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数日後ーー。
エミちゃんの友達のアズリンが部屋にやってきた。
「少し大人になった君は、なかなかのイケメンじゃん」
「でしょう」
自慢げな顔のエミちゃんに、僕は嬉しくなった。
「凛太郎にお土産だよー。猫魔女印の高級缶詰は、ポテチより、うんと美味しいから」 アズリンは缶詰を開けると、中身を掌に乗せて食べさせてくれた。
「今度のハロウィン、エミちゃんはシンデレラでしょう、モモちゃんは白雪姫。私、どうしようかな」
僕が缶詰を夢中で食べているとそんな会話が聴こえてきた。
「オーロラ姫なんかどう?」
「姫キャラは似合わないと思うの」
「そうかしら‥‥‥。それならいっそのこと歌劇団風の男装なんかどう?」
「なるほど。それはいいかも。凛太朗もそう思う?」
『ニャー』と僕は返事をする。
「おお凛太朗は賢い」アズリンは目を輝かせた。
「今回の学園クイーン、私、ぜったいエミちゃんだと思うよ」
「まさか」
「だって、キングは湊先輩で決まりでしょう。ねぇ、その場で告白されちゃうかもよ?」
「告白ですって?」エミちゃんはころころと笑う。
「だって、湊先輩。エミちゃん推しだもん。いっそうのこと、キングとクイーンでつきあっちゃいなよ」
学園クイーンって? 告白って? つきあっちゃうって?
話の半分くらいしか理解出来ないが、ともかく大好きなエミちゃんが僕以外の人間の男と、遠くにいってしまうような気がして、僕の胸はぎゅっと締め付けられた。
それから一週間後ーー。
ハロウィンパーティーの用意をしていたエミちゃんは、朝から忙しそうにしていた。
化粧道具をかき集め、水色のドレスをキャリーバッグに詰め込むと、僕に向かって言った。
「凛太朗、今夜は遅くなるの。たぶん午前様になっちゃうかな。だから、私が帰ってくるまで、これを食べて、いい子で待っていてね」
猫魔女印の高級缶詰を二缶も開けると、迎えに来た仲間たちとテンション高くきゃきゃとはしゃぎながら出ていった。
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