ルフィside(ゾウ編後あたり)
「あ、そういえばルフィ」
『ん?』
「あなたの幼馴染…“幸運の演奏者” 凄い人になってるわよ」
「トールちゅわーん♥」
「キモ」
「あ”ぁ?なんだこのクソマリモ!!」
「ア?んだよグルグル眉毛!!」
「そこ、うるさい」
「はぁいッ!ナミすぁん!」
『オトがどうかしたのか?』
「トールじゃないの?」
『違ェ!あいつはオトだ!!』
あいつ、嘘つくなって言ってんのに嘘ついてんだ!!なんだよオトは死んだって。俺分かんねェよ。オトはオトだろ?俺はオトに何があったか知らねェ。それに、あの日、突然いなくなったことまだ怒ってんだぞ?次あったら、あの日のこと問いただすから覚悟しとけよ!!
「まぁいいけど…えっとね。幸運の演奏者は前より勢いよく知名度をあげているわ」
『さすがだなァ!オト!!』
「幸運の演奏者は民衆の心を救い国を救い今や “キセキの演奏家”と呼ばれているそうよ」
『ふぅーん』
「意外。驚かないの?」
『オトはすっげェ上手いからな!オトは楽器ならなんでも使いこなせちまうんだ!!』
「凄いわね。わたしも聞いてみたいわ。その曲」
『ロビンも聞いてみろ!あいつの曲はすっげェぞ!!!』
「そんなにボクの音が好きなみんなに聞かせてあげようか」
「「「「 !?!? 」」」」
トールside
『あ、そんなに警戒しないで』
「お前…誰だ。」
『ボクはトール!幸運の演奏者と呼ばれてるよ』
「あなたが…」
『こんにちは。あなたはニコ・ロビンであってる?』
「えぇ。あってるわ」
『良かった!ボクずっと君に会いたかったの!』
「あら、それは嬉しいわね」
『幼少期は大変だったでしょう?だからボクの音を聞かせて幸せにしてあげる!』
『ボクの音があればみんなが幸せになれる!』
__アタシの歌があればみんなを幸せにできる!
「オト。お前なんでシャンクスの船を降りたんだ?」
『….その話、今しなきゃ駄目かな』
「おう!」
「すまねぇ演奏者、うちの船長はいつもこうなんだ」
『知ってるよ。見てきたからね…』
『ボクは演奏家トール。音でみんなを幸せにするの!』
__アタシは赤髪海賊団の音楽家ウタ!歌でみんなを幸せにするの!
「おまえ、ウタみてェなこと言うなぁ~」
『………..』
「やっぱ双子だな!」
「「「「 双子ぉ!?!? 」」」」
「トールちゃん、あの歌姫ウタの双子なのかぁ!?」
「言われてみれば髪色が反対なだけで一緒じゃんか!?」
『ルフィ。余計なこと喋りすぎ。』
「余計なことじゃねェからいいだろ?」
『ボクは演奏者トールだよ。歌姫とは関わりないけど』
オトは死んだって前も言ったのに。分からずやだなぁルフィは。世界的歌姫ウタに双子なんて存在しない。知ってる人なんてごく一部。だから居ないのと同然でしょ。どうせそのごく一部もわたしのことなんか覚えていないんだから。ボクはトール。ボクは演奏者。ボクはみんなを幸せにすることが出来る。そうでしょ?
『ルフィに言ったって聞かないと思うからもういいよ。』
「オトはオトだろ?」
『はぁ…..まぁいいや。ここに来たのはみんなにボクの音を聞かせるためだし』
「ここで聞けるのか!!」
『うん!ウソップくんはボクの音好き?』
「聞いたことはねェけど、キセキの演奏家って呼ばれてるんだろ?絶対すげぇじゃねぇか!」
『ふふ。そう言って貰えて嬉しい』
「わたしも貴方の演奏に興味があります」
『ブルックさんは音楽家ですもんね』
「貴方の演奏、1度は聞いてみたいと思っていたんですよ」
『よし!じゃあ張り切っちゃおー!とびきり幸せになれるメロディーを奏でるね!』
__🎼𝒰.•*
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ボクの音を求めてる人がこの世には沢山いる!ボクは今を必死で生きているみんなに音を届けるんだ!民衆も海賊も海軍も良い人だったら、幸せにしてあげる!だけど悪い人なら…みんな等しく不幸にするよ。世界政府や天竜人なんて関係ない。だって同じ人間だから。ただ生まれる場所が違っただけ。あの “火拳のエース” もそうだよ。ルフィのお兄さんは白ひげ海賊団2番隊隊長で火拳のエースとして処刑されたんじゃない。海賊王の息子ということで処刑それた。それは不公平じゃない?子供は親を選べないのに。子供はただ生まれてきただけ。親の罪を子が償う意味はないの。
『ボクの演奏を聞いてくれてありがと!これから良いことが待ってるよ』
「「「 オオォォォ!! 」」」
『じゃあボクはもっもっと色んな人に音を届けないといけないからまたね!』
