テラーノベル
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「こんな感じのことあったら面白そうじゃない?w」
昼休み、りばー――山川が机に肘をつきながら笑う。
「例えばさ、自分の一日が動画みたいに再生されてさ、何回も見れるとか」
「いや怖いだろそれ」
即ツッコミを入れるのは、志村ー――ままむではなく、今回は、えんどーだった。
「しかもお前の生活、再生してもクッキー増えてくだけじゃん」
「うるせぇな、ロマンだろ」
「ロマンの方向おかしいんだよ」
くすくす、と小さく笑う声。
まろ――小市が、のんびりとパンをかじっている。
「でも、ちょっと分かる。見てみたいかも」
「だろ?」
りばーは嬉しそうに身を乗り出す。
「じゃあ次。未来の答えが勝手にノートに出てくるとか」
「はい却下」
即答。
ままむ――志村が腕を組む。
「それで考えなくなるやつ、一番ダメ。はい終わり」
「いやでもさ、正解だけ見えたら楽じゃん」
「過程飛ばして何が楽しいの」
「うわ教育ママ」
「誰がだコラ」
軽く小突かれるりばー。
教室に笑いが広がる。
「じゃあさ」
えんどーが手を挙げる。
「世界全部クリックできるようになるのは?」
「お前のやつじゃん」
「そうそう。全部リソースになるの」
「それ絶対ロクなことにならないやつ」
ままむが呆れる。
みやがわが、机に突っ伏しながらぼそっと言う。
「でもさ、リセットボタンあったらよくない?」
「お前それ絶対走るやつだろ」
「うん」
即答。
「納得」
りばーが笑う。
「じゃあ最後。時間止められるリモコン」
りばーが締めるように言うと、まろが少しだけ考えてから答えた。
「……なんか、使わなさそう」
「お前らしいな」
えんどーが笑う。
五人で、どうでもいい非日常の話。
いつもの昼休み。
いつもの教室。
◇
その日の放課後。
「じゃあなー」
「部活いってくる」
「だる……」
それぞれが、いつも通りに動き出す。
――はずだった。
◇
りばーは帰り道、スマホを見ていた。
『あなたの今日を、もう一度。』
「……は?」
昼の会話が、頭をよぎる。
タップする。
視界が暗転する。
◇
ままむは教室でノートを開く。
書いていないはずの数式。
「……は?」
ページをめくる。
未来の解答。
昼の会話が、頭をよぎる。
◇
えんどーはスマホを連打する。
カチ、カチ。
見慣れない表示。
『観測者に選ばれました』
「……おいおい」
笑いながら、押す。
世界に数字が浮かぶ。
◇
みやがわは校庭を走る。
白線の内側。
小さなボタン。
『RESET』
「……マジか」
踏む。
世界が巻き戻る。
◇
まろは帰り道、リモコンを拾う。
□
押す。
世界が止まる。
「……うわ」
◇
――そして、翌日。
教室。
「……なあ」
りばーが口を開く。
「昨日さ」
四人が、同時に顔を上げる。
「お前も?」
えんどーが笑う。
「やっぱ来た?」
みやがわが少しだけ興奮気味に言う。
「……来たね」
ままむが静かに頷く。
「……うん」
まろも小さく返す。
一瞬の沈黙。
そして――
「いや待って、全部来るのやばくない?」
りばーが頭を抱える。
「話したやつ全部ってことだろ?」
「フラグ回収早すぎるだろ」
えんどーが吹き出す。
「ゲームバランス壊れてるって」
「だから嫌だったんだよ……」
ままむがため息をつく。
「で、どうするの」
みやがわが言う。
「使う?」
四人の視線が、まろに集まる。
「……え、なんで俺」
「一番冷静そうだから」
「消去法だろそれ」
少しだけ考えて、まろは言う。
「……別に、いつも通りでいいんじゃない?」
「は?」
りばーが聞き返す。
「使いたいときに使って、でも普通もやる」
ゆるい声。
「どっちもあるなら、両方でいいじゃん」
少しの沈黙。
そして。
「……それ、いいな」
えんどーが笑う。
「バランス型プレイってやつだ」
「ゲームかよ」
ままむが呆れつつ、少しだけ笑う。
「まあ、いいかもね」
「よし」
みやがわが立ち上がる。
「じゃあ今日も走るわ」
「リセットすんなよ」
「するかも」
「すんな」
いつもの会話。
いつもの空気。
でも、少しだけ違う。
それぞれのポケットや手の中に、“非日常”がある。
それでも。
「なあ」
りばーがにやっと笑う。
「これさ、もっと面白くできるくね?」
「やめろ」
四人が同時に言った。
教室に笑いが広がる。
非日常は、もうある。
でも――
それをどう使うかは、まだ決まっていない。
五人分の物語は、ここから少しずつ重なっていく。
まるで。
誰かが、次の話を考えているみたいに。
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かんすい