
聡は窓へ視線を向けたあと、勝利を見る。
「今すぐ移動します」
「え、でも」
その瞬間。
廊下の奥で、何かが倒れる音。
近い。
思ってたより近い。
勝利の背筋が冷える。
聡の目が少し細くなった。
そして。
迷いなく勝利の腕を取る。
「行きます」
「ちょ、待っ、」
速い。
本当に速い。
気づけば廊下。
聡の動きに無駄がない。
角を曲がる前に止まり、音を確認してから進む。
全部先読みしてるみたい。
「聡……」
少し怖くなって呼ぶ。
すると。
聡が一瞬だけ振り返った。
「大丈夫です」
静かな声。
不思議と安心する。
なのに次の瞬間
廊下の先。
黒い影。
敵。
「いたぞ!」
聡の動きが止まらない。
むしろ速くなる。
勝利を後ろへ庇いながら、一歩前へ。
「下がっていてください」
低い声。
落ち着いてる。
焦ってない。
いつも通り。
それが逆に安心した。
数分後。
静けさが戻る。
屋敷の安全な部屋へ移動したあと。
勝利はようやく息を吐いた。
「……寝てる時に来るとか反則」
ぽつりと言う。
聡は部屋の入り口を確認しながら、
「今日はここで休んでください」
「え?」
「安全確認が終わるまでです」
勝利が少し眉を寄せる。
「……一人?」
聡が少し止まる。
数秒沈黙。
そして。
「必要なら、外にいます」
その言葉に、勝利は少し迷って
小さく言った。
「……外じゃなくてもいいけど」
沈黙。
珍しく。
聡がほんの少しだけ目を瞬く。
「危ないし」
勝利は目を逸らした。
「別に、怖いとかじゃないけど」
嘘だった。
少し怖い。
でも言いたくない。
しばらくして。
聡がほんの少しだけ口元を緩める。
「分かりました」
静かな声。
でも、少し優しかった。
その夜。
部屋の隅に立つ聡の気配が、いつもより少しだけ安心した。
コメント
3件
うわあ、第7話……めっちゃ良かったです……🥀 勝利くんが「優しかった」って認めるところ、すごく好き。あの堅い護衛だと思ってた聡さんが、ちゃんと手当てしてくれて、しかも「怖かった」って言うの、ギャップで心臓持ってかれました。 侵入者のシーン、静かな夜の緊張感がすごくて、読んでるこっちまで息止めちゃった。でも聡さんの「大丈夫です」の一言で、勝利くんと同じように私も安心した……あの声、反則ですよ。 最後の「外じゃなくてもいいけど」、照れ隠しなのにちゃんと伝わってて、聡さんが口元緩めるところで私もにやけました。静かな夜に、二人だけの空気が広がってて、すごく好きな回でした🌙