「あ、おい待てオト!!」
『ボクはトール。みんなも覚えておいてね』
『これで海賊の一部にも音を届けられた…!あと少し、あと少しだよ』
『海軍の赤犬と黄猿…は難しいなぁ…….』
「僕ガヤッテアゲヨウヵ」
『ムジカ。ムジカはボクと居てくれる?ずっと一緒?』
「ウン。僕ハズットズ〜ット一緒ダヨ」
『ボクの音…好き?』
「ダイスキ」
『じゃあ….死ぬ時も一緒..?』
「ウン!僕トールスキ。ダカラズット一緒。死ヌ時モ一緒」
『ふふ。ボクそれが聞けただけでいいよ。赤犬と黄猿はなんとかなるよ』
『いや…何とかしてみせる。だってボクは、世界中の人に音を届ける最高の演奏者だからね』
「…ダッタラ僕ヲ呼バナイ方ガィイヨ。ダッテトール…」
『大丈夫。ボクは大丈夫。だから、側にいて』
「ゥン…」
とある島の市民side
『なんで…なんでこんな時に来てくれないのよ!!!』
「そうだよ…私たちこんなに困ってるのに」
『演奏者は1度来た島にはもう用ないの!?』
「ぼくお腹空いたぁ…….」
「私も…」
『 “キセキの演奏家” なんてデタラメじゃない』
「っ!そうだよ!!私たちの島こんななのに!!」
「幸運なんてなかった…!!」
『演奏者なんか…大嫌いさ!!!!』
「そうよ!!!」
「ぼくも大嫌い!!」
「…待っ、待って!!ボクはちゃんと来たよ…!!」
トールside
『ごめんね遅くなっちゃって!本当に困ってるとき助けてあげられなくてごめん!』
「もう…遅いわよ!!」(#`д´)ノ゙)`-’ )”
『い”ッ!?』
「わたしの夫は死んだのよ!!」
「ぼくのおかあさん….」
「お兄ちゃん…置いてかないでぇ…私イヤだよぉ….!」
『ごめん….ごめんなさい…』
「わたしの夫を返しなさいよ…!!キセキの演奏家でしょ!?キセキを起こしなさいよ!!」
『死者を蘇生するのは…。い、今からでも幸せを呼ぶメロディーを奏でるよ!』
「もう遅い!!わたしの幸せは夫だったよ….!!!」
『あ…….』
「肝心なときに来てくれないなんて…!!この役立たず!!」
「おかあさんを返して。ぼくのおかあさん!!」
「お兄ちゃん….」
『みんな……』
「キセキの演奏家なのにキセキを起こせないなんて生きる価値ないんじゃない!?」
「あなたなんか生きる必要が無いわ!!」
「わたしの夫を返せないなんて死ねばいいのよ!!!」
『ごめんなさい….まだ死ねないの…』
『でも!!君たちに最大級の幸せを…!!」
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ボクのしてきたことは無駄だった…?肝心なときに現れないヒーローはいらないか….
__犠牲を伴わない正義はなぁわ!!
違う。ボクはあいつじゃない….あいつほど腐ってない。
“幸運の演奏者” “キセキの演奏家” その称号はとっでも嬉しい。嬉しいよ。だけど本当にボクがなりたいのは…、わたしがなりたいのは….!
__オトは世界一の演奏家だな。俺たち赤髪海賊団の自慢の娘だ!
そう言ってもらいたかった….!でも、もう遅い。新時代はもうすぐだよ…早く、もっと早く!!新時代を!
「シャンクス?シャンクスノセィ?」
「チョットダヶナラィイヨネ」
シャンクスside
ここは….?俺はさっきまで酒を…
俺は寝たのか。なるほどつまりここは夢の中だな
それにしても真っ白い空間だなぁ。一体どこなんだここは
__ひっぐ….うぅ……うぁぁぁ
誰かが泣いている?
「なぁ〜、なんで泣いてんだ?どこか痛いのか?」
ルフィ?
「….!なんでもない。あっち行って…」
「なんでもねェのに泣くのか?」
「………違う。みんなわたしを褒めてくれないから…」
「褒めてるじゃねェか?」
「それはウタとの伴奏だから….わたしの演奏じゃないから…….」
オト….
「わたしも褒めて欲しい…凄いなって言って欲しい…」
「オトは今のままで十分スゲェよ?」
「ありがと….でも、シャンクスは “自慢の娘” って言ってくれない」
「シャンクスの中では私の演奏下手だもん….」
オト、俺はちゃんと自慢の娘だと思っている。だがそれを口にだしたことは確かに1度もなかった…。それがいけなかったのか。オトは宝箱から見つけた時から大人びていた。泣かずにウタの手を握っていた。オトは見た目以上に精神は大人で、口で言わずとも伝わっているだろうと思っていた。このままでは駄目だ。あまりにもオトが不運だ。もう一度会って今までしてやれなかったことを……
カシャン
場面が変わった。ここは崩壊前のエレジア…?
