テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
僕は大馬鹿者だ。
過去を振り返ったって、もう遅いというのに。
ごめん、ごめんと謝る僕を、気にしないで、と笑った君の目は、真っ黒に染まっていた。
ねえ、君は今どこにいるの?
ベットの軋む音だけを立て、僕は起き上がる。
朝は嫌いだ。朝日が眩しすぎるんだ。
ぼーっとした気持ちで朝の支度を終え、僕は会社に向かう。
最近はどうも暑い。10年に一度の猛暑という予報は、毎年のようにやってくるし、満員電車なんて弱冷房車のところに入ったら、それこそ地獄だ。
そんな朝からため息を吐きながら考えるのは、何か煙ついたことばかり。
何かひらめく訳でも、思い出す訳でもないのに、夏の時期になると、脳が「なにか」を訴えてくる。
地獄の満員電車を降り、駅から5分ほどの会社へ着いた途端、同僚からの話し声が聞こえてきた。
「ねえ、しょうって好きな人とかいた?」
「えー?俺は……」
「なんていうか、すごい質問だな」
「お!おはりゅう」
この同期2人は、よく話す愉快なやつ小林りんと、いつも滑ってるやつ中上翔斗(しょうと)。
そして僕は伊東竜一。この翔斗とこうでよく話している。
「なんだ、それ」
「巷で噂のV○uberのマネ。りゅうだって某Vになれば爆イケでモテモテになれるぞ?」
「いやいいかな」
「ふーん、もったいなー」
「それでさ、学生時代の思い出を聞いてたんだ。りょうも好きな人とかいなかったの?もしや付き合ってたとか?」
「……」
「?どした?」
「いや、実はさ、記憶が無いんだ。中学2年の日常が、どうしても思い出せないんだ。それ以降は、異性と絡んで来なかったし、中2になる前も、ずっと男と喋ってたし。」
「ふーん、不思議なこともあるもんだね。」
「ね。記憶が無いってどんな感じなんだろ。思い出したいとか、思ったりしない?」
「まあ、そうだね。記憶のメモリからすっぽり抜けている感じだから、思い出すことが出来るならしたいとは思うよ」
「それじゃ、良かったらなんだけど…」
次に続く