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またまた蘭菊だし長いし方言わからない
これは国設定です
短編集とかいったけどこれって短編に入りますか?
しとしとと雨が降り注ぐ窓の向こう。よく目を凝らして見てみると、音を立てている雨の中に雪白があるのが見える。どうりで寒いと思った。やがて雪白は数を増やし、先ほどとは異なる風景を見せた。
「蘭さん!雪ですよ雪!」
年甲斐もなくはしゃいでしまった。思わず出たそんな声は自分が思っていたよりも大きく、そして軽やかに部屋へと木霊する。
「元気やのう」
年齢的には断トツ的に私のほうが上なのだが、彼はどこか落ち着いており、それに加えて見た目で見ても私の方が明らかに下だろう。
「なんで私より年寄り感出してるんですか」
「寒いんや」
アムステルダムの方が寒いはずなのに。なんて野暮なことは彼のために言わないでおこう。そんな寒さに悪態をついている彼を横目で見ながら、綺麗な雪白が輝いている窓の向こうへと目線を向けた。綺麗な景色に思わず息が漏れた。きらきらと輝く雪の結晶が自分の胸を高揚させる。
「そんなに気になるんやったら行こっさ」
「…寒いですよ?」
「気になるんやろ」
そんな彼の心遣いに少し照れ臭くなり、暖房の暖かさで赤く染めた頬を緩ませた。
「つ、つめたい…」
とっくのとうに冷たくなった頬は、先程とは別で赤く染め上げていた。首には彼がよくつけている青と白が特徴的なマフラーが巻かれている。寒さで思わず息を漏らすと、白い息がふうっと空中へと舞っていった。
「雪なんて、見慣れてるんやないん?」
「私の家は東京ですよ?雪が降るのなんて、数えるほどしかありませんよ」
「ほうけ」
納得したように言葉を呟く彼を見ながら、感傷に浸る。猛吹雪、とまではいかないが吹雪いている今。周りには雪景色が広がり、近くには彼が、いや、彼しかいない。
───嗚呼、なんと幸せな事だろう!
突然、雪景色にはそぐわない暖かさが私の手を覆った。
「蘭さん?」
思わず問いかける。問いかけられた彼はどこか楽しそうに目を細めている。すると、とっくに冷えた私の手を口元へと導いた。
「俺と、踊っていただけますか?」
「どっ、こぞの王子様ですか……」
「返事は」
「……ya。」
さくりさくりと足元の雪が軽やかにメロディを奏でる。白銀の世界ではとても明確な綺麗な黒も、黒ほどでもないが、明確な色彩の薄い茶色も、今や白に埋もれてしまっていた。
周りからは白の世界が広がっているが、彼らは違う。目の前には一際目立つ世界が広がっている。
それは、片方だけの話ではなく、両方に言える話。
「本当に…お綺麗ですよ」
「言うてくれるの」
「おや、お嫌いでした?」
「そこまでは言うとらん」
ふふ、と頬を緩ます。彼の綺麗な髪に飾られた白は、色彩も相まってきらきらと輝いた。それがなぜだかとても綺麗で、愛おしいという気持ちが心から溢れ出てしまう。そんな菊の気持ちが揺らいでいる黒曜石に見つめられている蘭は、調子が狂いそうになった。
誰にも見られない、秘密の舞踏会。そんな事実に、またもや気持ちが溢れ出てきた。
彼の低い声が、はっきりと自分の鼓膜を揺らす。周りには聞き取れるはずがない、だって、私だけの物だから。
「ik houd van je」
その声や彼の仕草、私の手を握る大きい手から、腰に支えられている手までもが彼の温度を伝えてくる。自分の体温と彼の体温が混ざり合って、そして、自分の体へとぐるぐる巡り合う。
「Ik ook」
ふわりと白い息が白銀の世界へと舞う。彼の全てが私のものに思えてきて、感情が昂る。
さくりと雪が音を奏でるも、静寂が二人の間に響いた。そしてぽつりと言葉を零す。
「全部、私のものです。」
目の前の彼の表情は、驚きが沢山であることがわかった。そんな状況までもが愛おしく感じる。すると彼は、白く息を吐きながら言葉を返した。
「あの時からずっと、やろ。」
彼には驚かされてばっかだ。大きく目を見開き、そして微笑む。雪の寒さなど等に消えており、五感全てが彼のものになった気分で、今は、今だけはゆらりとその心地よさに踊ることにした。
彼等の舞踏会の終わりは、誰にもわからない。