TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

第2話:デュラハンの自由奔放と契約の代償

雨は上がり、灰色の東京の朝が街を包んでいた。橘樹龍樹は目を覚ますと、布団の中で昨日の出来事を反芻していた。化け物の襲撃、頭のない騎士――デュラハンとの契約、そしてあの赤く光る力。

「……夢じゃなかったんだな」

龍樹は布団から這い出すと、全身を伸ばした。まだ違和感が残る。手のひらを見れば、かすかに黒い紋様が浮かんでいる。ラ・イル・リンバス──あの力の残滓だ。

だが、朝食をとろうと台所に立つと、冷蔵庫の上からデュラハンが降りてきた。頭は相変わらずなく、鎧が光を反射している。

「……おはよう、デュラハン」

「おはようでは済まないぞ。今日からお前の訓練は始まる」

その瞬間、龍樹は思った。契約とは、ただの力の授与ではない。自由奔放な悪魔との生活そのものが、もう始まっていたのだ。

デュラハンは朝から台所の皿を飛ばし、トーストを空中で焼き、勝手に蜂蜜の瓶を空中で操る。龍樹は慌てて皿を受け止めながら思わずツッコミを入れる。

「ちょ、ちょっと!まだ朝のコーヒーも飲んでないのに!」

「手を抜いても世界は救えないぞ。お前が力を制御できなければ、人間など一瞬で壊滅する」

自由奔放な行動に反して、デュラハンの言葉は冷静で重い。悪魔の力は強大だが、制御しなければ人間にとって危険そのものだという現実を、龍樹は痛感する。

訓練は、雨上がりの公園で行われた。デュラハンは地面に大斧を突き立てると、龍樹に向かって低く告げた。

「お前は力を恐れてはいけない。感情と融合するのだ。喜び、怒り、悲しみ……すべてを力に変えろ」

「わ、わかるけど……どうやって?」

龍樹が疑問を口にすると、デュラハンはゆっくりと黒いオーラを放つ。手を振ると、空気が歪み、地面の砂が渦を巻いた。

「その力を感じろ。お前の感情が流れれば、力は暴走しない。逆に制御できる」

「感情と融合……」

龍樹は深呼吸をし、胸に浮かぶ恐怖と不安を意識した。その瞬間、黒い光が体内を駆け巡り、手のひらに力が宿る。彼は初めて、自分の意思で黒い刃を作り出し、空中に浮かべることに成功した。

「……できた?」

「よし、その調子だ。次はもっと現実的な相手を用意する」

その時、遠くで人々の悲鳴が響く。街中に異形の影が現れ、ビルの間を飛び交う。アンチエコノミーの尖兵が活動を始めたのだ。

「龍樹、行くぞ」

「う、うん!」

二人は駆け出す。デュラハンの力で体は軽く、視界の端に赤い光がちらつく。龍樹は初めての本格的な戦闘に心を躍らせながらも、恐怖を感じた。

「まずは一体ずつだ。焦るな」

「わかった……!」

化け物は群れで襲いかかる。龍樹は手を振ると、黒い刃が飛び出し、斬撃を繰り出す。デュラハンが斧を振るうと、化け物は断末魔を上げて崩れ落ちる。初めてのバトルにもかかわらず、力は確実に制御できていた。

戦闘の後、龍樹は地面に膝をつく。体の奥で微かに痛みが走る。デュラハンが近づき、頭部の空洞から低く響く声で言った。

「力には代償が伴う。お前の体はまだ慣れていない。無理をすれば心も体も壊れる」

「代償……?」

「そうだ。力は強ければ強いほど、制御を誤れば人間を傷つける。それがお前の選択だ」

その言葉に、龍樹は胸を締め付けられる。だが、同時に心に決意も生まれた。

──俺は、この力で人々を守る。

その夜、幼馴染の真田紗夜が龍樹のアパートに訪れた。雨上がりの街角から自転車で駆けつけ、心配そうな顔を見せる。

「龍樹くん、大丈夫?怪我してない?」

「うん、大丈夫だよ。ちょっと訓練中に擦りむいたくらい」

「ふぅ……よかった」

彼女は髪を濡らしながら笑う。龍樹は思わず胸が高鳴る。彼女の存在が、普通の生活の象徴であり、同時に自分の心を守る灯火でもあるのだと感じた。

「……あの、紗夜」

「なに?」

「俺……少し、強くなりたい」

「強く……?」

「うん、人を守れるように。絶対に……」

紗夜は黙ってうなずき、手をぎゅっと握った。その手の温もりが、龍樹の胸に新たな力を宿らせた。

しかし、街の暗がりでは、黒い影が密かに動く。アンチエコノミーの上層部が、龍樹の力の存在を知り、興味深く観察していた。

「面白い……現人界の適応者か。あの力、利用価値は大いにある」

龍樹はまだ知らない。自分が世界の均衡を変える存在となり、八界を巡る運命の渦に巻き込まれることを――。

23歳会社員、異世界バディと世界を救う〜平凡から最強へ、八界制覇の物語〜

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

28

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