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橋本と待ち合わせしている駐車場で、宮本はぼんやりと待ちぼうけしていた。お泊りする気が満々だったので、愛車のデコトラは月極駐車場に停車済み。しかも遅刻常習犯の自分が珍しく早めに来ている時点で、橋本に突っ込まれるなと考えついてしまう。
昨日だって逢ったというのに、それでも橋本と離れている間が恋しかった。『じゃあな』と背を向けて去って行く後ろ姿を見た瞬間から、宮本の時間の流れが遅くなる。
愛車のデコトラの運転をしていてもどこかつまらないし、暇つぶしにアニメを見ても何だかぱっとしない。味気のない時間を散々過ごした後に逢える恋人との時間は、宮本にとってその日のご褒美になるひとときだった。
「よぉ待たせたな!」
見慣れた黒塗りのハイヤーが目の前に停車し、橋本が颯爽と降り立った。
「ふあっ!?」
ぴきんと固まって変な声をあげた自分を、恋人はしてやったりな顔で眺める。宮本を見つめ倒す眼差しを彩るように、華奢な造りのフレームが街灯の灯りを受けて、眩しく煌めいた。
「よよよ陽さん、その眼鏡はいったい……」
慌てふためく姿を尻目に、橋本は宮本の腰に触れながら顔を寄せる。急激な密着とあまりの迫力に、宮本は喉を鳴らしてしまった。
「どうだ、ときめいただろ?」
「ときめくどころか、心臓を撃ち抜かれましたよ」
宮本はドキドキする胸に手を当てつつ、上目遣いでじとっと見つめたら、橋本は満足げな表情をありありと浮かべた。
「ここんとこ、毎日顔を突き合わせてるだろ。刺激が足りなくなったら困ると思ってさ。雅輝の変顔をこうして拝めることができて、本当に良かったよ」
宮本から放たれる粘っこい視線をなんとかするためなのか、橋本は宥めるようにぐちゃぐちゃと頭を撫でまくった。そんな気持ちも露知らず、自分を撫でている橋本の手を掴み寄せる。
「いきなりどうした。おまえの馬鹿ぢからを俺の手を握って、わざわざ発揮するなんてさ」
「……シたい」
「(; ̄Д ̄)なんだって?」
「陽さんのその顔を見てるだけで、我慢できなくなりましたっ!」
告げられる宮本の言葉を最後まで聞く前に、橋本は空いてる手で眼鏡を外し、胸ポケットに素早くしまいこむ。
「これで刺激はなくなった、いつもの俺になったぞ。それにハイヤーの中では、絶対にシないからな!」
「残念ですが俺の網膜の裏に、さっきの陽さんを焼きつけましたヘ(≧▽≦ヘ)うへへへ……」
己の身の危険を感じた橋本は、宮本に掴まれている手を強引に引き抜き、後退りしながら隙を見てダッシュした。
ヾ(□ ̄;ヽ) =3=3=3 \(ε ̄\)))) チュチュチュゥウウ!!
かくて、その後のふたりがどうなったのか――読者の皆さんの想像にお任せします。
ただひとつ言えること。それは宮本の前で二度と眼鏡をかけないと、橋本は固く誓ったのでした。
愛でたし 愛でたし
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