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……いったいなぜこうなってしまったのだうか?

一つ断言できることは僕は転生後最も頭をフル回転してることだけ。

「アレンくん……あなたは一人じゃない。どんなに寂しくても……悲しくても……私たちがあなたの支えになるわ。あなたの心の拠り所になる」

「アレン……正直、貴様のことは嫌いだ。……だが、フローラから聞いた……無理をしていたのだな。……貴様の愚痴ひとつくらいなら俺様で良ければ聞いてやる。もう抱え込まなくていいだ」

「……もう鳥籠から解放されるときなんです。そこにいる悪女から」

思わず引き攣った笑みをしてしまう僕。

そして、こうも思った……は?こいつら何言ってんだよ、と。

フローラは僕に慈悲深き笑み浮かべるそう語る。

アドリアンは腕を組みいつも通りの傲慢さが残るものの、チラチラと視線を向け不器用にも慰めようとしている。

オーラスはフッとクールに嘲笑い、僕の後方にいる人物に鋭い視線を向ける。

『ドッ…ドッ…ドッ』

僕の後ろに控えている人物はどういう表情をしているだろう?

わからないが、驚きのあまり緊張しているのだろうな。

こんな速い鼓動音をしているのはただ一人。

「ア…アレ…ア…アアレ」

「アレイシア様、落ち着いてください」

壊れたブリキ人形のように小さな声で僕の名を呼ぼうとする……アレイシア。

彼女を慰めるリタ。

ーーザワ

そして周りの群衆……。

いや、群衆という名の数人のクラスメイト。

なぜこのような悲惨になってしまったのか……少し時間を遡る。

と言ってもそこまで長い時間ではない。ほんの数分前である。

次の日、いつもより早く目が覚めた僕は学園へ通っていた。

というのも、昨日あれからアリスが僕の部屋に来て逆ハールートのシナリオを叩き込まれたんだ。

それで寝不足だが、そのほかにも色々と悩みができ気になりすぎて深い眠りにつけなかった。

頑張って二度寝をしようにも目がぱっちりと覚めてしまったため、早く出ることにした。

悩みは僕に出来ることは少ないということだ。

僕には実家を頼りにすることも飛び抜けた財力と武力も知性もない。

それぞれレイル、ギルメッシュ、クルーガーが担っている。

武力は何に使うかはわからないが、ガイアス辺境伯は多くの優秀な騎士を輩出していると聞くし、その伝手も使えるだろう。

僕の存在意義って……。

そんなこんなで寝不足と悩みがあり、重い足取りで歩いていた。

そんな時ウェルから声がかかる。

「……大丈夫ですか?」

「何が?」

「顔色悪いですし、昨日のこと相当気にされてますよね?」

「……ま、まぁ」

隣を歩くウェルから的を射る鋭い指摘にあはは、と誤魔化す。

まぁ、寝不足はまだいい。

一番の悩みをあげるとしたら「実際どうやって攻略されろっていうんだよ」ということ。

怪しまれないようにフローラに誘わられなきゃいけない。

どうやって誘われようか悩んでも思いつかなかった。レイルから昨日に明日接近来るかもと言われたため、考えたが、何一つ思い浮かばなかった。

予測不能なフローラの対応は無理だと思う。

「今日早退しようかなぁ」

「気分が優れないのでしたらその方が……体調を崩されてしまうよりかマシです」

「相変わらず辛辣だね。ま、講義は受けるから大丈夫だよ」

「そうですか」

なんとなく呟いただけなのだが、心配しているのかわからない厳しい物言いをするウェルだった。

そんないつも通りの他愛もない会話を繰り返し教室へ向かった。

……その途中でふと、違和感がくる。

教室が近づくにつれ会話をしている内容まではわからなかったが、ざわつきが増していた。

警戒をしながらゆっくり進むとそこには噂の渦中の人物一行がいた。

一人じゃないだ。

「ふ…フローラ」

「アレンくん!」

勘弁してくれよ。なんでこんなに早く来てんだよ。文句は言いたいが内心にとどめ、フローラ一行に視線を向ける。

目の前から迫るはフローラとアドリアン、オーラスの3人。

……なんで、攻略対象の二人までいるんだよ。

僕ははぁ、とため息をしつつ、

フローラは僕を見るなり笑顔で、アドリアンとオーラスはゆっくりと近づいてくる。

「待ってたんだよ!もう一人じゃないからね!」

いや、意味わからんて。

なんで涙目なんだよ。

やはりフローラは頭がおかしいらしい。

入学式直後の接近もただシナリオをこなすだけで人の言葉に聞き耳を立てない。

マジでやめてくれと、そう再び内心ツッコミを入れるが、一つわかることは昨日レイルが言っていた僕を攻略しに来たのかよ。

どうするか。だが、相手から来てくれて、かつシナリオをこなすだけなら簡単だ。

昨日アリスの言われた通りの言葉を言えばいい。

「アレンくん少し逞しくなったかな、でもまだ不安そうだね。目が少し赤いし、眉間に少し皺がよってる……まだアレイシア様に何か言われてるの?……わかるよ……私も少しだけ……ね」

「……大丈夫だよ」

やはり独りよがり。しかも僕演技下手すぎでしょ、棒読みになってるよ。

フローラは口角を僅かあげ、首を少し横に傾げる。

「アレイシア様とは……どう?」

距離……近くね?

パーソナルスペースってご存知?

フローラはさらに半歩近づき右手を小さな小さな桶の形を作り自身の口元に持ってきて小声で伝えてくる。

ここは……。

「……会ってないけど」

「勇気出したんだねアレンくん!」

端的に答える。アレンは気弱な性格をしている。だから、端的に弱々しく伝えるのがポイントだとアリスが言っていた。

このまま適当にシナリオ通りこなせば余裕だな。

……そう思っていた。だが、後ろから現れた伏兵により計画はピンチとなる。

『ドッ…ドッ…ドッ…ドッ』

こ…この鼓動音は、その人物に思い至り冷や汗をかく。

こんな旋律を奏でるのはたった一人だけ。

「ア…アレ…ア…アアレ」

いつの間にかアレイシアが背後に現れた。

……なんていうタイミングだよ。

周りが騒ついているせいで気が付かなかった。

「アレンくん……あなたは一人じゃない。どんなに寂しくても……悲しくても……私たちがあなたの支えになるわ。あなたの心の拠り所になるの」

「アレン……正直、貴様のことは嫌いだ。……だが、フローラから聞いた……無理をしていたのだな。だが、貴様の愚痴ひとつくらいなら今後俺様で良ければ聞いてやる。もう抱え込まなくていいだ」

「……もう鳥籠から解放されるときなんです。そこにいる悪女から」

そして、間髪入れずセリフ発言し、修羅場が完成した。

……間、悪すぎだろ。

フローラは笑っているからこれがシナリオ通りなのは確実だろう。

まさか、レイルが仕込んだのか?いや、それならアレイシアはもっと普通の反応のはず。

多分不運という不運が重なり望まぬ展開へのなってしまった。

これ、どうしよう?

実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と呼ばれた悪役令嬢は重度のあがり症だった〜

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