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____勇斗side____
仁人は距離が近いと文句を言うくせに、離れない。
楽屋のソファに俺が座ると、少し遅れて仁人が隣に来る。
別に指定席でもなんでもないのに、気づいたらいつもこう。
「近い」
仁人が台本を見たまま言った。
『そう?』
俺はわざととぼけて肩を寄せた。
「だから近いわ」
そう言いながらも仁人は立ち上がらない。
むしろ少し体重を預けてくるのが分かる。
そういうところがほんとずるい。
『嫌なら離れればいいだろ』
「…別に嫌とは言ってない…」
小さな声でそう言う。
"勝った"
俺は内心で思った。
付き合ってることは、周りにははっきり言ってないけど、 勘のいい人なら気づく距離感だと思う。
俺は昔から独占欲が強いほう。
自覚済み、隠す気もあんまりない。
特に仁人に対してはな笑
仁人って人当たりがいいし、ちゃんと話を聞くし、可愛く笑う。
たまに呆れ笑いも混ざるけど笑
だから余計に、俺以外に向けられるその表情が気になる。
スタッフと話している仁人を少し離れた場所から見る。
柔らかい笑い方
落ち着いた声
ああいう顔、俺の前でもするけど…それでも、どこか違う。
「勇斗」
呼ばれて振り向くと、仁人が戻ってきていた。
「どこ見てんだよ笑」
『仁人』
答えになってないのに、仁人は少し眉をひそめる。
「…意味分かんないわ」
そう言いながら、また俺の隣に座る仁人の頬が紅くそまっていた。
無意識なんだろーな、きっと。
俺は、仁人の肘に自分の肘を軽くぶつけた。
「なに」
『俺のとこ戻ってくんの早くない?笑』
「…別に」
そっぽを向く仁人は耳まで紅く染めた。
『取られたら困るから?』
「は?」
冗談交じりで言うと仁人が睨んでくる。
「んなわけないだろ」
『ふーん笑 じゃあいい』
「…何が」
その“何が”に、答える気はなかった。
移動の車内、席は自由なはずなのに、仁人は迷いなく俺の隣に座る。
肩が触れた。
少し揺れるたびに、距離が詰まった。
「狭い」
『そう?』
「…そう」
でも仁人は体勢を変えない。
俺は少しだけ声を落とした。
『俺の隣、嫌?』
「…。嫌だったら座らないでしょ」
『じゃあ、いいじゃん』
「めんどくさ」
そう言いながら、仁人は俺の肩に軽く頭を預けてきた。
仁人は大のツンデレ。
みんなも知ってるだろ?笑
言葉では突き放すくせに、態度は正直で。
俺は、そんな仁人が好きで、他の誰にも見せたくなくて、だからまた距離を詰める。
仁人が俺のものだって、 確認したいだけ。
車が止まった。
『着いた』
そう言うと、仁人は何事もなかったみたいに体を起こした。
『さっきの、なに?』
「なにって?」
『肩』
仁人は少し困った顔をして、視線を逸らす。
「無意識…///」
それが答えだって俺は知ってる。
立ち上がる前、俺は小さく言った。
「無意識で来るの、俺だけにしろよ?」
仁人が、ぴたりと止まる。
「…独占欲強、、笑」
『今さら?笑』
俺が笑うと、仁人は小さく息を吐いた。
「…ほんと仕方ない」
そう言って、誰にも見えない角度で、俺の服の袖を軽く引いた。
離れないでってことっすか?仁人さん