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沈黙が、二人の間に流れた。夕日の光が、えとの顔を照らし、その表情をゆあんはただ見つめることしかできない。鼓動が、うるさいくらいに聞こえる。

「……ゆ、ゆあんくん……」

えとが、か細い声でゆあんの名前を呼んだ。その瞳には、少しだけ潤みが浮かんでいるように見えた。ゆあんは、えとがどんな答えを出すのか、怖くて、でも知りたくて、じっとえとの返事を待った。公園の片隅で、二人の世界だけが、止まっているかのように感じられた。

そして、ゆっくりと、しかしはっきりと、えとの唇が動いた。

「……私も、ゆあんくんのこと、好きだよ」

その言葉が、ゆあんの耳に届いた瞬間、世界の色が鮮やかになったように感じた。信じられない気持ちと、この上ない幸福感が同時に押し寄せる。ずっと片思いだと思い込んでいた相手からの、まさかの両思い。

「え、えとさん……本当……?」

ゆあんが震える声で尋ねると、えとは恥ずかしそうに、でもしっかりと頷いた。

「うん。ずっと、ゆあんくんのこと、目で追ってたし、話しかけてくれると嬉しくて……でも、私なんかがって思って、なかなか言えなかったの。ゆあんくん、いつもクールだから、私のこと、ただのメンバーとしか思ってないんだろうなって……」

えとの言葉に、ゆあんは思わず笑みがこぼれた。自分と同じように、えともまた、同じような不安を抱えていたのだ。

「俺も。えとさんが可愛すぎて、どう接したらいいか分からなくて……ごめん」

「ううん、そういうところも、ゆあんくんらしいなって思ってたから。でも、まさか同じ気持ちだったなんて、びっくりだね」

二人は顔を見合わせ、照れくさそうに、でも心から嬉しそうに笑い合った。夕日が、二人の間に温かい光を落とす。

「えっと……じゃあ、俺たち……」

ゆあんが尋ねると、えとは少しはにかみながら、でもきっぱりと答えた。

「うん、そうだね。これからも、一緒にいてくれる?」

「うん! もちろん!」

ゆあんは、えとがもう逃げてしまわないように、そっとその手を取った。えとの手が、少しだけ震えている。その温かさに、ゆあんの胸は幸せで満たされた。

公園を後にした二人は、手をつないだまま、少しだけ遠回りをしてシェアハウスへと戻った。夕食時、リビングの扉を開けると、いつものように賑やかな声が響き渡っている。じゃぱぱとたっつんがテレビゲームで盛り上がり、るなともふは料理の手伝いをしている。

「おかえりー!」

メンバーの声が聞こえる。ゆあんとえとは、慌てて手をつないでいたことを意識し、そっと手を離した。しかし、その一瞬の仕草を、見逃さなかった者がいた。

おー、二人ともえらい時間かかったな! どこ行ってたんや?

たっつんが、ニヤニヤしながら二人を見た。その視線に、ゆあんとえとはドキリとする。じゃぱぱも、意味ありげな表情で二人を見ている。

「あ、いや、ちょっとカフェに……」

ゆあんが言いよどむと、えとが助け舟を出した。

「うん! その後、公園で散歩してたんだ!」

「へえ~、二人だけでですか~?」

のあが、口元に手を当てて楽しそうに言う。そして、うりが、そっとゆあんとえとに近づき、耳打ちした。

「おめでとう。やっぱり両思いだったんだな」

うりの言葉に、ゆあんとえとは顔を見合わせ、照れくさそうに笑った。どうやら、メンバーの中には、二人の関係を察している者もいるようだ。

その日の夜、ゆあんは自室のベッドに寝転がりながら、えとと交わしたメッセージを読み返していた。

『今日は本当にありがとう。すごく楽しかったよ!』

『俺もです。また、近いうちに出かけましょうね』

『うん! おやすみ、ゆあんくん』

『おやすみ、えとさん』

たったこれだけのやり取りなのに、ゆあんの胸は温かい光で満たされていた。隣の部屋で寝ているはずのえとの存在が、今までよりもずっと近くに感じられる。

翌日からのシェアハウスでの生活は、何も変わらないようで、少しだけ違った。ゆあんとえとは、以前よりも自然にアイコンタクトを取るようになったし、ふとした瞬間に目が合うと、お互いに少し照れたような笑顔を交わすようになった。

メンバーたちも、そんな二人の変化に気づき始めていた。特に、じゃぱぱとたっつんは、ニヤニヤしながら二人を観察している。

なぁ、最近のゆあんくんとえとさん、なんかええ雰囲気ちゃう?

たっつんが、じゃぱぱにひそひそ話す。

「だろ? やっとかーって感じだよな」

二人は、自分たちのことのように嬉しそうにしている。のあとうりは、すでに二人の関係を知っているため、温かい目で見守っていた。るな、もふ、どぬく、なおきり、ひろ、シヴァたちも、それぞれに二人の様子を察し、優しいまなざしを向けていた。

ある日、動画撮影のために、メンバー全員で企画会議をしていた時だった。ゆあんが提案したアイデアに対して、えとが的確な意見を出し、二人の意見が見事に合致した。

「おお! ゆあんくんとえとさん、息ぴったりやん!」

たっつんが感心したように言う。

「ほんとだね! なんだか、見てるこっちが照れる!」

もふが、くすくすと笑った。ゆあんとえとは、顔を見合わせ、少しだけ恥ずかしそうに笑った。


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