TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
シェアするシェアする
報告する

私→椿(つばき)

お兄ちゃん→陽真(はるま)

彼女→紫織(しおり)

私が生まれてすぐに両親は離婚した。原因はお互いにあり、父親は無職で引きこもりだったらしい。

母親の方は働いてはいたが浮気性で色んな男を取っ替え引っ替えしていたらしい。そして私たちは経済的に苦しくないお母さんに引き渡された───────


今の私の家庭環境は最悪だ。お母さんが家にいたのは初めの頃だけだった。

しばらくすると私の世話や家事などは全てお兄ちゃんに押し付けてお母さんが家にいることはほぼなくなった。

その代わりに毎月お金は置いていってくれる。そのお金で私たちは今まで何とか生きてきた。

私にとってお兄ちゃんはお母さん代わりだけどお兄ちゃんでもある。

私のために美味しいご飯を作ってくれたり辛い時はずっと側にいてくれたりした。そんなお兄ちゃんが大好きだ。

それは昔も今も変わらない。


ある日、お兄ちゃんがいつも通り学校から帰ってきた時のことだった。

陽真「ただいま~」

椿「おかえり~……え?」

お兄ちゃんの隣には見たことのない女の人がいた。

椿「お兄ちゃんその人は?」

紫織「初めまして。陽真くんの彼女の紫織です。」

え…お兄ちゃんに彼女?嘘でしょ…

椿「お兄ちゃんって彼女いたの?」

陽真「少し前から付き合ってたんだよ。」

陽真「俺が施設のボランティアやってるのは知ってるだろ?」

椿「児童養護施設のだよね?」

陽真「そう。紫織とはボランティア活動のときに出会ったんだ。」

紫織「陽真は知ってるけど私、施設育ちなの」

椿「そうなんですね。」

施設育ち…つまり親がいないってことだよね。私たちと一緒なんだ。

椿「ねぇ紫織さん。紫織さんは何でボランティア活動やってるの?」

紫織「ん~そうだな…私が施設育ちっていうのがやっぱり大きいかな。」

紫織「施設育ちと親がいる子の人生ってきっとすごく差があるんだよね。」

紫織「だから少しでもその差がなくなって施設の子達も勉強とか外の世界のことを教えてあげたいんだよね。」

お兄ちゃんも昔に言ってたような…。

“俺たちみたいな子が幸せになれるように手伝ってあげたいんだよ。”

嫌だよ…。私はお兄ちゃんの恋人になれないのに…。ずっと私の方がお兄ちゃんといたのに。

今までずっと側で支えあってきてこれからも側にいて支えてあげるのは私がいいのに。

こんないきなり出てきたやつなんかにお兄ちゃんは何があっても絶対に渡さない。

この女とお兄ちゃんを別れさせてやるんだから…っ!!


椿「お兄ちゃん!今度、施設にボランティアに行くとき私も行きたい!」

陽真「どうしたんだよいきなり…。」

椿「私もお兄ちゃんたちがどんなことしてるのか気になったから一緒に行きたいの」

なんてね。ほんとは紫織さんについて調べるために行くんだけどね。

陽真「う~ん…いいけど邪魔したりはするなよ?」

椿「大丈夫!邪魔なんてしないから!」


───当日


椿「は、初めまして!椿です。」

椿「今日はよろしくお願いします!」

今日のやることはイベントの飾り付けだった。折り紙を折ったり画用紙を切ったり小学校の図工のような時間だった。

男の子「ねぇねぇ。一緒に折り紙で星作ろうよ!」

椿「え、星?」

星なんて折り紙で作れるものなのか…そもそも星の作り方なんて分からなかった。

隣の男の子は慣れた手付きでどんどん進めていた。

私はそれを見よう見まねで折ってみた。

男の子「出来たよ!」

男の子が折った星は綺麗に出来ていた。

男の子「お姉ちゃんまだ~?」

男の子がそう聞いてきたが私も出来ていた。

しかし男の子が作った星とは違い形は変だし、所々シワがあってとてもこれが出来た星だなんて言えない。

椿「ん~、お姉ちゃんに星は難しかったみたいだな。」

椿「でも僕が作った星すごいね!」

男の子「今までたくさん折ってきたからね!」

男の子「星なんて簡単だよ!」

男の子はドヤ顔で言いきった。

女の子「あ、星だー!」

男の子「俺が作ったんだぜ!」

女の子「見てみて、私はハート作ったの」

私なんかより全然上手に折る二人に尊敬する。

女の子「ところでお姉ちゃんのそれ何?」

グサッ 私は女の子の言葉でどれだけ図工が出来ないかを改めて再認識させられた。


そうして私の初めてのボランティア活動の一日が終わった。

陽真「お疲れ~! 初めてのボランティアどうだった?」

椿「大変だったけどすごい楽しかったよ」

陽真「よかった。じゃあ俺はもう少ししたら帰るから椿は先に帰ってて。」

椿「わかった!」


職員「ーーー!」

ん? 帰ろうとしていたとき、二人の職員の話し声が聞こえた。

職員「ほんとあの子がボランティアに来てからすごい施設が裕福になったわよね~」

職員「ですよね。社長の娘でこの施設に毎月大金を寄付してるみたいね。」

職員「紫織ちゃん本人もすごいお金持ってるらしいわよ」

職員「うらやましいわ~」

え…紫織? 紫織って施設育ちなんじゃなかったの…?

お兄ちゃんの恋人になりたい

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

600

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