「素晴らしい!!君の歌は世界を変えられる!」
「えへへ……」
「オト、君の演奏も素晴らしい。是非ウタの伴奏をして欲しい」
「任せてください…」ニコ
オトはあんな風に笑う子だったのだろうか。いや、違う。俺たちがあの顔しかさせてあげられなかった。オトはもっと心の底から笑っていられるような環境がなかったから……
カシャン
「 ᚷᚨᚺ ᛉᚨᚾ ᛏᚨᚲ ᚷᚨᚺ ᛉᚨᚾ ᛏᚨᛏ ᛏᚨᛏ ᛒᚱᚨᚲ 」
ウタ…!トットムジカ。エレジアを滅ぼした魔王が…
「トットムジカ….!」
オトはあの魔王の正体を知っていたのか….。俺たちは魔王を倒していない。攻撃せずとも魔王はまた封印された。あれはオトのおかげだったのか。今更気づくなんて…
「どうしよう…!!やらなきゃ、わたしがやらなきゃ……」
「ウタのお姉ちゃんだから、わたしがなんとかしなきゃ….!」
「オト(オトオトの実)はウタ(ウタウタの実)のために生まれた…わたしの使命を果たさなきゃ…」
__و𐄇𖡛 “•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪𐄇
__🎼𝒰.•*.•*¨*•.¸¸🎶
あの時、聞こえてきた音は…オトが奏でていた音なのか。それにオトはウタのためだけに生まれてきたんじゃない。人間は誰しも一人一人幸せになる権利がある。だから、オトは自分の道を突き進んで欲しい。
カシャン
「どうしてウタを守ってやれなかったんだ…?」
「シャン….クス…?」
「ウタのお姉ちゃんだろ!?傍に居て守ってやれなかったのか」
「姉は妹を守るのが当たり前だろ…?」
ダメだ。これ以上はダメだ。
「お前は怪我していないじゃないか。ウタは怪我しているのに」
「シャンクス…でもわたしも頑張って、」
「傷1つくらいつけて頑張ったと言え」
「っ…..!!」
言ってはいけない。それ以上はダメだ。オトは魔王を封印するのに頑張った、今まで辛い思いをさせた。それなのに俺はまたオトを傷つけるのか。
「シャンクスはわたしのこと好き…?」
「今話すことではn….」
「今言って!!ウタとわたし、どっちが大事なの」
ウタもオトも大事な俺の娘だ。可愛いたった二人の娘。どちらかなんて選べるはずがない。
「答えられないよね。シャンクスは優しいから。答えは口に出せない」
「でも心の中ではウタでしょ。分かってたよそのくらい」
違う。違う….俺は優しくなんかない。オトに悲しい思いを、辛い思いをさせた俺は優しくなんかない。本当にウタもオトも大事な娘だ。オトの言う通りだ。俺は答えを口に出せない。どちらか1人だけの名前なんて言えるはずがない。これ以上オトを傷つけてどうする。
「わたしはそこに必要ない存在。だから残る」
「オト、俺は…..」
オト、寂しい思いをさせてすまない。辛い思いをさせてすまない。だから。だから….必要ない存在だなんて言わないでくれ。赤髪海賊団にはオトが必要なんだ。
「ばいばい、みんな」
あぁ。そんな全てを諦めたような、絶望している顔を、俺は見て何も思わなかったのか。俺は赤髪海賊団の船長としても、ウタとオトの父親としても失格だ。あの小さい手を、震えている背中を、俺は。俺は….「ばいばい」と手を振るあの手を、無理やりにでも引っ張って、縋って、連れていくべきだった。そうしていれば、未来は変わっていたのかもしれない。オトがこれ以上傷つくこともなかったのかもしれない….
俺は、本当に….父親失格だ。
__ソウダョ。オ前ハ父親失格ダ。コノ役立タズ
誰ガトールヲツクラセタ¿
オ前ダ。オ前ノセィダ。四皇赤髪ノシャンクス。ソンナ称号捨テチマエ。娘1人モ救エナイ無能。
トールガ、オトガ、味ワッタ苦シミ。オ前モ味ワエ!
モット!!!モットモットモットモットモットモットモット!!苦シメ!
『ムジカ。….もうやめてあげて。大丈夫だから』
🎼.•*¨*•.¸¸🎶🎼.•*¨*•.¸¸🎶
あとがき
✧トール✧
ムジカがシャンクスに悪夢を見せているのを初めから知っていたが複雑な感情だった。シャンクスにオトが味わった苦しみを知って欲しいと思ってる。でも逆に知って欲しくないという気持ちもある。
✧シャンクス✧
オトの感情が鮮明に頭に響いて心折れそうだった。俺は父親失格だ…
✧トットムジカ✧
モット苦シメ!
見てくださってありがとうございます!
次回をお楽しみに!!
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