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バチキン視点ーーーーーーーーーー
バ「ゲホッ、、ゴホッ、、」
急に来た喉を違和感を抑えるために咳をする。
と、口を押さえた手が赤く染まっていた。
みんな、こんにちはバチ。
私はバチキンバチ!
なんでそんな口から血が出るような状況になっているのかって?
その理由は少し前に遡るバチ!
6年前、私は小麦粉美味しい帝国という国の女帝をしていたバチ。
その帝国の女帝をしていた時、膨大な力があったバチ。
その力の代償は、私の代償は、、、
寿命だったバチ。
力を貸し与えることにも、使うことにも。
何にでも寿命を使わないとできない。
その時の私は「どうせ沼族だし、寿命はたくさんある」と思っていたバチ。
でも、、。
数週間前にパシリ帰りに倒れてからもう、そんな長くは生きれないことを悟った。
あと、どのぐらい生きれるのかはもう弱っている私ではわからなかったバチ。
その時にオツキンに診察してもらって、後半年生きれたら長いほうだということを教えてもらったバチ。
自分が生きているだけでその力を使ってしまう。だから本当はもっともっと短い時間だと思う。
その中で私は今を生きている。
と、いう前置きバチ。
見てもらったのが2週間前だからもうそんなに時間も残っていない。
最初の頃はどうしてこんな目にとか、もっと生きたかったとか後悔ばかりが残っていたけど今になっては、この先どうやって生きていこう、どうすれば後悔しないだろうと言う思考になった。
これはいい兆しなのか、悪い兆しなのか。
まぁ、死んでしまった時にみんなが後悔せず、自分を責めなかったからそれでいい。
バ「あと、何週間で、、私は、、、」
そんな疑問には誰も答えてくれなかった。
シグキン視点ーーーーーーーーーーー
最近バチキンが元気になった。
、、いや、いつも元気なんだけれど。
まぁ、悪い事ではないが。
なんと言えばいいのか、空元気みたいで。
その疑問はきっと誰も答えてくれないことをなんとなく気づいていた。
他にもちょっとずつ変なところがあって。
バチキンの部屋に行った時。
なんとなくゴミ箱を覗いてみたらたくさん血に濡れたティッシュが入っていたり。
定期的にオツキンに会っていたり。
それがなんだ、と言われればそれ以上のことはない。
だが、もし、本当に何かに悩んでいたり、困り事があったら。
助けれることだったら助けてやりたい。
俺がそうやって救われたように。
無理しなくていいと伝えたい。
そんな、淡い期待が。
そんな生半可な思いが。
今日で無理なことだと気づくことを俺はまだ知らなかった。
なんとなくエネミーを狩りたくなって俺、氷虎、オツキン、バチキンで行くことになった。
たいして強いヤツは出てこないで、最後のツワモノを倒したとき。
いつも通り、悪態をつきながらも帰ろうとしたとき。
後ろからパタリ、と言う、本を閉じたような音が聞こえて。
嫌な予感がしたんだ。
まさか、後ろから狩りきれなかったエネミーに誰かくたばらせられたのか。
それとも、何かの病気だったりで発作で倒れたのか?
すぐ後ろを振り返ると血を吐いて倒れているバチキン。
と、何やら薬を飲ませようとしているオツキンと氷虎。
必死にバチキンを助けようとする二人をじーっと見つめているだけの俺。
バチキンはなんで倒れたんだ?
なんで、オツキンと氷虎は理由を知っているんだ?
なんで俺だけ知らないんだ?
なんで、バチキンは死にそうなんだ?
