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「んで?コイツとやり合う時のコツは?」

「基本的にあまり近寄らないことだな。当たり前だが、あの腕部のイカつい甲殻でぶん殴られたら痛いとかじゃ済まない。」

「でしょうね……。」

「だが、近寄らないと私ら近接職はダメージを与えられないのも事実だ。」

「ならどうすんだよ?」

「簡単なことだ。攻撃を誘発させ露骨に隙を作らせればいい。」

「めっちゃ簡単に言いますねそれ。」

「そのためのマリンちゃんだ。」

「私?」

「今話した通り攻撃を誘発させ、隙を作ってもらうのがいいがリスクがある。なら、そのリスクも無くしてしまえるのなら無くすのが吉。私らはそのリスクを消すことの出来る存在がいるだろ?」

「マリンの罠魔法を駆使しての戦闘か!」

「ウルルフと違い至る所に設置ではなく、時と場合を見極めて使うこと、これが重要だ。マリンちゃんには少し荷が重いがいけるか? 」

「うん!頑張るよ私!!」

「罠魔法が便利なのは認めるが、それを多用する策は俺は認めんぞ?」

「…その理由は?」

「比較的ラクに勝てたとしても、マリンの体はまだ成熟してない。故に、魔力もすぐに枯渇する。もしそうなった時マリンは自分の力で立つことすら困難になる。だから多用するなら俺はパスだね。」

「さすがリーダー。仲間のことを大事にしてるな。」

「仲間だけど、それ以上にマリンにとっても俺らにとっても家族みたいなもんだろ?」

「……だな。まぁ、最初からそのつもりはない。だから先に攻撃を誘発させる案を出したんだからな」

「こんな危機的状況で俺を試すな…。 」

「多用はしないが時折混ぜることで相手の意識を削ぐ事になる。これが狙いだ。」

「小回りがよく効く分体力の消費も早そうだしな。」

「そういうことだ。マリンちゃんには少し酷だが、動き回るワンベアに罠魔法を使えるかな?」

「頑張る!」

「よしいい子だね。」

「んじゃ策としては俺とルナベルで前線を張って、隙を見て攻撃。時折マリンが罠魔法で補助という形か?」

「いや、今回も囮は私が請け負う。相手はもしかするとスキルを持ってる可能性がある。凡人のミナルでは、瞬殺だろう。」

「おう。ここまでカッコイイ展開だったのをぶった切ってまで俺を罵倒するな。」

「ミナルはウルルフの時と同じように弓で援護を頼む。スキルのないミナルでも、ワンベアの弱点をつけばダメージは入る。」

「一言多いが、それが適任ならそうさせてもらいます。」

「では、行動開始!」


ミナル達が特異体ワンベア(?)と戦闘する十数分前

「勢いであんな事言ったけどお前本気で勝てると思ってるのか!?」

「あ、あったりまえだろ!!?てか冷静に考えろ!相手はミナルだぞ?負けるはずねぇだろ!」

「だけど仲間にルナベルさんが居るんだろ?討伐数を稼ぐってなるとあっちに軍杯が上がるんじゃ…」

「ルナベルさんが弱者であるミナルに協力することはないはずだ。今回のクエストについて来てたが、恐らく嫌々着いてきたと予想つく。だから、手を貸すことはないだろう。」

「だけど、あの小さな子もいるぞ?」

「戦力として数える必要も無いだろ。さしずめ、ガキのわがままを聞いてるだけだ。アイツは結局一人で戦うことになるんだよ。」

「そ、そうなのかなぁ……。」

「何度も言うが相手はミナルだ!俺ら名も無き冒険者達にすらなれない男だぞ!?」

かなり残念なことに、ミナルは世の一般的な戦闘能力を下回るある意味特殊な人種で、ここにいる冒険者たちの誰よりも弱く、勝てる要素がほとんど無いほどミナルは貧弱だった。

唯一の救いとして才能がない分色んな職業を経験してるため知識はそれなりに持ち合わせており、またウルルフ戦で使ったフックショットの腕前は凡人よりは巧みに扱えるのも強みではあるだろう。使い所はかなり難しいが

「言ってしまえばこちらは一匹でも倒せれば勝ちなんだよ。だからちゃっちゃとワンベアを倒して、ルナベルさんと一緒に冒険する権利を得るぞ!」

「ギルドはワンベア討伐を依頼するにあたってそのやる気の源が下心とか思わないだろうな…」

「んな事言ってたら本命のお出ましだ」

「な、なんか小さくない?」

「幼体だろ。成体だろうと幼体だろうとワンベアはワンベアだ。ガキから潰して数稼ぐのも一個の手だな。」

「あんまり気乗りはしないな」

「気乗りしなくとも依頼だ。ガキでも潰すのがギルドからの命令だろ?」

「確かに成体を退治とかは書いてないけど」

「なら、罪悪感に駆られる必要はねぇな!」

すぐさま剣を抜刀し、距離を詰めて横に一太刀。分厚い体毛に覆われていた為、肉体には大きな傷をつけることは出来なかったが、ファーストアタックは成功する。

「ちっ…。奥までしっかり届かなかったか」

「一旦距離を置いて出方を見るよ!」

「馬鹿言え!!このままもう二連は…」

「バカはお前だ!!『フラッシュ』」

仲間の唱えた魔法は『フラッシュ』名の通り眩い光を放つ魔法で、基本的には暗がりを進むために使う魔法だが、戦闘でも今のように目眩しとして使うこともある。むしろ、そっちでの使い方が今ではメジャーになっている

その目眩しのおかげでワンベアは怯み、連撃を入れようとした味方の戦士も視界を奪われている。その隙に一度戦士を自身の方にと下がらせる。

「ぐぁぁ……。目がぁ、目がぁ…………。」

「頭を冷やせ馬鹿野郎。あのままお前が向かってたらワンベアの餌食になってたぞ。」

「そんな確証どこに……」

「今回のワンベアが小さいからだ。」

「はぁ?」

「小さい分小回りがよく効く。だから浅い傷で追撃しようものなら即座にカウンターを決められてしまう。これが通常サイズならいけたかもしれないが、今回は相手が悪い。」

「けっ!慎重になるのもいいがそれで逃げられたら笑えねぇぞ?」

「大丈夫。多分、てか絶対逃げないと思うよ。」

「あぁ?」

「僕の予想だとこのワンベア特異体だ。だから本人に逃げる意思は無いし、僕らを逃がす気もないと思う。」

「特異体って…。」

「小柄な成体、か。良くない兆しが見えるな」

「……なんだっていい。普通のやつだろうが、そうじゃなかろうが倒すという目的は変わんねぇ。

てか、特異体なら倒した時点でかなりの功績になるんじゃねぇか?」

「まぁ、そうだろうな。倒せたらな

「へっ…。特異体と言っても所詮ワンベアだぜ?俺らでもワンベアは倒せるんだ、なら大して強さも変わらないだろ。小回りがよく効くだけだしな」

「あんまりこういうこと言いたくないけど、慢心だけは絶対だめだと思う。」

「うるせぇ!リーダーは俺だ。それだけは忘れんじゃねぇぞ?」

「………あぁ。忘れてない」

「う、うん……。」

「なら、俺の指示に従えば勝てる。行くぞテメェら!ルナベルさんとのデート券の為に!!」

「最後で全部台無しだよ…。」

俺が強いんじゃなくてお前らが弱くて仲間が強いんだ

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