テラーノベル
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それから二日が経った。その二日間はこれまで生きてきた長いドール生よりも長く感じた。
その日、自由フランスと名乗る化身とそのドールが俺の家の前に来た。
俺は慌てて正門のところへ行くと互いを支えている状態のフランスと仏華が居た。
「あぁ、英厳〜。ごめん、je、ちょっとしくったみたい。内臓が一、二個損傷してるかも」
申し訳無さそうにしながら仏華はそう語った。
「jeは、もう、走りすぎて疲れた。お腹すいた」
フランスはウダウダとそんな事を言っている。
いくらドールが怪我をしようと死な無いと言えど、内臓に損傷が有るとなると、一ヶ月は眠りに就き、傷を治す作りになっている。
まぁ、簡単に言うと、一ヶ月仮死状態になると、その後は傷が治っているというものだ。
だが、生きていて良かった。仏華が生きていて良かった。俺はそう、心の底から安堵した。
「取り敢えず、客間へ通せ!勿論この二人が連れて来た兵士もだ!食料と水を提供し、怪我人の手当てをしろ!」
急いで使用人たちに命令し、俺も怪我人の手当てに勤しんだ。
昼食を持って仏華とフランスの居る客間に俺は入った。
「仏華は寝たか?」
ベッドに座っているフランスに問い掛ける。
「うん。もう、グッスリ。英厳、ありがとね。je達を受け入れて、世話まで焼いてくれて」
少し申し訳無さそうな、そんな顔をしてフランスは仏華の頭を撫でる。
「いや、俺は、」
そこで俺は口を噤んだ。なんて言えば良いのか分からなかったからだ。
俺は、まともに感謝なんてされた事が無い。
「ほとんど、俺の為だ。なんて事を言っても信じないだろうな。だから、ただの気まぐれだ。と言っておく」
あの日と全く同じ言葉、何一つ変わらない言葉。
あの日から俺は変われていないのだろうか。いや、仏華の事が気になる。それは変わった点なのだろう。
仏華と、西華と共にいると、心臓がドキドキする。常に彼女の事を意識してしまう。
あぁ、この感情は、昔、アンとサラが言っていた、“恋”と言うものか。
あの日、あの時にやっと俺は恋というものを自覚し、理解した。
そんなふうにして、苦しかった戦争も終わりを告げた。
戦争が終わった頃、旦那様は、香港を返却することを決意しました。
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