バチキン視点ーーーーーーーーーーー
クラクラする頭を上げて辺りを見回す。
確か、私はエネミー狩りに行って、、、
倒して帰ろうとして、、、、
血を吐いて倒れた、、はず。
ここは、オツキンたちの家だったはず。
自分に刺さった点滴やらを眺めてなんとなく察する。
あぁ、私。
今日で死ぬんだな。と。
人間だったらずっと植物状態で。
誰の声も聞こえず。
ただ、意識のない状態で死ぬ。
私は沼族だから。
このぐらい重症になってもフッと起きて。
最後の時間を待つ。
この事象を奇跡と呼ぶか。
はたまた、必然と呼ぶか。
それとも、呪い?宿命?わかんないな。
机をちらっと見るとナースコールみたいな機械と付箋。
付箋には「起きたら鳴らして オツキン」と書かれていた。
その付箋通りナースコールを鳴らし、近くにあった窓の外を見る。
そこには、私たちが壊し、私たちが治した街の姿があった。
いや、まだ治している最中か。
でも、私は最後まで見届けることができない。
あぁ、本当に呪いみたいな奇跡。
そうやって外を眺めているとオツキンの声が聞こえる。
オ「起きたか、」
バ「起きて元気いっぱいバチ!!」
そうやって、作り笑いを浮かべるとオツキンは少し笑ってくれた。
オ「、、元気そうだな、それに、多分その調子なら気づいているんじゃないか?自分の残りの時間」
そうやって苦しそうに笑うオツキンに私は。
バ「なんとなく、、バチ。でも、、、本当に時間は長くないと思うバチ。すぐにでも死んでしまうぐらい」
オ「、、、最後の晩餐と、会いたいヤツ、教えてくれ」
そう言ってカルテを取り出すとペンを私の手に乗せる。
彼なりの優しさだろう。
でも、ごめん。
私はもう誰にも会いたくない。
会えない。
きっと、泣いてしまうから。
きっと弱いところを見せてしまうから。
死にたくないと思ってしまうから。
この心情を察したかのようにカルテとペンを戻し、
オ「おまえはいいんだな、でも、お前に会いたいって聞かない奴がくるから、」
そう言ってオツキンは部屋を後にした。
一体誰なのだろう。
私に会いたい人なんて。
シグキン視点ーーーーーーーーーー
ただ無心で走った。
走って走って走った。
足が千切れようとも、肺が壊れかけようとも、血反吐を吐こうとも。
ただ彼女のことだけを思って。
彼女の病室まで走った。
彼女が死ぬ前に。
もう一度会うために。
オツキンの家の窓を割ってバチキンの元へ行った。
そこには、たくさんの管に繋がれ、いつもの元気がないバチキンが横たわっていた。
もうすでに彼女の体は冷たくなっていて。
俺はもう手遅れだと悟った。
自然と何かがほおを伝う。
なぜ涙が流れたのか。
彼女を一人で死なせてしまったことの後悔?
自分の情けなさ?
どちらも違う気がした。
きっと、今までの感謝を言えなかった自分への後悔だ。
窓の割れた音を聞いたオツキンが走って彼女の病室に来た。
彼女の体に触れ、脈を図り目に涙を浮かべながら首を振った。
彼女は死んだ。
もう戻ってこない。
“これ”は治せない。
生き返らせれない。
シ「なぜ、なぜ俺じゃなくてバチキンが死ぬことになったのか、?」
いつのまにか声に出ていた言葉。
その言葉は決壊したダムのように止まる事を知らない。
シ「俺は悪い事をして、、死ななきゃいけないような奴なのに、なぜ、バチキンが先に死んだんだ、、」
俺なんて、いなければ良かった。
と、言おうとした瞬間に誰かに抱きつかれた気がした。
いや、抱きつかれた。
それはオツキンだった。
オ「もう、そんなこと言うんじゃねぇ、、お前は、、、、バチキンは何を願っていたと思う、、それをお前が壊していいのか?」
その言葉を聞いて俺はハッとした。
バチキンはジェラルディとの戦いの後口癖のように「気にするな」「前を向け」と言っていた。
それは何度も死にたいと思っている、弱い俺に向けての言葉だった。
きっと、それはバチキンが心から願っていた事。
罪を何度も起こした俺への贖罪の免罪符。
その思いを、願いを俺が壊すわけにはいかない。
生きて、何かどんなに小さい事でも誰かを助けて、この罪を、この罪の贖罪をしていく。
そうしなければならない。
シ「すまん、、オツキン。おかげで目が覚めた」
そういうとオツキンは安心したような顔でこの部屋を去った。
もう少ししたらバチキンの葬式しねぇとな。
なんて考える。
きっとこの世界に償えない罪はない。
俺はそう信じてる。
だから、その罪を償うために今日も俺は生きる。
生きて、生きて、生きる。
彼女がしてくれたように。
俺も誰かの生きる意味になるために。